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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
町編

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出発

 セシルは目を覚まし起き上がる。

 窓から外を覗くと、何となく遠くが見える程度の明るさの風景だ。

 早く寝たからだろうか、日が昇ったばかりの時間に目が覚めたようだ。

 セシルは、服を着替え部屋を出ると広間に向かう。


(誰もいないのかな。)


 広間は静寂に包まれている。

 セシル足音が静まり返る空間に広間に響き渡る。

 食堂に行き水を飲む。


(そういえば、一人でこの建物にいるのは初めてだな。)


 そう思ったセシルは、唐突に孤独を感じる。

 誰もいない空間は何とも寂しいものだ。

 このままではいけないと、セシルは首を振る。


(その内誰か来るだろうし、運動でもして気を紛れさせるか。)


 訓練場に出たセシルは、早速体を伸ばしていく。

 筋肉をほぐしていくと、頭が段々冴えていく。

 体を動かすには良い感じの体調だ。

 準備が出来ると、昨日コガラキに教わった事を思い出しながら体を動かす。

 昨日の疲れは感じられないようだ。


(ゆっくりと力を入れず。)


 あまり激しくしたら今日に影響を与えてしまう。

 あくまで筋肉の使い方を確認するだけなので防具はつけていない。

 しばらく動くと、床に座り体を休める。

 何となく空を眺めていると、扉を開く音が聞こえたのでセシルはそちらを向いた。

 姿を現したのはユーリアだ。

 セシルは、ユーリアに駆け寄った。


「ユーリアさん、おはようございます。」


「おはよう、練習?」


「はい、ユーリアさんもですか?」


「小竜の世話。」


 ユーリアは、籠を持ち上げ目的を教えるのだ。

 それだけ言うと、ユーリアは小竜達がいる小屋に向かう。

 セシルは、ユーリアを見送ろうとした時にユーリアが振り向きセシルを見る。

 表情一つ変えず、セシルに訪ねる。


「あなたも来る?」


 セシルは、はいと頷き再び歩き出すユーリアを追いかけたのだ。

 小屋にある人用の扉を開け中に入る。

 小屋の一部に敷き詰められた藁の上にいた小竜達は、入って来た二人に気づいたらしくそちらを見ると、ぶもーーーと嬉しそうに鳴いた。

 小竜に手を振ったユーリアは、機械を操作し小竜用の扉を開ける。

 小屋に光が入り込み暗い部屋を明るく照らす。


「今から餌を上げる。手伝う?」


 小竜の前に、籠を置いたユーリアは蓋を開け中にあるフルーツを取り出しセシルに一つ差し出した。

 フルーツを受け取ったセシルは、見よう見まねで小竜の前にある台に置いていく。

 そして、置き終わり離れると小竜はフルーツを食べ出した。

 そのようすを微笑みながら眺めるユーリア。

 しばらくすると、人用の扉が開いた。


「おはよう、あらセシルもいるのね。」


 小屋に入って来たのはアリアだ。

 いないと思ったのか、セシルの存在に驚いたようだ。

 小竜の世話をしている二人に近づいた。


「体調を確認に来たわ。大丈夫よね。」


 ぶもーーーと、返事を返す小竜。

 一応、体を触り確認する。

 小竜達は構わず、フルーツを食べるのを再開した。


「小竜って、病気になるんですか?」


「なるときはなるわね。ただ免疫が高く、そこらの疫病も倒してしまうからほとんどかからないけどね。」


「この子達は丈夫。」


 ユーリアは誇らしげに小竜を撫でる。

 小竜が褒められるのは嬉しいのだろう。

 

「大丈夫そうね。聞いてると思うけど今日出発だからね。頼んだわよ。」


 小竜は、任せろとばかりにぶもーーーと鳴いた。

 頼もしさに溢れているのをセシルは感じた。


「それじゃあ、私は行くわね。朝食を作っているカリネを手伝わなくちゃ。」


「この子達の水を取り替える。後で行く。」


「自分も、小竜の世話で残りますね。」


 ということで、アリアと別れ小竜の世話に戻る。

 ユーリアは部屋の隅にある、飲み水場らしき場所に向かった。

 水がたまってある容器の底から伸びている紐を引くと容器の水が段々減っていく。


「これ、洗って。」


 ユーリアはブラシを持つとセシルに渡してきたので受け取った。

 ユーリア自身もブラシを持つと、二人で容器を洗い出す。

 洗い終り蓋をして、水を入れ直す。


「毎日これやってるんですか?」


「もちろん。この子達が好きだから。」


 裏方に任せず、ユーリアが小竜の世話をするのはそういう理由だからか。

 セシルに小竜の世話を誘ったのも、好きな小竜をよく知って欲しいからだろう。


「これからは自分も手伝っていいですか?」


「うん。」


 ユーリアは軽く頷く。

 チームに貢献したいとからと言う理由があるが、せっかく仲間になった小竜と仲良くしたいとも思ったのだ。

 小竜の世話を終え訓練場に戻ると、チームの男性組が揃って体を動かしている。

 少し離れている間に来ていたのだろう。

 ボールを使った何かをしている。

 

