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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
都市編

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帰還

 越境線を越えた先に、騎士団の自走船が三台、ギルド自走船が二台あった。

 前に現れた職員の指示に従い停止した。

 そこに、ギルドハウスのマスター、エメリナ、騎士団の男が近づいてきた。

 まず、騎士団の男が頭下げた。


「私は騎士団の副団長。此度の件、我々の認識不足により引き起こされた物と心得ている。せめてもの償いで、この先、我々が援護いたす。」


「あなた達のせいではないわよ。今回はイレギュラーが重なり過ぎたのが原因だもの。」


 アリアがそう否定した。

 別のエリアの生物が現れるなんて予想は難しいのだ。

 エメリナもアリアに同意する。


「私もそう言っているのだけど。」


「そうはいかない。ただの迷子と決め付け捜査をハンターに一任したのは我々の判断に変わりはない。その責任は我々にある。」


 騎士団の副団長は、考えを改めるつもりは無いようだ。

 再び、申し訳無いと頭を下げた。

 このままだと話が進まなそうなのでアリアが話を変えた。


「その話は今度にしましょう。それより、竜車の中にいる避難民を引き取ってもらいたいけど空きはあるかしら。」


「その事なら問題ない。念のため、一台余分に持ってきている。案内しよう。」


 近くの騎士に指示を出し一台を竜車に近づけた。

 騎士団やギルドの職員の指示により避難民が移っていく。

 手伝っていたエメリナがある事に気づいた。


「あなたの仲間がいないんだけど。」


「途中で大竜の弱い個体が現れて囮で残ったわ。」


「っ!? 忠告したはずよね。あなたは止めなかったの?」


「止めてやめるなら止めてるわよ。つまり、そういう事ね。」


 驚きと共に呆れるエメリナ。

 武器を持たず大竜に挑むとは、命知らずにも程がある。

 その話を聞いた副団長が提案する。


「助けに行った方が良いか?」


「必要ないわ。むしろ、早く倒してウルフの殲滅に混ざるでしょうね。」


 後日、ウルフを片手で倒し投げ飛ばしていく鬼神が戦場に現れたとか、いないとか、の話が広まるのであった。

 仲間が問題ないと言うのならと、副団長は引っ込んだ。  

 とにかく、今優先するべきは避難民を逃がすことだ。

 副団長の所に、一人の騎士が駆け寄った。

 

