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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
町編

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帰還

 コングの王の死体を確認する。

 脈はない。

 無事、討伐出来ているようだ。


「厄介な相手だったな。」


「体の芯は熱いのに、表面は冷え冷えなんよ。」


「鳥肌、収まらない。」


「だが、学びを得ることが出来た。これで安心して上を目指せるな。」


 今の力でも通用する事が分かったのだ。

 ハント組は、休んで息を整える。

 その様子を見ていたセシルもまた、座り込んで休んでいる。


「最後、良く動けたっすね。どうっすか?」


「体の震えが止まらないですよ。心臓が口から出そうです。」


「冗談を言えるなら大丈夫そうっすね。上出来っす。さ、皆と合流するっすよ。まだまだやることはあるっすからね。」


 コガラキは、セシルに手を差し出した。

 その手を取り引っ張られながら、今だ震える足を踏ん張り立ち上がる。

 そして、休息を取っているハント組に合流する。


「皆、動けるっすか?」


「なんとかな。そっちも問題無さそうだな。」


「はいっす。それじゃあこの辺り見回りするんでそのまま休んでて下さいっす。」


 偵察組は、周囲の偵察を始める。

 隠れている子分がいないかや、巣の様子など調べ上げギルドに伝えるためだ。

 森の周囲を確かめながら巣の中に向かう。


「盗まれたものっすね。」


 巣の奥は、盗まれたと思われる物が散乱していた。

 そして、中央には革製のカバンなどが敷き詰められてある。


「なんですかあれ。」


「ベッド、のつもりっすかね。」


 カバンの中を除くと柔らかい物が敷き詰められている。

 固いものを取り出して柔らかい物だけを残して使っているのだ。

 すると、まだ中を荒らされていない荷物を見つける。

 先程取られた物だろう。


「これだけでも持って帰ってあげるっすよ。」


「他はどうするんです?」


「ギルドに任せるっすよ。この辺りはギルド管轄だから代わりにやってくれるっすよ。」


 そう言って、コガラキは荷物を背負う。

 偵察組は、巣を出てハント組に合流する。


「偵察終わりっす。」


「では戻ろうか。撤収だ。」


「やっと離れれんのか、もう鼻が限界。」


「右に同じなんよ。」


 早くここから離れるべく、真っ先に歩き出すエリクとシルファ。

 二人に続いて、他一同も来た道を戻る。

 離れれば離れるほど、臭いも無くなり段々と楽になる。

 

「やっぱ自然の空気は良いもんなんよ。」


「全くだなぁ。自然に感謝だ。」


「もう、こりごり。」


 臭いから解放され自然の空気を満喫するハント組三人。

 喜びを語り合う。

 その様子を見ながらグレンは、セシルに初任務の感想を訪ねる。


「セシル、始めての大物はどうだった?」


「すごい迫力でした。吐かないようにするので精一杯でしたよ。」


「まぁ、始めてであれだけ動けたんだ。頑張ったな。」


 グレンは、セシルの背中を軽く叩いた。

 褒めてくれたことが素直にうれしいセシル。

 すると、コガラキが二人の会話に混ざった。


「それで、セシルの試験は合格で良いんすよね。」


「そうだな、報告すれば問題なく合格をくれるだろう。」


 これでようやく、セシルも一流のハンターとして認められる。

 村を助ける為の第一歩を踏み出す事が出来たのだ。

 先程までの怯えがどこへやら、やる気に溢れるセシルであった。

 こうして一同は、竜車にたどり着く。

 確認したカリネが階段を下ろしたので上がり込む。


「お疲れさまー。目的は達成したんだよね?」


「あぁ、完了だ。」


「それじゃあ、戻るわね。」


 カリネが階段を上げるとアリアが小竜に指示を出す。

 竜車が、職員達がいた場所へと向う。

 その際、カリネが竜車の中の変化に気づいた。

 

