事件発生
ハント組とエメリナはハンターのギルドハウスにたどり着いた。
施設もまた装飾がついた家具を使われたり、壁に綺麗な装飾がされていたりと来る者の心を安らげる。
しかし、田舎のハンターには肩荷が狭い。
「ひぇー。本当に入っていい所なん。」
「えぇと。皆さんハンター何ですよね?」
「まぁ、そうなんだけど。こういう場所だとかしこまっちまうな。」
エメリナは不思議そうにハント組を見た。
グレンが間に入って弁明した。
「そういうもんだ。俺たちに構わず受け付けに行ってくれ。」
はぁ、と一応納得したエメリナを先頭に受け付けに向かう。
人はたくさんいたが、構わず受け付けの職員に声をかけた。
「教授のエメリナです。ギルドマスターに取り次ぎをして下さい。」
「すみません。ギルドマスターは今、出かけておりまして。」
不在らしく断られてしまう。
それならばと、依頼書の一覧を見せてもらう。
受け取ったエメリナは、ハント組と受け付けから離れて近くの椅子に移動する。
「それで、何を調べるつもりだ?」
「ウルフの王の討伐依頼です。地上に漏れたボスから越境地の様子を調べます。」
「探索隊とか出ていないもんなん?」
「出てるでしょう。でも重点的には調べては無いはずです。行動範囲を広げて現地の生物を刺激して囲まれてはいけないので。」
そう言いながら、依頼書を捲っていくエメリナ。
沢山の情報を集めるには、少ない情報を手繰り寄せて推測しか無いのだ。
依頼書を置いたエメリナは、メモ帳に何かを書き込んでいく。
「とりあえず、今ある情報をまとめていきます。」
出てある依頼の情報を記していく。
新しい情報が大事な基本な事だとエメリナも知っている。
エメリナがメモを書き終えてメモ帳をしまう。
「どうだ? 何か以上は無いか?」
「何匹か下りてきてる。一応、全ての依頼が受注されていますね。」
「なるほど、じゃあそこから縄張り争いが激しい所が絞れると言うわけだな。」
「そうですね。後はガーネリヤが集めてくる情報と照らし合わせるだけです。」
用事が済んだので依頼書を受け付けに返しに行く。
その時、ギルドハウスの入り口が開かれ男性が入ってくる。
男性はなんだか荒れているようだ。
「くそっ、何で一つも情報を寄越さない。使いっぱしりにさせるために、ハンターを送った訳じゃねぇんだぞ。」
奥の部屋に入ろうとする男性。
それを、受け付けの職員が慌てて止めた。
こちらを指差して何か話している。
エメリナが来た事を報告しているのだろう。
しばらく考え事をしている男性はエメリナの所に来た。
「待たしてすまないね教授。私に何か用事でも。」
「騎士団の事で何か情報が無いかと思いまして。」
「あぁ、まさにそれについて対応していた所だ。すまないが、私の部屋に来てくれないか?」
勿論の事だがギルドは既に動いていたようだ。
それにしては、芳しくは無さそうだが。
部屋を移動する前に、ハント組を紹介するエメリナ。
「部屋を移動するのは構いませんが、こちらの方々も一緒でよろしいでしょうか。」
「彼らは誰なんだい?」
「私と行動を共にするハンターです。知り合いの連れなので信頼は出来ます。例の事情も知っています。」
「なるほど、教授がそういうなら問題無いな。ここのギルドマスターを勤めている。」
「ハンターチームのリーダーを勤めているグレンだ。」
お互い手を差し出し握手をする。
あっさりとハント組が受け入れられた。
それだけエメリナを信頼しているのだろう。
教授の後をついて奥の部屋についていく一同。
案内された部屋のソファに座る。
「それで、何か荒れていたようですが。」
「実はな、先日行方不明になった騎士団の件は分かってるな? それで、捜索隊を守ってくれって依頼が来たから何人か送ったんだ。しかし、しばらくたっても連絡は無し。先程、王都に行ったが追い出された。一体、何が起きたか教えてくれてもいいだろって怒ってた所だ。」
「なるほど、多分伝える情報が無いのでしょうね。」
え、とギルドマスターは驚いてエメリナを見た。
断言したエメリナに唖然としているのだ。
構わずに情報を付け加えるエメリナ。
「捜索隊も行方が分からなくなったのでしょう。」
「そんな、馬鹿な。だって送り込んだハンターはそこそこの星持ちだぞ? あんな所でやられる奴等じゃない。」
否定するギルドマスター。
無理も無い、事情が分かっていないのだ。
情報を持っているエメリナがギルドマスターに説明をした。
生態系がおかしくなっている事を伝える。
「それは本当なのか? そんな報告は無いが。」
「恐らく、騎士団の件がこの地域の第一例なのでしょう。実際、他では既に観測されてるわ。これから、当事者がまとめた論文を発表して本部と王都に事情を知らせるつもりよ。」
「教授が言うのならそうなんだろうな。しかし、それなら、尚更どうすればいいんだ。」
いくら人を送り込んでも帰ってこないだろう。
そうなると、この先ギルドとしてまともに動けなくなる。
責任者のギルドマスターとして、何とかしないといけないがどうにも出来ない。
すると、グレンがギルドマスターに質問をした。
