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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
町編

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支援施設。

「よし、速度を落とせ。」


 支援施設に入る準備を始める。

 コガラキが笛を吹いて鳥を呼び寄せた。

 速度を落とした竜車が支援施設の門の前に近づくと門が開いていく。


「早く来い。」


 中にいた人が合図しているので門をくぐった。

 その瞬間、背後の門が閉まった。

 門番の前で停止した。


「この時期に客人とは珍しいな。」


 門番が近づいて話しかけてきた。

 竜車から降りたグレンが対応した。


「他のハンターがいるだろう。」


「ここ最近は荒れ放題だから誰も来ねぇんだ。」


 異常な事が起きているのは、何となく分かっているらしい。

 まさに予想もつかない客人だったと言うわけだ。

 ならば話しは速い。


「その事で情報を貰いに来た。通っていいか?」


「あぁ、カードの確認をさせてくれ。」


 グレンは門番にカードを渡した。

 門番は、確認し返した。


「よし、通っていいぞ。」


「ありがとう。」


 グレンが竜車に上がると竜車が動き出した。

 少し進み、施設の入り口前で停止する。

 竜車から、グレンとアリアが降りた。


「カリネ、留守番を頼む。他の皆はついてきてくれ。」


 カリネ以外のメンバーが竜車から降りて施設の中に入った。

 中は広く所々に椅子があり、その奥に大きなパネルが置いてある。

 入り口にある受付に、情報の担当者を呼んで貰う。

 中に入った一同は、それまで椅子に座り自由にすごす

 そんな中、セシルは大きなパネルを見た。


「大きい。何だろうこれ。」


 パネルには巨大な地図が置かれており、各所が黄色や赤色で分けられている。

 その地図を見ていたセシルに男性が声をかけて来た。


「そいつは地図だ。そいつを見るのは始めてか?」


「え? あなたは?」


 男性に視線が集まる。

 男性はパネルの前に立ち自己紹介を始めた。


「施設長のジンバルだ。よろしく。」


 まさか責任者直々に現れたのだ。

 リーダーのグレンが責任者として自己紹介を返した。


「俺達はハンターチームだ。そして俺はリーダーのグレンだ。」


「なるほど、ハンターか珍しいな。」


「門番も言っていたな。そんなに荒れてるのか。」


 ジンバルは、溜め息をついた。

 そして、パネルの地図を見上げた。


「地図を視てくれ。真っ赤っかだろ? 縄張り争いをしている場所は赤色で示してるんだが、ほとんどが赤だ。」


 実際に施設の周りを中心に赤色が広がっている。

 黄色もあるがほとんど無い。


「原因は分かっているのか?」


「さぁ、こんな状況だから施設から観測出来る範囲しか分からねぇ。この間、気球を飛ばしたが竜のブレスで落とされた。」


「随分、追い込まれてるんよ。」


 恨めしそうに地図を見上げている。

 観測が止まってるならギルドの手助けがありそうだが。


「ギルドには連絡をしている筈だが。」


「あぁ、新しい気球を送ってくれる事になっている。ただ気球が落とされたのは最近だ。この短い間に何か大きな事は起きないだろうと考えているらしい。」


 一応動いてくれてはいるようだ。

 しかし、対した対策は打てていないようだ。

 荒れていると言うのにだ。

 アリアがその事について質問した。

 

「縄張り争いは激しくなっているのよね? なのに何もしないの?」


「こんな事はしょっちゅうだ。対策しようが無い。」


 ジンバルは、あっさりと答えた。

 いつもの事なので慣れてしまっているのだろう。

 ならばと、早速こちらの事情を話すことにした。

 何故ここまで来たのかを、クレハ村の出来事から話していく。

 その度に、ジンバルの顔は険しくなっていく。


「ドラゴンが境界線を越えて村を襲った? そんな馬鹿な。」


 やはりここでも驚かれる。

 ジンバルは、顎に手を当て考え出す。

 

