作戦前の前哨戦。
次の日の朝。
都市の門から竜車が出る。
そのまま、下を目指す。
前座のアリアが言う。
「既に始めているらしいわ。急ぎましょう。」
「ずいぶん早いな。」
「そう言う子なのよ。」
都市と草原エリアを挟んだ下にエリア鬼がある。
下に進んで行くと森が見える。
しかし、実際には森ではない。
それを見たグレンが聞く。
「あれが、防衛戦か。」
「そうよ。小さい森に見せる事によって何も無いと誤魔化しているのよ。」
鉄の壁に木や蔦を張る事によって、そう見せているだけなのだ。
向こうからは、エリアの角にちょこんと木が生えているだけにしか見えない。
こっちに来ても目的の餌なんてありませんよ、と伝えているのだ。
その壁に近づくと、職員が竜車を止める。
「リーダーの使いですね。奥の門まで進んで下さい。」
目の前の門が開くと前に進む。
壁の中に三枚の門があり、その内の二枚を潜る。
そして、最後の一枚の前に止まる。
壁の向こうからは、人の声や砲撃の声が聞こえてくる。
すると、備え付けられた通信機からレベリアラの声が聞こえる。
『来たわね。そこで、待ってなさい。』
「向こうはどうなってるの?」
『近くの雑魚を呼び寄せている所よ。もうじき親が来るでしょうね。』
子供がいなくなれば親が探す。
その親が来る前の段階だ。
つまり、子供を集めて狩っている所だ。
代わりにグレンが聞く。
「多いのか?」
『そうね。門の前には、巣を避けたのが集まっているから。』
つまり、エリア鬼から弾かれた者達が集っているのだ。
それを一度に呼んでいるのだから当然数は多い。
それが押し寄せているのだ。
しかし、狼狽える事なくアリアが言う。
「門から出てすぐに戦闘に入るわ。」
「任せろ。」
一同からの異論はない。
すぐに出れるよう、ハント組が入り口に集まる。
そして、レベリアラが言う。
『準備は良いわね? それじゃあ、開門。』
それと同時に、周りの職員が開門と叫んでいく。
後ろの二枚の門が閉じる。
そして、前の門が開いていく。
そして、竜車が動き出す。
レベリアラが全体に伝える。
『全ての砲撃を中止。自走船を援軍と入れ替わるように門へ下げなさい。』
門の前には、自走船の列が左右と中央に展開している。
自走船は、以前密林で見た壁が張られた物だ。
まず、左右の自走船が一列に下がる。
そして、中央の自走船が左右に分かれたと同時に、そこを竜車が突っ切る。
その前には、様々な生き物が群がっていた。
竜車を斜めに止めたアリアが言う。
「今よっ。」
「先に行くんよっ。」
竜車からハント組が飛び出した。
まず、シルファが飛び込んだ。
首を狙って斬っていく。
「いつも通りで。」
シルファの斬り漏らしをユーリアが斬る。
シルファに追い付いて、群れの真ん中で待ち受ける。
四方から襲う群れを、二人で斬っていく。
シルファが叫ぶ。
「左右任せたんよ。」
「任せろっ。」「おうっ。」
中央で暴れる二人に群れが向かうが、後ろからの衝撃で吹き飛んでいく。
グレンとエリクが左右から挟み込むように攻め込んだからだ。
群れがまとめて吹き飛んでいく。
「わざわざ敵に背中を向けるなんてなぁっ。」
エリクが斧で吹き飛ばす。
迫る敵は槍で突く。
離れた敵には、斧を振るう。
「視界が狭いと生き残れないぞっと。」
大剣を振るうグレン。
一度に数匹の敵を吹き飛ばす。
近づいた敵は、一瞬で肉塊と変わる。
しかしながら、後ろに抜ける者もいる。
「ボウガン掃射。」
アリアが指示を出すと、竜車の上からボウガンが掃射される。
撃っているのは裏方組だ。
近づく相手を殲滅していく。
「威力の上がったボウガンの味はどう?」
カリネが叫んで再び撃つ。
そのたった一撃で敵が吹き飛ぶ。
竜車に近づける敵は誰もいない。
「その分、弾が重いっすけどね。」
「そうですね。」
コガラキとセシルも、ボウガンを撃つ。
文句を言いつつも、しっかりと弾を込める。
込め終えたカリネが言う。
「強度が必要だからね。しかないんだよ。ほらほら、敵が来てるよ。」
近づく相手を撃っていく一同。
ボウガンの威力を上げるため、弾が丈夫になっているのだ。
それを横目で見るグレン。
「後ろは大丈夫そうだ。前に出るぞ。」
グレンとエリクが前進する。
その度に、敵が吹き飛んでいく。
そして、シルファとユーリアがいるラインまで進む。
グレンが叫ぶ。
「シルファ、ユーリア。前線を上げるぞ。」
「分かったんよ。」「了解。」
襲いかかって来た敵をかわして斬る二人。
グレンの指示通りに前へと攻める。
グレンとエリクも、二人の横のラインに合わせて進む。
後ろに逃げたのは、ボウガンの弾で砕け散る。
「誰かいるぞ。」
そのまま進むと、複数の人が前で戦っているのが見える。
そのうちの一人が倒され、襲い掛かられる。
そいつをシルファが斬る。
「すまないっ。」
「構わんよっ。」
装備を見るに、ハンターだろうか。
しかし、押されているようだ。
ただ一人を除いて。
全身鎧の男が気づく。