「よう、セシル。一緒に体動かさん?」


「いや、遠慮しておきます。」


 セシルに気づいたシルファが誘って来る。

 昨日のグレンほどではないが一つ一つの動きが激しい。

 彼らの動きについていけそうにないと判断したセシルは断りを入れた。


「と言うか、クエスト前にこんなに動いて大丈夫ですか?」


「こんなん全然なんよ。遊んでるだけ。リーダーに勝てそうにないから人手を増やしたいんけど。」


「尚更無理ですよ。」


 セシルからしたらもはや戦場と言えるあの場所に混ざるには早い事ぐらい容易に分かる。

 しかし、見るぐらいには勉強になるだろう。

 シルファも分かってるのか特に気にしては無いようだ。 


「そりゃそうね。じゃあ、ユーリアは混ざるんよな。まだ体動かしてないっしょ。」


「うん。まだ。」


「よっしゃ、人手確保。」


 シルファは、ユーリアと共に戦場に戻っていく。

 セシルは、座って見学する。

 丁度、グレンが投げたボールをエリクが受け止めた所だ。

 何かに耐えるようにじっと動かない。

 何とか投げ返した所にシルファとユーリアが合流する。

 セシルは、体の動きに注視しながら眺めていた。


(あれがプロの世界か。)


 そんなことを考えながら、プロの動きを学ぶセシルであった。

 それからしばらく運動を終えた一同は、シャワーを浴び食堂に向った。

 昨日と同じくパンに色々挟んで食べると、広間で各自動かした体を休ませるのだった。


「さて、そろそろ行くぞ。」


「了解っ。」


 グレンの声に、一同は立ち上がり建物の外に向かう。

 それと同じタイミングで、建物の奥からアリアが小竜を引っ張ってきた。

 そして、倉庫の竜車に繋げられて建物の外に竜車を引っ張り出した。


「よろしくな。」


 カリネが竜車の階段を下ろすと、一同は小竜に声をかけながら竜車に入っていく。

 ハント組が革の装備を着け始めたのでセシルもそれに習う。

 装備を着こむとセシルはグレンに声をかけられる。


「とうとうだな。どうだ? 緊張するか?」


「はい。」


 竜車に乗った瞬間、セシルの鼓動は早くなっていたのだ。

 深呼吸し体を落ち着かせる。


「今から緊張してたら身が持たないぜ。」


「そうそう、適当でいいんよ。」


 そう言いながら、シルファは竜車に寝転ぶ。


「悪い見本。」


 その様子に飽きれてつっこみをいれながらもユーリアは床に座る。

 二人は気にせず寝転がり続ける。


「そんなことないんよ。これぐらいの余裕が必要なんよ。」


 そう言われても、セシルはそんな余裕は無いので入り口に近い端の方に座ることにした。

 寝転がるのはやり過ぎたけど、外を見て落ち着くのも良いだろうと考えたのだ。

 アリアとコガラキも続いて乗り込む。

 アリアは、小竜への指示出しの為に竜車の前座に向かった。

 

「相変わらずっすね。」


 コガラキも座り、グレンを除いた一同が乗り込みを完了した。

 グレンは、倉庫に備え付けられてある通信機の受話器を取って何か話している。


「グレンだ、今から向かう。」


 町の門番と連絡を取っているのだ。

 スムーズに出れるよう準備をしてもらう。

 そして、受話器を置き倉庫を締めると竜車に乗り込んだ。

 竜車の奥に座り、一同を見る。

 

「準備は出来たか? 各自報告してくれ。」


「アイテムの準備良し。」


「ルート確認も問題ないわ。」


「ハント組も良いぜ。」


 確認を終えると、カリネが階段を引き上げる。

 これで準備は整った。

 グレンは、アリアに指示を出す。


「出発するぞ。」


 アリアが小竜に指示を出すと、竜車が動き出した。

 拠点から離れ道路に出ると門に向けてゆっくりと走り出す。


「今回は、ゆっくりで良いんね。」


「あぁ、急ぐ必要はない。とはいえ、被害者を出さないためにも時間をかける訳にもいかないがな。」


「早いに越したことないって事だな。」


 町の中を走り続け門にたどり着く。

 アリアは、小竜に指示を出し門の中に竜車を止める。

 グレンは、この間の門番に声をかける。


「お疲れだ、さっそく手続きを頼む。」


「お疲れさん。そんじゃあカードを見せてくれ。」


 グレンは門番にカードを見せる。

 門番は受け取ったカードを機械に通しグレンに返す。


「帰ってきてそうそうクエストかい?」 


「まあな、森で悪さをするコング共を懲らしめに行く。」


「コングか。そういえば最近、奴らにやられたーって泣きついてくる商人が増えてるからな。無事倒せたら、商人達の肩の荷が降りるだろうよ。」


 思ったより被害は大きそうだ。

 ハンター用の出入り口の門が開く。

 そのやり取りを聞いていたのか商人用の出入り口が騒がしくなる。


「おっ、とうとうハンターが動いてくれんのか。助かるぜ。」


「しかも、ドラゴンを倒したって噂のハンターチームじゃねぇか。」


「これで安心して移動できるな。急いで上に報告しないと。」


 商人達はお互いに情報を教え合うと騒ぎがどんどん大きくなっていく。

 その様子に、門番とグレンは呆気に取られてしまう。


「ずいぶん大事になってるな。」


「そりゃそうよ。なにせ複数の町に繋がる分かれ道を取られてるもの。これまで、かなりの商人が移動を制限させられたはずよ。」


 クエストの為、事情を調べていたアリアが説明をする。

 盛り上がりは収まる気配が無い。

 門が開ききった合図のブザーに門番が気を取り戻すと、通過許可の指示を出す。

 アリアは、小竜に指示を出し竜車を動かす。


「頑張れよっ。」


「あいつらを倒してくれ。」


 門を出るグレンチームに声がかけられる。

 その声は、竜車が門を離れるまで続いた。

 目的地に向けて竜車は速度を上げていった。

竜車は倉庫の動く足場を使って出し入れするので人の手で出来ちゃいます。

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