「支援施設はどうしたんだ? 向こうの事が分かっているなら連絡を取り合っているはずだ。」
「現地の情報を伝えてから音信不通でな。だから、騎士団に情報を聞きに行ったが。」
それで、追い出されたと言う訳だ。
ならば話は早い。
エメリナが、ギルドマスターに提案する。
「今回の事件。全部私に一任しくれないでしょうか。」
「何だって!?」
驚くギルドマスター。
あまりもの提案に開いた口が塞がらない。
エメリナが話を続ける。
「どうせ、学会に頼る事になるでしょう。元々、私達はそれについて調べていたの。こちらとしても、ギルドが手伝ってくれるならそれに越した事は無いのよ。」
「でもどうする。調査出来る様な場所じゃ無いぞ。」
「えぇ、だから彼らがいるの。」
エメリナがグレンを見た。
グレンは、頷いて受け入れる。
元々、行こうとしたので問題は無い。
「俺達に任してくれ。」
「しかし、上等なハンターですら帰って来なかったんだ。大丈夫なのか?」
「何だぁ? 俺達には無理ってか。」
「心外。」
「彼らは、弱い個体とは言えドラゴンを倒したチームですよ。」
グレン達の代わりにエメリナが答えた。
ギルドマスターは、悩んでいる。
いきなりそんな事を言われても納得は難しいだろう。
「ドラゴンか。本当にそうなら任せられるが。」
「信じなくても構わないです。私が信じているもの。」
「分かった。それがそこまで言うなら、教授が信じる彼らを信じよう。」
「期待に答えられるよう頑張るつもりだ。」
力強く答えるグレン。
これで、ギルドの協力を得た。
早速、エメリナが指示を出す。
「ギルドマスター、例の地域一体に立ち入り禁止にして欲しいんです。それと、一体の依頼の受注の中断も。」
「分かった。すぐに手配しよう。」
「えぇ、何かあれば私の研究所に。」
ギルドマスターに別れを告げギルドハウスを出る。
そして、来た道を戻り研究所に戻った。
そこでは、既にガーネリヤが準備をしていた。
アリアと何か話している。
「やぁ、戻ったね。準備は出来ているよ。」
「分かったわ。早速報告してね。」
ガーネリア、アリア、エメリナがの三人が机を囲む。
グレンも代表して話を聞いている。
「まずこれを見てくれ。今までの縄張りの位置を調べてある。」
机の上に紙の束を乗せるガーネリア。
いつだか、支援施設で見た縄張りの地図。
その、ここの地域の物を記したものだ。
そして、紙を捲っていく。
「捲る度に新しい物になっている。分かるな?」
「どんどん、越境線に近づいているわね。」
「記す時にずれた訳でも無いなら、やはりそういうことでしょうね。」
ウルフのボスが追い込まれているという仮説が立証された事になる。
更に、最後に連絡があった資料を見る。
「ここのルートが騎士団の通った筈のルートだね。」
「縄張りに入っているわね。」
「でも、ただの肉食の小竜の群れですね。騎士団の皆さんが倒される事何て無いはず。」
「実際、調査隊は見ていないらしい。討伐されたという事で間違いないだろう。」
資料を見ながら考えていく三人。
騎士団通った筈の道から現場を割り当てていく。
「ならば奥か。」
「でもそんな奥に行ったという事何てあるのかしら。」
「囲まれたから退避したのですかね。」
悩む三人。
話合いはなかなか終わらない。
やはり、現場を見ない事には分からないのだ。
その時、通信機がなった。
その音で話合いが中断し、三人は通信機を見る
「ごめんなさい。席を外すわね。」
エメリナが通信機を取る。
受話器の向こうから、ギルドマスターの声が聞こえた。
何かあったのか慌てている。
「エメリナです。どうかしましたか?」
『教授か? 良かった。先程、支援施設から通信が来てな。』
「何て言ってたんですか?」
『いや、緊急コードだけが送られてきただけだ。』
緊急コード。
何か起こった時に救助を呼ぶ物だ。
通信は送れれるが、通話は出来ない時に使われる。
『例の件があって、救助は出せない。』
「私が預かった案件、私達でどうにかしたいのですが。」
「でも、とある事情で武器がないんよ。」
通信機の近くにいたシルファが今の状況を伝える。
予約してまだ一日なので今すぐ用意は期待できない。
グレンしか武器が無い現状。
『ぐっ、見捨てるしか無いのか。』
「いやいや、シルファは行かないとは行ってねぇぞ?」
「そ、救助だけで良いなら何とかするんよ。って事。」
「それだけなら問題なし。」
ハント組は行く気満々だ。
グレンも同じ考えだ。
がははと笑い、宣言する。
「困っている人がいるのだ。ここで動くのがハンターだ。」
「そうね、行きましょう。」
アリアも同意する。
そんなアリアを見て、エメリナは不安気な表情をする。
そんな、エメリナにアリアが近づいた。
「まだ、心配?」
「いいえ、信じるといったもの。一度言った事を変えるつもりは無いわ。」
それでも、ぎゅっと裾を掴んで気持ちを押し止めている。
研究所から出るハンターの背中を見送りながら。
基本的にはガラスに水を通して作る芸術品や水をイメージしたオブジェクトが至るところにあるイメージ