「むっ? お前達は、・・・そういう事か。頼む。ハンター達の援軍を。」
「良く分からんけど任せるんよ。」
「協力。」
前進を止めた真ん中の二人は、ハンター達を助けていく。
ハンター達に向かう敵を中心に斬っていく。
それを見た鎧の男が前に出る。
「頼もしいな。丁度人手が欲しかったんだ。」
鎧の男が武器を構える。
その前には、肉食小竜のボスがいる。
タイミング良く来たのだろう。
「なにせ、もうそろそろ来る頃だろうからな。」
鎧の男が言う通り、ボスが複数現れる。
しかし、何かおかしい。
一匹一匹が、鱗が焼けただれたり足を引きずったりしている。
その一匹に、鎧の男が斬りかかる。
「うおおぉぉぉっ。」
重症とはいえボス級だ。
斬られたぐらいじゃ倒れない。
しかし、鎧の男も負けてない。
反撃が来る前に首を刺す。
「くたばれっ。」
刺した剣を横に引いて、ボスの体を裂く。
それにより、ボスが後ろに下がる。
血を垂らしながら体勢を直すそいつに、鎧の男が追撃に向かうが。
「ちいっ。面倒な。」
他のボスが、鎧の男に迫る。
流石の鎧の男も、襲撃に対処できない。
吹き飛ばされて上に乗られる。
「負けんっ。」
迫る口を剣で受け止める。
そして、首を蹴りあげる。
そうして、晒された首に剣を刺す。
「浅いかっ。」
体勢を立て直しながらの攻撃だ。
当然力も入らない。
鎧の男にボスの子分が迫る。
「させるかっ。」
グレンが飛び出した。
鎧の男と戦っているボスに大剣を振り上げる。
それを受けたボスが吹き飛んだ。
「雑魚は任せたぞ。」
「当然だっ。」
解放された鎧の男が振り返る。
そして、迫る子分を一撃で引き裂いていく。
グレンも同じく子分を狩る。
「対した事が無いなっ。」
「良い一撃だ。大剣も良いかもな。」
「あぁ。お勧めするぞっ。」
先程のボスが来たので、グレンが大剣を振り下ろす。
その一撃でボスが沈む。
しかし、今度は大熊が現れる。
「おっと。」
「ぐっ。」
突っ込んできたそいつを左右に避ける二人。
それと同時にエリクが現れる。
大熊を突き刺した。
「おらっ。」
槍を抜いて、斧を振り上げる。
後ろに飛ばされた所に、斧を振り下ろす。
最後に槍を刺す。
「とどめだっ。」
倒れて動かない大熊。
命を落としたようだ。
合流した三人が構える。
武器を構えたエリクが言う。
「思ったより、数多いじゃねぇか。」
「はっはっはっ。門の前の安全地帯は人気だからな。鬼に怯えて過ごす奴は多いんだ。」
誘き寄せたばかりに、安全地帯がもぬけの殻になったのだ。
そこを狙おうと、他の集団が集まって来たようだ。
疑問を抱いたグレンが聞く。
「そいつらもまとめて呼んだのか?」
「いや。取り返されないよう、先陣のを追って来たのだろう。」
「迷惑だぜ。」
「全くだ。でも、これがエリア鬼だ。」
本当に怖いのは、鬼から逃げた大物の方かもしれない。
そうしていると、戦場に影が落ちる。
見上げたそこには、小型飛竜のボスだ。
「しまったっ。」
鎧の男が叫ぶがもう遅い。
群れに向かって落ちて来た。
そして、肉食小竜を掴んで投げ飛ばす。
落ちた先にいたハンターが飛ばされた。
「誰かこいつを。」
「無理だ。届かない。」
空にいる相手に、攻撃は当たらない。
落ちて来た所を狙うべきだが、タイミングも場所も分からない。
そんな、小型飛竜のボスに砲身が向く。
「新兵器。頼んだよ。」
カリネがボウガンの引き金を引く。
その直後、ボウガンの先から弾が跳ぶ。
更に跳ぶ。
まだまだ跳ぶ。
それを受けた小型飛竜のボスが耐えるも、直後に二つの爆発を受ける。
「直撃っ。」
「落ちていきます。」
「後は任せたよーっ。」
爆発を受けた小型飛竜のボスの高度が下がる。
その先は群れの中。
そこに、シルファとユーリアが迫る。
「武器が届けばっ。」
「こっちのものっ。」
跳んだシルファが斬ってはたき落とす。
そして、胴体を突いて押さえる。
その間にユーリアが首に双剣を当てる。
クロスした刃を左右に引く。
それにより、首が跳ね飛んだ。
「大物の追加が来たぞっ。」
誰かが叫んだ。
その通りにボス級の敵が現れる。
ハンターの一人が言う。
「あんたらっ、こっちはいい。奴等を。」
「任せたんよっ。ユーリア。」
「うん。行こう。」
これでも、防衛戦を守るハンターだ。
体勢を直してしまえば戦える。
シルファとユーリアが前に向かう。
「リーダー落とすんよ。」
「あぁ。一人一体。出来ないとは言わせんぞ。」
「当然。」
「腕がなるぜっ。」
ハント組が散らばった。
子分を落としながらボスに迫る。
そして、あっという間に落としていく。
鎧の男が驚く。
「流石レベリアラ嬢の推薦だ。俺達も負けてられんぞっ。」
「「「「おおーーっ。」」」」
鎧の男が剣を上げると、他のハンター達も続く。
そして、次々と子分を倒していく。
そして、全ての敵が動かなくなった。
門の裏まで木が張っているのは、補強のためです。
木の壁、鉄の壁、木の壁が重なって一つの壁になってます。