「確かにこの近くにドラゴンが巣を作っていたのは確かだ。でも追い出される程の存在じゃあ無いはずだ。」


「クレハ村を襲ったのは、全身がごつごつした固い鱗で覆われた奴だったわ。」


「確かにそんな品種だった。まさか、観測出来ない間にそんなことがあったのか。」


 どうやら、納得してくれたようだ。

 グレンは他に情報がないか訪ねた。


「小さい事でも良い。何か情報は無いか?」


「実はな、気球が落とされたその時、大竜共が争っていんだ。気球はその争いに巻き込まれて墜落したんだ。」


 ジンバルはその時の情報を出来る限り思い出していく。

 そして、グレンの情報と照らし合わせる。


「その時は只の派閥争いか何かと思っていたが。その地域を納めていた王様がいなくなった事によってその後釜の奪い合いをしたと考えると辻褄が合う。」


 ジンバルは大竜の争いの原因に納得がいった。

 しかしそれはドラゴンがいなくなった後の話。

 ジンバルは話を本題に戻した。


「それで、ドラゴンがいなくなった原因だが分からない。もし、お前たちの言うことが本当なら一大事になるという予想は正解だ。だけど、俺達には何も出来ない。」


「だから、俺達が来た。」


 グレンは力強く答えた。

 ジンバルはふっと笑った。


「お前ら、ドラゴンを倒したんだったな。分かった。お前達に依頼を出そう。俺達の代わりに調べてくれ。」


「元からそのつもりだ。だからありったけの情報が欲しい。」


「あぁ、俺達が全力でサポートをする。任せたぞ。」


 支援施設のバックアップを受けれる事で決まった。

 話しは作戦の内容に移る。

 改めてパネルの地図を見た。


「お前たちの目的地はこの洞窟。この辺りで例のドラゴンが観測されていた。」


「でも施設長の話し通りなら、縄張り争いをしていた奴の活動区域内。」


 ジンバルの説明をグレンが補足した。

 新たな王が生まれたなら、勿論の事縄張りを作ってるだろう。

 しかし、そこまで行くのに問題がある。


「その場所までの道が真っ赤何だけどよ。」


 エリクの指摘通り、そこまでのルートが真っ赤だ。

 楽に進めるルートで無いのは確かだ。


「俺達も観測隊を出したいから静めて欲しいんだが。」


「そうだな、俺達も竜車を停めておくスペースが欲しい。狩った方が良いな。」


「それじゃあ、そこは俺達が上手く誘導する。だが、上手く行くとは思わないでくれ。」


「物騒な事を言うんよ。まったく。」


 呆れるシルファ。

 ジンバルは、作戦のまとめに入る。


「お前達が倒すのは三体だ。森で争っている大熊と、肉食の小竜のボス。そして、荒れ地を支配する大竜だ。今から、この三体に討伐依頼のクエストを発注する。受けてくれるな。」