「避難民の誘導完了しました。」


「よし、目的は都市アルカルン。では、話は後日。私は避難民の警護に向かう。」


 騎士団の自走船に乗って去っていく副団長。

 避難民が乗っている自走船が後に続いた。

 見送るアリアがエメリナにある疑問を聞いた。


「よく騎士団が動いてくれたわね。面会出来ない程、立て込んでたんでしょ?」


「ガーネリヤが騎士団に働きかけてくれたのよ。向こうもどうにかしないと、と思っていたらしくて、すぐに動いてくれたのよ。」


 先程の副団長の様子を見れば分かる通り、ハンターを巻き込んでしまったのを気にしているらしいのだ。

 しかも、行方不明の件もあって不用意には出せない。


「出せるか分からない中、越境線付近だけでいいから救助に向かったハンターを迎えて欲しいとお願いしたら承諾してくれたらしいのよ。」


「まぁ、おかげで助かったわ。で、ギルドハウスのマスターさんはどうして?」


 通信機でどこかに連絡をしているギルドマスター。

 責任者なのだが、わざわざ来るとは思わなかっのだ。

 エメリナが答える。


「心配して職に手がつかなかったらしいわ。それでついてくるって。」


 あれだけ怒っていたのだ、心配するのも無理はない。

 事の顛末を自分の目で見届けたかったのだろう。

 受話器を置いたギルドマスターがアリア達の下に向かった。

 アリアとその仲間に向かって例を言う。


「今回の事、ギルドを代表して礼を言う。あんた達がいなかったら犠牲者はもっと増えていた事だろう。」


「私達が勝手にした事よ。もっと情報を集めたかったからちょうど良かったのよ。私達の仲間もそう思っている。だから、気にしないで。」


 アリア達は、少しでも多くの情報が欲しいのだ。

 そのためには、どんな所にでも行くつもりだ。

 しかし、それで多くの助かったのは事実。

 ギルドマスターは、改めて礼を言う。


「本当にありがとう。避難民については、泊まれる場所を用意してある。後日、詳しい話を聞くつもりだ。」


「あまり、思い出したくない人に無理矢理聞くのはやめてね。」


 アリアがそう言及する。

 しかし、それぐらいギルドも分かっている。


「当然だ。それじゃあ、俺も帰る。仕事をほったらかして来たからな。エメリナは、どうする?」


「そうですね、私はアリアに乗せてもらいます。」


 そうか、と言い残してギルドマスターが去る。

 自走船に乗り込み指示を出すと、都市に向けて出発した。

 残されたアリア達も竜車に乗り込み帰る準備をする。


「待たなくていいの?」


「大丈夫でしょ。さ、行きましょう。やる事は一杯あるわ。」


 小竜に指示を出し竜車を走らせる。

 すでに暗くなり始めているのでライトもつける。

 アリアも本来の役目があるので、いつまでもじっとしている訳にはいかないのだ。

 暗くなる空を見たアリアがエメリナに尋ねる。


「しばらくエメリナの研究所にお世話になってもいいかしら。」


「そうね、それがいいわ。その方が楽だしね。」


 同じ活動をする以上、共に過ごした方が効率が良い。

 寝床の準備もしなくてもすむ。

 もちろんお金もかからない。

 はずだった。


「宿泊費用は、アリアに請求するわね。」


「駄目だったか。そこを何とかならないかしら? 結構、出費が激しいのよ。」


「そういう訳にはいかないのよ。私もせっかく手に入れた研究所を立派にしたいのよ。そうなれば、あなた達にも良い事なのだから観念しなさい。」


 そう言って、断固として引かないエメリナ。

 しかし、そんなやり取りをしつつも二人は笑っている。

 長い付き合いだから、こうなる事は知ってたのだろう。

 そんな二人をカリネとコガラキが見ていた。

 

「楽しそうっすね。」


「そうだねぇ。それだけ仲が良いんだろうね。私達も負けてないけどね。」


「何でそこで張り合うんすか。」


 そんな話をしつつも、竜車は都市についた。

 門番にグレン達の事を伝えて中に入る。

 入場許可を取るためだ。

 そのまま竜車は、研究所に向かう。

 しかし、そこにはエメリナの知る景色とは少し違うものがあった。

 驚いて開いた口が塞がらなくなるエメリナ。


「なにこれ、どういう事なの?」


「必要な施設を持ってきた。余ってる土地がたくさんあったからね。」


「せめて、私に一言言いなさい。」


 待っていたガーネリヤが悪びれもなくそう言った。

 呆れて溜め息をついたエメリナ。

 出かけるまで何も無かった場所にいろいろな物が建っていた。

 即答するガーネリヤ。


「帰って来たらいなかったからね。それに、これからの事を考えたら今の設備じゃ足りないってエメリナだって知っているだろう。」


 確かな事実にぐうの音も出なくなるエメリナ。

 実際に、エメリナ自身も協力する為には今の設備では足りないと思っていた。

 まさか、自分の預かり知れぬ場所で準備されているとは思わなかったが。

 これもまた長い付き合いによるものなのか。

 それでもエメリナは反論する。   

 

「だからって、一言ぐらいは言いなさい。」


「それはすまなかった。でも、明日から動くためには急ぐ必要があった。」


「もしかして、あなた達もここで作業する気なの?」


「当然だろう、いちいち通信機をパンクさせる訳にもいくまい。」


 またもやの正論に、何も言い返せないエメリナ。

 何も考えてない様で数手先を見通す。

 ガーネリヤという人物は、そんな人間なのだ。

 そのおかげで、騎士団も動いてくれたのだから何も言い返せない。

 そんな、エメリナの肩を叩くアリア。


「立派にしたいんでしょ? 良かったじゃない。」


 そう言って、新しく出来た小屋に小竜をつれていくアリア。

 その後を、カリネとコガラキが続いた。

 どうでもよくなったのか、研究所に向かうエメリナ。


「まぁいいわ。ご飯にしましょう。準備するわね。」


「協力しよう。」


 ガーネリヤもエメリナに続いて研究所に入った。

 その直後、建物の奥にある庭からスピナが出てきた。

 カリネを手招きした。


「用意しておきましたよ。確認をお願いします。指差し大事。」


「分かった。そっち行くね。」


「協力するっすよ。」


 カリネとコガラキがスピナがいる所に向かった。

 裏庭に置いてある荷車に乗って確かめる。

 小竜を小屋に入れたアリアは、研究所に入りエメリナと合流する。

 しばらく作業をしているとグレン達が帰って来た。


「見ない間に賑やかになってるな。」


「動きがお早いこった。」


「少ししか、離れていないはずなんよ。」


「びっくり。」


 グレン達もまた研究所の代わり映えに驚いていた。

 つれてきてくれたギルドの馬車に別れを告げて研究所に入る。

 そして、確認を終えた裏庭組も研究所に入る。

 やがて、研究所から談笑がこぼ始める。

 やらなくてはいけない事はたくさんあるが、今はこの時間を謳歌するのも良いだろう。

 次の日から、事態は大きく動いていく。

都市での拠点になります。

設備がとても充実しています

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