勉強会
「決行は明日だ。各自、準備を済ませておけよ。」
準備は必要だ。
しかし、時間が無い。
速い出発が求められるのだ。
話を終えると、グレンはセシルを呼んだ。
「セシル、ちょっと待ってくれ。前のクエストの報酬を渡す。」
グレンは、セシルに封筒を渡した。
セシルはそれを受け取ると表に書かれてある文字を見る。
中に入ってあるお金の金額が書かれてある。
こっちに来たときに持って来た分を越える分のお金が入ってあるようだ。
「こんなにいいんですか?」
「今回のクエストを依頼したのは商業ギルドだからな。それなりに報酬が支払われたんだ。」
商業ギルド的には生命線となっていた問題だけにお金をかけたのだ。
セシルは封筒を懐に閉まった。
すると、シルファがセシルに質問をしてきた。
「何に使うんか決めてるん?」
「はい、ハンターの勉強がしたいので本でも買おうかと。」
素人のハンターがプロの中で貢献するには、知識も必要なのだ。
前々から始めての報酬で買おうと決めてたのだ。
その話を聞いたアリアがセシルに提案した。
「じゃあ、研究所に来ない?」
「えっ、急に行ったらお邪魔になるんじゃ。」
ドラゴンの骨の研究で忙しいんではないか。
それに、元々やっていた研究もあるのではないか。
セシルは、その様な場所に行って邪魔をしたくないと恐縮しているのだ。
「大丈夫よ。教授に紹介するわ。」
もしそうならありたい話だ。
時間は無いのだ。
申し訳ないという気持ちはあるが、自分に出来る事はしておきたいのだ。
「お願いします。」
「そう? じゃあ、早速行きましょう。」
食事を終え準備をする。
そして、アリアと共に拠点を出て研究所へと向かった。
研究所に向かっている途中、アリアが話しかけてきた。
「教えて貰う事は決めてるの?」
「はい。モンスターの種類とかですか植物の種類とかですかね。」
これから遭遇する可能性は増えてくるのだ。
いちいち聞いて仲間の動きを止めてしまいたくないのだ。
その他にも、ハンターに必要な知識があれば教えてもらいたいと思っている。
話をしていると、二人は研究所へと着いた。
「どうぞ中へ。」
研究所の扉を開けたアリアは、セシルを中に招いた。
中に入り奥へと向かうアリアについていく。
部屋に入ると中にいる人物に声をかけた。
「教授。いらっしゃいます?」
「あら、アリア? どうしたのかしら?」
中でお茶を飲みながら休んでいた教授が反応する。
それに答える前に、セシルに中に入るよう促すアリア。
教授は、急な来客に驚いている。
「その子はこの前にいた子よね。」
「はい、ハンターに成り立てで勉強したいと。」
「はい、皆に迷惑をかけないよう勉強したいと思っています。ご教授お願いします。」
アリアの紹介に続いて自己紹介したセシルは頭を下げた。
それを見た教授は立ち上がりセシルに近づいた。
「そう、あなたも行くのよね。いきなり行くのは不安でしょう。いいわ、教えてあげる。」
「ありがとうございます。」
もう一度、セシルは深く頭を下げた。
教授は元の机に戻っていく。
「アリア、準備をするから展示室に案内してあげて頂戴。」
分かりましたと答え、アリアは部屋を出た。
セシルもそれに続く。
向かった先は、この建物の中で一番広い部屋。
その中には、沢山の生き物の骨格が並べられていた。
「沢山ありますね。」
「えぇ、倒した生き物の骨はここに運んで教材にとして使うの。ほら、奥を見て。」
アリアに言われた通りに部屋の見た。
そこには、例のドラゴンの骨が展示してあった。
「他にも、私達のチームが提供した骨はいくつかあるわ。」
セシルは、興味深く沢山の骨を見ていった。
そうしていると教授がやって来た。
ホードを取り出し始めると、アリアが椅子を並べ始めた。
「もう見たかしら。これらの骨はこの町の近くに住んでいる生き物たちの骨なのよ。ドラゴンは違うけどね。」
椅子に座るよう促されたセシルは、ボードの前の椅子に座った。
アリアは、ボードの横に立つ。。
「そもそも、ハンターが倒す生き物はどれぐらいいるか分かっているかしら。」
「大体は、分かります。」
「そうね、報告によると色々見てるらしいわね。それじゃあ、分類に分けて見ていきましょう。」
教授は、ボードに何かを書いていく。
「主に私達は、柔らかい皮膚と立派な毛を持つ生き物を獣属。まんま虫の生き物は虫属。体を固い皮膚で覆っている生き物をモンスター属で分けてるのよ。その中で大型と小型に分けているのね。」
「大物と小物は、成長仕切った時の大きさで決まるわ。セシルが見たのは全部小物ね。」
あのドラゴンですら小型なのだ。
大型となるとどれぐらいになるのか想像が出来ない。