「もちろんだ。」


 拒む理由は無い。

 援軍を得たのは心強い。

 迷いなくクエストを受けた。


「通信機はあるよな。作戦の細かな内容はそっちが決めてくれ。欲しい情報があるなら、逐一言ってくれよ。」


 ジンバルと別れ、チーム一同は竜車へと戻ってきた。

 竜車の通信機を支援施設に繋げた。

 他の人から聞こえるように設定する。

 通信機からジンバルの声が聞こえた。


『大熊と竜どっちから行く?』


「竜から攻めるわ。」


『分かった。何時でも出撃してくれ。』


 階段を引き上げ竜車を走らせる。

 門が開いたのでそのままくぐった。

 抜けたと同時にジンバルの報告が入った。


『竜のボス確認。群れを引いてるな。そのまま、森で囲われた左の道を行け。』


「もう特定したのか速いな。」


『支援施設をなめんじゃねぇぞ。』


 嬉しそうに自慢をするジンバル。

 そのジンバルの言う通りの道を進む。

 竜車の上に上がったコガラキが笛を吹いて鳥を飛ばした。

 周りの警戒も欠かさない。


『そろそろ接触するぞ。どうするんだ?』


「作戦はもう決まっている。」


 竜との距離はぐんぐん縮まっていく。

 そして、竜車からもその存在を確認することが出来た。

 接触すると見せかけ、肉食の小竜の横をすり抜けた。

 そして、そのまま進む方向を変えた。


「コガラキっ。」


 コガラキは、ボウガンの引き金を引いた。

 ボウガンから飛び出た玉は、小竜ボスに直撃し小さな爆発を起こした。

 竜車に怒りを向ける小竜のボス。

 一声吠えて、子分に突撃の命令を出し追いかけた。


「作戦成功。追いかけてくるっす。」


「よし、このまま逃げるぞ。」


 逃げる竜車に追いかけてくる小竜。

 その様子を見たジンバルが疑問を持つ。


『おい、そっちは大熊がいる場所だぞ。いや、そういうことか。サポートする。』


 そう、竜車が向かうのは大熊が確認されたと言う方向だ。

 これには理由がある。

 それにいち早く気づいたジンバルは、大熊の場所を特定を始めた。

 大熊の位置はすぐに見つかった。


『そのまま、進んで左に逸れて行け。』


「分かった。」


 ジンバルから情報を聞いたグレンは、アリアに伝えて後ろから追ってくる小竜を見た。

 さすがに相手に部がありその距離は、どんどん縮まっていく。

 ボウガンのへの設置を済ませたセシルとコガラキに指示を出す。


「どんどん撃っていけ。」


 コガラキは、もう一発爆発する玉をぶつけた。

 爆発を受けるも怯むだけだ。

 そして、セシルも始めてのボウガンでの攻撃を行う。

 小竜に向けて撃つと直撃。

 こちらも少し怯んだ。


「よしっ。」


「なかなかやるっすね。」


 喜ぶセシルを誉めるコガラキ。

 反動で肩にずしりときたが、対した事では無い。

 次々と、ボウガンの攻撃を当てていく。


「くるぞっ。」


 それでも小竜の群れは迫ってくる。

 もう少しまで届きそうな距離まで来ると竜車に飛び付いた。

 その瞬間、エリクが槍で払い追い返した。

 地面に叩きつけられる小竜のボス。

 睨むように立ち上がると、また追いかけ始めた。


「おっと、そんな物騒な顔したって、乗車お断りだぜ。」


「うちの小竜を見習って欲しいもんなんよ。」


「うちの子達はかわいい。」


 相手の小竜と謎に張り合うハント組。

 しばらく追い続けられていると、子分達が両側から挟むように展開した。

 慌てる一同。


「あー。横からとか卑怯だろ。」


「カリネ先生どうにかならないんか。」


「んーー。無理っ。」


「とりあえず、あっしは上から撃つっすね。」

 

 コガラキは、苦笑いしながらも竜車の上に上がる。

 しかし、両側の対応するのは大変だ。

 すると、アリアが身内の小竜に指示を出す。


「私に任せて。」


 竜車を木のすれすれを走らせることによって片側を排除した。

 しかし、まだもう片方が残っている。

 もう一度小竜に指示を出す。


「皆、捕まって。」


 アリアの指示通りに一同が近くに捕まった瞬間。

 急な幅寄せを行い、竜車を子分達にぶつけ木に叩きつけた。

 これでもう片方も、排除する事が出来た。

 安堵する一同にジンバルの連絡が届く。


『そのまま行くと崖だぞ。気を付けろ。』


「分かった。」


 グレンは、ジンバルの指示をアリアに伝えた。

 ジンバルの言う通り木がない平地に出た。

 前は行き止まり。

 それでも小竜のボスの子分達は迫ってくる。


「大熊は?」


『大丈夫だ。』


 森の茂みから大きな影が現れた。

 その影は小竜のボスの横に向かって突進した。


『間に合った。』


 横からの衝撃を受けた小竜のボスは吹き飛んだ。

 立ち上がると、自分を吹き飛ばした大熊を睨み付けた。

 その間に竜車を止めると、ハント組と偵察組が竜車から降りた。

 一同は、にらみ合う大熊と小竜の群れへと歩き出す。


「まとめて潰す。異論はないな?」


『検討を祈る。』


 ジンバルはただ一言そう返した。

支援施設には周りから分からないよう擬態(岩肌)している高い建物があります。

そこにある望遠鏡から周りを観察してグレン達をサポートしている設定です。

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