動き出す巨大な生き物
竜車はハンターを置いて高台へと向かう。
高台の影に竜車を止めた。
周りに危険な生き物がいないことを確認したアリアは前座を降りた。
「ここでやり過ごすわ。」
「りょーかい。」
竜車の中から返事したカリネ。
影となっているその場所は静まり返っている。
何かあれば音でばれるだろう。
竜車の中の通信機からジンバルが話しかけてきた。
『依頼しておいて何だが本当に大丈夫なのか?』
「信じるのも裏方の役目だよ。だから大丈夫。」
この周辺の事がああいうものだと知っていたジンバルだが、あそこまでの騒動になるとは思わなかった。
なので、不安を感じているのだ。
心配するジンバルをよそに、アリアが周辺を見周る。
「この高台変な形ね。まるで片側が崩れてるみたい。」
「気になるの?」
「えぇ、そうね。」
実際、上の方が不自然に削れている。
すると、ジンバルが情報を伝えてきた。
『どこの高台にいるか分からないが、ドラゴンの巣も高台の洞窟の中で見つけたらしい。』
「じゃあ、この高台の可能性もあるのね?」
『かもな。調べてみてくれ。』
竜車から離れて、高台の周りに沿って歩いていくアリア。
すると、洞窟らしき物を見つけた。
中には光が差し込んでいるらしく内部が良く見える。
「入るのは危険ね。それにしても。」
洞窟の奥の方を見たら、その部分の天井が落ちてきているように、一部分だけがぽっかりと空いて空が覗いている。
確実に一部が崩落してあるので間違いないようだ。
良く見ると、一部が土砂崩れで隠れてある場所がある。
「ちょっと行ってくるわ。」
「気を付けてね。」
危ないので、急いでその隠れてある場所へと向かい除き込んだ。
中には、生き物の骨や卵の殻が散乱していた。
写真を撮ったアリアは急いで洞窟から出た。
最後に、洞窟の中も撮って竜車に戻った。
「ドラゴンの巣で間違い無さそうね。」
『やはりそこか。中はどうなってた?』
「洞窟の中は一部が崩れてたわ。その土砂が巣に入り込んでたわね。ドラゴンがいなくなった原因はこの天井崩落で間違い無さそうね。」
ドラゴンがいなくなった原因は分かった。
それじゃあ、何故天井が崩落したのか。
口に手を当て考え込むアリア。
「劣化のわりには、崩れたのが局所過ぎね。」
『なら衝撃か?』
「そう考えるのが自然ね。まさか。」
先程見た足跡のルートを、頭の中で辿って見る。
それからこの場所との関係を推測。
足跡は、確かこの付近へと延びているので間違いない。
「あの巨大な山の様な生き物のせいかしらね。」
『まぁ、それぐらいしかないがな。で、そいつが踏み抜いたとでも?』
「いいえ、尻尾ね。」
削れた部分の大きさを推測して出た推論だ。
踏み抜いたにしては大きくない。
あの大きさの生き物の足なら高台その物を踏み崩しているだろう。
しかし、そうなると大きな問題が発生する。
『つまりだ。あいつがこの辺を歩く度に巣が壊され、色んな奴が放たれる訳か。』
「もう手遅れかも知れないけどね。」
あの巨大な山の様な生き物は別に最初からここにいたわけではない。
ここに来るまで散々やらかしている可能性が否定出来ない。
ジンバルは頭を抱えた。
『そもそも何であんなデカぶつを誰も見つけられなかったんだ。』
ハンターの支援施設は各所にある。
もし近くにあんなものが歩いていれば簡単に分かるだろう。
支援施設があればの話だが。
「施設長の言う通り、支援施設からあれを見つけるのは簡単。じゃあ、見つからなかった可能性と言えば。」
『無いところから来た。と、言うわけだ。』
その結論はとんでもない内容を示している。
話を黙って聞いていたカリネが慌て出した。
「施設が立てられないってAランク以上の場所から来たって事!? それってつまり。」
「そうね、そこにいる生き物達の巣を潰して来たと言うことね。」
『何て事だ。それがもし本当ならば、そこにいる奴等がここまで降りてくる可能性があるぞ!』
まさに、自然の秩序が崩壊する可能性。
たった一匹の生き物だけでそんな事態が起きるのだ。
当の生き物はそんなことを知ってか知らずか、ピクリとも動かずただそびえ立っている。
『すぐに、本部に報告しないといけないな。』
「そうね、よろしく頼むわ。」
もはや、本部が動かないといけないぐらいの事だ。
話がまとまり、各々が出来る事を行おうと動き出す瞬間だった。
ずどーーーん。
激しい音と地響きが周囲に広がった。
