彼らに戦わないとの言葉は無し。
一斉に森から抜けた五人は大竜へと向かった。
大竜はまだこっちに気づいていない。
グレンがセシルに指示を出した。
「セシル、ボウガンで奴を撃て。当たれば何処でもいい。」
「やってみます。」
当てるぐらいなら、セシルにも出来る。
腰のボウガンを取り矢を設置し撃った。
真っ直ぐ飛んだ矢は、大竜の背中に当たった。
当然気づかれるが、それが狙いなので問題なし。
「当たりました。」
直ぐにボウガンをしまうセシル。
「腕上げたんじゃないん?」
「確かに。数発かかると思ってたが中々良い結果だ。お前達、全速力で俺についてこい。」
先頭に出たグレンに他のメンバーがついていく。
大竜と対面したグレンは横に曲がる。
グレン達に後を大竜が迫ってくる。
行き先はもちろん、先程から騒がしく争っている戦場だ。
「奴は、ついてきてるぜ。」
「よし、このまま突っ走る。」
大竜との追いかけっこが始まる。
しかし、流石に大竜には勝てない。
逃げる五人と大竜との距離が近づく。
「食えるもんなら食ってみな。」
「そう急くな。ご馳走は用意してある。」
中心を走るエリクとグレンは、迫る噛みつきを避けながら走る。
それでも、逃げれている。
そう思った直後、後ろからの足音が消えた。
その代わりに、翼の羽ばたく音と影が迫ってくる。
すかさず、仲間に指示を出すグレン。
「避けろっ。」
「言われなくてもっ。」
中心にいたグレンとエリクが飛び退く。
何とか避けられたものの先に回られた。
着地した大竜が振り向き待ち構える。
「任せなっ。」
「続きます。」
今度は、シルファとユーリアが先頭に出て大竜に突っ込む。
まず大竜は、迫るシルファに噛みつこうと襲いかかる。
それを、滑り込んでかわす。
「おせぇよ。」
そのまま横を抜ける。
今度は、ユーリアが頭の上に上がり背中を駆ける。
暴れる大竜。
「今の内に。」
その横を他のメンバーが通る。
そして、大竜から降りたユーリアが最後に続く。
目の前に争う大虎と、大きな猪の様なもの。
猪は沢山の子分をつれている。
「見えたぞ。」
「そのまま突っ走れ。」
争う二対の間を駆け抜けた。
その後に、大竜が戦場に突っ込んだ。
吹き飛ばされる大虎と大猪。
立ち上がって大竜を睨む。
その事により、戦場は三つ巴となる。
その間に、大竜を引き連れたグレン達は崖に隠れる。
「何とか成功したな。」
「今の内に逃げてくれたら良いんだけどな。」
「問題ないっしょ。アリアもいるからへまはないんよ。」
「信じよう。」
無事、抜けられている事を祈るばかりだ。
そんな一同に構わず、三つ巴の戦場が動き出す。
まず、大虎が大竜の首に噛みついた。
それに対し、大竜は顔を振り上げそのまま大虎を浮かすと地面に叩きつけた。
その隙に、大猪が横に突っ込んだ。
耐えた大竜は尻尾で大猪を吹き飛ばす。
そして、突っ込んでくる大猪の子分をブレスの火球で吹き飛ばした。
その様子を見守るグレン達。
「流石だな、押し付けて正解だ。」
「でも、どうするよ。俺達じゃ勝てねぇぜ。」
「俺達の役目は囮だ。倒す必要はない。」
「自分もあれと戦う無理ですよ。」
セシルもグレンに同意をする。
戦局は大竜が優先だ。
しかし、二匹も負けていない。
勝てないと悟った二匹が協力を始めたのだ。
今度は、大虎が大竜の足早を噛んだ。
払おうとした隙に大猪が突っ込む。
バランスを崩した所に衝撃を受けた事により倒れる大竜。
もう一度、大虎は大竜の首に噛みついた。
そして、動かないよう大猪が上にのしかかる。
「なるほど、まさか協力するとはな。」
「でも、いつまでも持ちそうにないんよ。」
「無理そう。」
シルファのユーリアの指摘通り、二匹は既に先程の争いでボロボロなんおだ。
大竜を止めておくほどの体力は残っていない。
力を込めた大竜は、大猪を払いのけると、首に噛みついている大虎を大猪にぶつけた。
解放された大竜は、ブレスで二匹を吹き飛ばした。
「やはり、こうなるか。もう少し粘ると思ったが。」
「でも、大竜もダメージが大きいんよ。」
首を二度噛まれた大竜もただでは済んでいない。
噛まれた所から血が滴り落ちている。
噛まれた足も引きずっている。
「でも、あれぐらいなら直ぐに傷口が塞がるだろ。」
「どうするん? 今の内に傷口を広げた方が良いんよ。」
「やるなら今。」
悩むグレン。
仲間は戦闘に行くつもりの様だ。
しかし、目的はあくまで非戦闘。
(越境の近くでこんな奴を野放しにさせておく訳にはいかない。しかし、俺達の目的は既に達成してある。動くべきか。)
結論は出ない。
そして、グレンは考えるのは止めた。
がははと笑いながら崖から身を乗り出した。
「俺達はハンターだ。危うく決意を無下にする所だった。考えるだけ無駄だったな。」
それは、クレハ村の時。
そして、始めてコングの王と戦った時。
逃げずに立ち向かうと決めた時の事。
「行くぞっ。」
グレンが駆け出した。
「待ってましたっ。」
「楽しむんよ。」
シルファとエリクも、後について駆け出した。
「私も。」
ユーリアも駆け出した。
「自分も行きます。」
ハント組に感化されたセシルも駆け出した。