「なんか、臭う。」


 鼻をつまみアピールする。

 装備に付いた臭いが充満したようだ。


「さっきの臭いが染み付いたんだな。」


「すげぇ臭いだったからなぁ。」


「思い出したら、しばらく飯を食べたく無くなったんよ。」


 認識してしまった瞬間、臭いの元である一同もその臭いに気づいた。

 げんなりとした様子で、臭いを忘れようとするも体に染み付いた臭いがそれを阻む。


「どうにか、ならない?」


「臭いを消すアイテムかぁ。材料あったっけ。」


 ごそごそと作業台の引き出しを探すカリネ。

 早速作業に取りかかる。


「俺達の食欲がかかっている。頼んだっ。」


 エリクの頼みをはいはいと流しながらも、カリネはアイテムを作っていく。

 そうしてる間にも、竜車は職員達の下へ辿り付いた。

 グレンは、竜車から飛び降りると職員の所へ向かった。


「目的の討伐完了を完了した。通信機を貸してくれ。」


「おお、そうかい。これで怯える生活にもさよならだな。通信機ならこっちですよ。」


 職員に通信機の下へ案内されると、近くのギルドの施設へと連絡を取る。

 ギルドの施設は各所にあり、ハンターの手助けをしてくれる。

 今回のような、巣の片付けや死体の処理、もしくは持ち帰りたい時に代わりに運んでくれたりする。もちろん、被害にあった人達を助ける為にハンターを派遣の要請もする。

 グレンがギルドの施設に連絡を取っている間に、コガラキは商人に荷物を届けた。


「商人さん、この荷物で間違いないっすか?」


「あぁ、合ってるよ。良かった。これで隣町に薬を届けられる。」


「フルーツは全部食べられてて取り戻せなかったすけどね。」


 真っ先に餌として食べられたのだから仕方がない。

 申し訳なさそうにコガラキが言うと、そんな事無いよと護衛の人が首を横に振って否定する。


「薬が入っただけでも良いんだ。なぁに、流通は戻るんだ。改めて買えば良いんだよ。」


 護衛の人は、嬉しそうに笑っている。

 心のそこから喜んでいるのだ。

 コガラキと遠くから見ていたセシルは、その姿を見て安心したのだった。

 それからハンターチームはギルドを待つ事になった。


「お疲れさま。」


 小竜に近づいたユーリアだが、近づいた瞬間顔を背けられる。

 その場で固まるユーリア。


「小竜って、人間よりも鼻が良いから仕方ないのよ。」


 アリアがフォーローするも、ショックから立ち直れない。

 小竜達は、嫌そうにしながらも、申し訳無さそうにぶもーと鳴いた。


「はいはい、臭い消し出来たからね。」


 カリネは、出来た液体を缶に詰めユーリアに吹き掛けた。

 続いて、他のメンバーにも吹き掛けていく。


「さすがだなぁ。」


「臭いがなくなったんよ。」


 エリクとシルファは自分の体の臭いをかいで確認する。

 ユーリアからも臭いが無くなると、小竜達はぶもーとすり寄った。

 嬉しそうだ。

 そんなこんなで一同下にギルドの竜車がやって来た。

 グレンチームの竜車と違い二足歩行の小竜が竜車を引いている。

 竜車から降りてきた職員の所にグレンが向かうと職員が手を上げ迎え入れる。


「やぁ、グレンさん。相変わらず大活躍ですね。」


「まぁな、わざわざすまないな。」


「いえいえ、仕事ですから。」


 どうやら知り合いのようらしく、仲良く話し合っている。

 職員は、ギルドの竜車の後ろに合図した。

 すると、もう一台の竜車が現れ森へと向かった。

 こっちは、四足歩行の小竜が引いている。


「では早速、サインをお願いします。」


 グレンは、分かったと渡された紙に自身の名前を書いて職員に返す。

 受け取った職員は、確認すると竜車にしまった。


「契約完了と。それじゃあ、後で連絡するよ。」


「商人達はどうする?」


「竜車で送りますよ。」


「そうか、頼んだぞ。」 


 話を終えたグレンは、手を振り職員と別れた。

 そして、自身のチームの竜車に戻ってくる。

 チームの仲間達もそれを見て竜車に戻る。

 

「さて、町に帰ろうか。」


「了解。」


 もうここには用はない。

 アリアが小竜に指示をだすと竜車は走り出した。

 その竜車を商人や護衛の人達が手を振って見送った。


「ありがとう。気を付けて帰ってくれよ。」


「おうよ、あんたらこそ気を付けるんよ。」


「子供達にちゃんと薬を届けるっすよ。」


「はい。」


 竜車から顔を出したハンター達はそれに答える。

 商人と護衛の人達は、竜車が見えなくなるまで手を振り続ける。

 あんまり伝えれなかったけれど、心から感謝をしているのだ。

 その気持ちを込めて精一杯振り続けたのだった。

 見送られた竜車は、来た道を戻り町へと向かう。


「ハンターってすごいんですね。」


「そりゃあ、人助けも役目だからな。」


「ま、ここまで感謝されたのは始めてだがな。」


 ただ狩るだけのクエストがあれば、困った人を助けるクエストもある。

 グレンチームの目の前の人を助けたのは始めての事だ。

 セシルは、ハンターとは何かを改めて認識した。



「自分、絶対に立派なハンターになります。」


「乗ってきたねぇ、この調子でクレハ村も助けちまうんよ。」


「良いこと、だね。」


 そうして、セシルは決意を改めるのだった。

 そうこうしている間に、竜車は町へとたどり着く。

 アリアが、竜車の中へと声を掛けた。


「ついたわよ。」


 道を外れ、大きく円を書くように曲がると門の前で止まった。

 すると、門が開いたので中に入る。

 何時もの門番が顔を出していたグレンに声を掛ける。


「おっす、お帰り。悪いけど時間が無いから急いで通ってくれ。」


「何かあったのか?」


「ギルドに行けば分かる。」


 手続きを済ませ町へと入る。

 そのままギルドを目指すが、どうやら道が混んでいる。

 ギルドまで行くのは大変そうだ。


「仕方ない、歩いていくか。セシル。」


「はい。」


「竜車を頼んだぞ。」


 そう言うと、グレンはセシルをつれて竜車から降りる。

 並ぶ馬車の横を通りギルドハウスへ向かう。

 ギルドハウスに入ろうとするも、沢山の人が出入りしているため中にはいれない。


「おい、グレン、こっちだ。」


 声のする方を見ると、ギルドマスターがグレン達を手招きしていた。

 そちらへ向かうと、裏からギルドハウスの中へと案内される。

 

「人が多いな。」


「その話は中でするつもりだ。」


 とりあえずと、二人はギルドマスターに部屋へと押し込まれたのだった。

馬車や竜車と言っても、グレン達が使っているような倉庫型もあれば、きちんとした座椅子のついた人を運ぶ物もあります

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