とっさに近くに捕まり耐えた二人。
「ふぎゃぁっ。」
「なにっ。一体。」
もう一度の地響き。
音のありかを探ろうとしたが。
はっと、何かに気づいたアリア。
「もしかして。」
駆け出すアリア。
カリネも慌てて竜車を降りた。
『何かあったのかっ!』
「ちょっと後でっ。」
ジンバルを無視し影から飛び出した二人は音の現況を見た。
巨大な山が歩いている。
その姿に見いる二人。
すると、この辺りを調べていたアリアがある事に気づいた。
「あの先、町があるわ。」
「そんなっ!?」
大竜と戦っていたハント組を見たアリア。
どうやら、戦いは終わっているようだ。
二人は、急いで竜車に戻った。
「急ぐわよっ。」
「りょーかいっ!」
アリアは、急いで竜車を走らせた。
影から出て、他の仲間の元へと向かった。
『一体何がっ。』
「巨大な奴が町に向かって歩き出したっ。」
『何だとぉっ!』
あまりの出来事に叫ぶカリネとジンバル。
竜車はすぐに、仲間達の元についた。
「乗って! 速く!」
急に声をかけられて驚いたものの、一同は急いで乗り込んだ。
グレンがアリアに尋ねた。
「何があった?」
「あれが向かっている先に町があるのよ。」
乗り込んだ一同は驚愕した。
思ったより事の事態が大きい。
全員を乗せた竜車が走り出した。
「そんな事が。それであれを止めに行くんだな。」
状況を瞬時に理解したグレン。
しかし、シルファが慌てて否定した。
「いやいや、あれを止めるって? どうやってなんよ。」
「分からない。でもやるしかないわ。」
放って置くわけにもいかない。
竜車は、巨大な生き物に向かって駆けて行く。
「ジンバル、いるかっ。くそっ、返事が無い。」
「恐らく向こうも何か動いてるんでしょう。今は、私達に出来る事をしましょう。」
「そうだな。」
とは言っても、どうすれば良いかが思い付かない。
竜車はだんだんと巨大な生き物に近づいていく。
だんだんとその大きさが大きく見えてくる。
地響きもだんだん大きくなり、その度に竜車が揺れる。
「もう少しっ。」
「絶対無理なんよ。これぇ。」
最早絶叫に近いシルファの叫び。
他のメンバーも、同じことを思っている。
それでも何かしないといけない。
グレンは考え抜いた結果、偵察組に指示を出した。
「とりあえず、ボウガンを撃つか。コガラキ、セシル。」
「えぇっ、あぁもうやけっす。やってやるっすよ。」
「自分も出来る限りやります。」
かなりの無茶ぶりだ。
それでも二人はボウガンを構えた。
巨大な生き物の横に竜車を並べて走る。
あまりの巨大さに見上げなければいけないほどだ。
コガラキとセシルは、ありったけの攻撃を与えていった。
何度か爆発が起こるが、全く効いていない。
「やっぱ無理っす。」
「自分のも全く効いていないです。」
「やっぱり無理か。」
そもそも当たっているか疑問を持ってしまうぐらいに影響を感じられない。
それでも攻撃を与えていく。
エリクが武器が壊れたことを悔しがる。
「リーダー以外は武器が無いからな。」
「あったところでなんよ。どうやって攻撃するん。」
「無理。」
そうしている内に玉や矢が減っていく。
竜車の中の在庫もどんどん減っていく。
他の策はまだ見つから無い。
「奴が荒れ地を抜けるまでどれぐらいだ。」
「まだ、あるわ。」
まだチャンスはある。
そう思った直後だった。
岩影から大きな影が現れた。
「草食の大竜かっ。縄張りに入ってしまったのかっ。」
「普段は温厚な筈なのに、あれを見て錯乱してるわね。」
縄張りに巨大な物が現れたので焦っているようだ。
無理も無いだろう。
草食の大竜は、竜車に向かって走ってきた。
「何でこっちを襲うんよっ。」
「錯乱してそんなの分かんなくなってるんでしょう。」
迫ってくる王竜。
雄叫びをあげながら突っ込んでくる。
アリアは、竜車の速度を落としかわした。
エリクが悪態をついた。
「くそっ、武器はないぞっ。」
「時間も無くなるんよ。」
体勢を立て直した大竜がまた迫ってくる。
しばらく悩んだグレンはコガラキに指示を出した。
「コガラキ、煙りをまけっ。このまま、縄張りの外まで行くぞ。」
「分かったっす。」
煙を巻いたことにより大竜は竜車を見失った。
しかし、周りを見ながらもついてくる大竜。
大竜にの追跡をかわしながら巨大な生き物を止めるべく進む竜車であった。
ここまで降りてくる可能性があるぞ(フラグ)