「人間の住みかを荒らすのは、ほとんどが小型の獣属か虫属。それ以外は基本現れる事は無い筈なのよ。」
ドラゴンがクレハ村に現れたのは非常識な現象なのだ。
そして、その非常識が世界中で起きようとしている。
セシルは聞きたかった事の質問をする。
「ハント時に気をつけなくてはいけないことは何ですか?」
「あら、良い質問ね。それは、これから説明する生態系に関わることよ。」
教授はさらにボードに何かを書いていく。
獣属とモンスター属を分けて書きいくつかの丸を書いた。
「獣属とモンスター属には大きな違いがあるの。それは、群れで動くかそうじゃないかよ。獣属や虫属は基本、子分、もしくはつがいを連れて動くの。」
「つがいがいないと見せかけていたなんて事は良くあったわね。」
経験者は語る。
数が多いとそれだけ対処が困難になるのだ。
「それと違って、モンスター属は基本一体で動くわね。下手に巣に入ってしまうと、つがいに挟まれる事があるらしいけど。その分強いわよ。一つの町を破壊したと言い伝えもあるぐらいね。」
そんな恐ろしい話を、教授はさらっと説明してしまう。
「そんな生き物が人間の住む場所に降りてきたらどうなるんですか?」
「滅ぶわね。そうならないようにギルド直属のハンターチームがいるけど何匹も相手出来るほど強くは無いわ。」
セシルは、そんな生き物がいるとは思わなかった。
どれだけ狭い世界でくらしていたのか実感したのだ。
「まぁ、相手の勢力がどれぐらいかを知るのかが大事なのよ。」
そして、それを調べるのが偵察隊の仕事であり、セシルの仕事なのだ。
教授は、ボードの文字を消してからしまった。
「環境にも気を付けなさい。戦場によって戦い辛い場所もあるわ。生き物の中にはそういう場所に住む物もいるのよね。」
教授は建物の奥に向かった。
二人も続く。
そこから、外へと向かう。
「さて、座ってばかりだと疲れるわよね。ちょっと手伝って頂戴。」
建物の奥には沢山の植物が植えられていた。
色とりどりの植物が辺り一面に広がっている。
「さて、植物の勉強をしましょうか。植物を摘みながら説明していきましょうね。」
セシルは、植物の前に案内されると籠を持たされる。
それから、説明を受けながら植物を摘んでいく。
効能や生息場所と食べれるかどうか。
アリアも一緒に摘んでいく。
「これで一通りは説明したわね。まだ、聞きたいことはあるかしら?」
説明が終わると植物が入った籠を返した。
最後にセシルは一つ質問をする。
「どうすれば皆の役に立てますか?」
教授には、分野違いの質問なのだろう。
でも、聞いておきたかったのだ。
「そうね、与えられた事をしっかりこなす。では、ありきたりね。そうね・・・。」
教授は、一面に咲く植物達を見据える。
そして、しばらくして口を開いた。
「知りなさい。この世界に興味を持ちなさい。知識は絶対にあなたを助けるわ。
なんて、これぐらいしか言えないわね。ごめんなさい。」
申し訳なさそうに、セシルに笑いかける。
そんな教授に、ありがとうございますと頭を下げたセシル。
こうして、説明会が終わり帰る事となった。
アリアは、研究所に残るようだ。
「あなた。いえ、セシル。もし無事に帰って来ることが出来たら、研究所によって頂戴。今度は研究所で育ててある植物で作ったお茶を飲ませてあげるわ。」
「はい、是非お願いします。」
さようならと別れたセシルは、拠点へと帰る。
教授とアリアは見えなくなるまでセシルを見送る。
「良い子ね。」
「そうね。」
「守ってあげなさいよ。」
「分かってるわ。でも・・・。」
アリアは一呼吸を置く。
そして、セシルが向かった道に背を向けた。。
「その必要は無いかもね。」
セシルの努力をチームのメンバーはしっかり見ている。
いつか、自分達と肩を並る事を信じているのだ。
それだけ言うと、アリアは研究所に戻る。
自分の出来る事をする為に。
(勉強になった。)
拠点へと戻ってきたセシル。
真っ先に訓練場へと向かった。
そして、目を閉じて集中する。
頭の中でコングの王と会ったときの恐怖を思い出す。。
(まずやるべき事は、恐怖に打ち勝つ。)
あの時の恐怖をしっかりと心に叩き込むのだ。
慣れるために。
恐怖を知る為に。
しばらくすると、体を動かし出した。
(皆の役に立ちたい。)
運動は夜まで続いた。
長い間動けるようになってきた。
運動が終わると、しっかりと昼の残りのパンを食べしっかりと寝た。
こうして、次の日を迎えるのだった。
またしても説明会。でも必要な事なんです。
あと、最後の方フラグみたいになっちゃいましたが、違うので安心して下さい。
今度こそ次の町に行きます。