まず、戦闘にいたグレンが大猪の子分の死体の足を掴んでぶん投げた。
直撃した大竜は横に倒れた。
その隙に、ナイフを抜いたシルファとユーリアが首を斬りエリク刺した。
手負いの相手に負けるグレン達では無い。
「効いたか?」
「いや、まだ動くんよ。」
効いているが死なない。
顔を振って、三人を払う。
そして、口から火を放った。
「離れろっ。」
大竜の口からブレスが放たれようとした瞬間グレンが前に出た。
新たに担いだ大猪の子分の死体を、大竜の口に詰め込んだ。
それにより、放たれようとしたブレスが口の奥で爆発した。
すかさず、ボウガンを構えたセシルが引きずる足に矢を当てた。
首から大量の血が噴出した大竜は倒れるとそのまま、動かなくなる。
その直後、死んだと思われていた大猪と大虎が立った。
「危ないっ。」
先に気づいたセシルが叫んだときにはグレンに突っ込んでいた。
しかし、グレンは逃げずに真正面から牙を掴んで受け止めた。
横に反らし体勢を崩させると、牙を殴って叩き割る。
最後に、横を向いた体に突進をして倒しナイフを首に刺した。
それを見た大虎が逃げる。
「逃がさないっ。」
かなわないと悟ったのだろう。
しかし、逃げる前の道に矢が飛んできた。
ボウガンを構えていたセシルが大虎の前に矢を撃ったのだ。
たったそれだけとはいえ、大虎は怯んだ。
「ナイスなんよっ。」
その隙に追い付いたシルファが、足を払い体勢を崩した。
更に首に向かって斬り上げた。
そして、引いたナイフの剣先を向けながら肩で突進。
その勢いでナイフで首に差し込む。
「合わせろユーリア。」
「任せて。」
エリクとユーリアの体の横にナイフを刺して更に押し込んだ。
三人の連携で大虎はついに倒れた。
そこに、大猪を引きずってきたグレンが現れた。
「お前ら、どけっ。」
ナイフを抜いて離れる三人。
大虎までたどり着いたグレンは大猪を背負い投げで浮かせ大虎に叩きつけた。
二匹の口から悲鳴がこぼれる。
「これでもう動かないだろ。」
「流石にな。口から泡が出てるしな。」
「これで動いたら流石と言わざるをえないんよ。」
「勝利。」
獣や大竜が動かなくなって、勝ちを確信した瞬間だった。
その辺りを甘い匂いが包み込んだ。
鳥竜が帰ってきたのだ。
警戒する一同。
「今更何なんよ。」
「今更。いや、違うな。この瞬間を待ってたんだろう。」
「どういう事なんだ?」
空を飛んでいた鳥竜は、地面に着地した。
そして、翼を広げてグレン達を威嚇する。
「戦わせて弱らすのが目的だな。」
「なるほど、弱った所をぱくり。そういう事なんよ。」
「卑怯。」
「そうでもしないと食事にありつけないと思ったのだろう。賢い奴だ。」
大物が集まってしまったのなら戦わせれば良い。
そうすれば、自分は苦労せずに楽に食事を得られる。
つまり今現れたという事は。
「つまり、俺達はたいしたこと無いと。」
「なめられたもんだぜ。」
突っ込んでくる鳥竜。
それをかわす一同。
睨まれたセシルはとっさに下がる。
弱そうなセシルを狙ったのだろうか。
「自分に来るなんてそんなに弱そうに見えますか? まぁ、実際に弱いんですけど。」
「そう悲観するなセシル。お前は役に立っているっ。」
大猪の子分の死体を担いだグレンが鳥竜の体にぶち当てた。
続いて、他の三人が斬り込んだ。
後ろに倒れる鳥竜。
「そうなんよ。ちゃんとやれてるんよ。」
「同意。」
「そのまま、後ろを頼んだぜ。」
セシルを庇ったハント組が前に立つ。
そんな事を話している間に鳥竜が起き上がった。
「くるぞっ。」
先頭にいるシルファをついばもうと襲いかかる鳥竜。
次々とくるそれを、軽いステップでかわしていく。
「遅いんよ。」
そして、懐に入りナイフで腹を斬り上げた。
さらに、足を斬りつけ離脱する。
「とっとと始末するぞ。」
「任せて。」
その上に上がったエリクとユーリアがナイフで斬っていく。
起き上がり二人を払おうと暴れ鳥竜。
「うおらっ。」
しかし、大猪の子分の死体をハンマーの様に振った一撃が顔に直撃。
さらに、振り上げた一撃を食らう。
だめ押しのセシルのボウガンの矢を食らうと、後ろに倒れた。
「大剣なら今ので沈んだが。」
まだ立ち上がる鳥竜。
威嚇をして牽制をする。
「何だ、まだやる気か。」
「そっちがその気ならっ。」
シルファとエリクが駆け出した。
ユーリアが後ろに続く。
もう一度、攻撃をしようとした瞬間だった。
鳥竜の動きの異変に気づいたグレンが叫んだ。
「危ないっ。」
その叫びに動きを止める三人。
鳥竜は、グレンがやった様に大猪の子分の死体を食わえて投げつけた。
叫ぶと同時に駆け出していたグレンが前に立ちそれを受け止めた。
しかし耐えれず後ろに流した。
「くそっ。やってくれるな。」
「知能が高いんよ。」
次の一撃を警戒しようと鳥竜を見ようとした瞬間だった。
いきなりセシルが叫んだ。
「背中を向けた。逃げますっ。」
「しまった。」
そちらを見た時には空に羽ばたいていた。
悔しそうにそちらを見る一同。
「やられたな。」
エリアの奥へと飛ぶ姿を見ているしか出来なかった。
戦闘シーン書くの楽しいです。
その代わりに文章が長くなりましたが。




