パーティの終わり
「さて、話もまとまった事だしパーティに戻りましょうか。」
「そうね。折角の公演だもの。見ないと損だしね。」
「なら、特別な部屋でも用意しようか?」
そう提案する王様。
四人を気遣っての事だ。
しかし、アリアが否定する。
「いえ。隅の方でのんびりさせて貰うわ。いきましょう。」
「分かった。」
「では、王様。ごきげんよう。」
「あぁ。ゆっくりしていきたまえ。」
王様に挨拶をするトーパ。
部屋を出る三人。
レベリアラも王様に挨拶をする。
「王様、また会いましょう。って待ちなさいよ。」
三人を追うレベリアラ。
通路を渡った一同は、会場に戻る。
会場では、楽器が鳴り響いていた。
「あれが、言っていたやつか。」
「そうよ。なかなか良い演奏ね。」
「何で、評論家気取りなのよ。」
「あら、いたの?」
「いたわよっ。」
小さく突っ込むレベリアラ。
会場の中なので配慮したようだ。
そんな彼女の言葉をアリアが認める。
「まぁ、音楽に疎いのは自覚しているわ。」
「昔は、モンスターの鳴き声しか興味が無かったものね。」
学者ゆえに、研究対象にしか興味が無かったのだ。
音楽よりもモンスターの声だ。
構わずアリアが同意する。
「そうよ。」
「言いきったわね。」
「別にいいじゃない。演奏が凄いのは変わらないんだから。」
知らなくても分かるものなのだ。
大事なのはどう感じるかという事だ。
同意するレベリアラ。
「それは、そうだけどね。」
「まぁ、外に出て色々な事に興味が出たのもあるわね。」
「外? そういえばハンターになったのよね。初め聞いた時は驚いたわ。」
レベリアラは、その事を知っていたようだ。
やはり、驚くような事のようだ。
そんな彼女に、アリアが聞き返す。
「そんなに意外かしら。」
「そうね。教授の手伝いで周辺を見るだけだと思ったもの。」
「直接モンスターが見たかったもの。」
「普通は、そこまで命張ってまで調べるなんてありえないのよ。」
モンスターを見れば、恐怖を植え付けられる。
その事を考えて、普通は行かない。
しかし、アリアは例外だ。
「私だって、今のチームじゃなかったらここまでやらないわ。」
「そんなに強いの?」
「とても強いわよ。」
「貴方がそこまで言うなんてね。」
流石のアリアも、考えなしと言うわけではない。
頼れる仲間がいてこその行動だ。
そして、隣の友人もその一人。
「えぇ。後は、貴方の知識さえあれば鬼のモンスターだって倒してくれるわ。」
「ふん。おだてても何も出ないわよ。」
そう言って、そっぽを向くレベリアラ。
顔を赤くしている。
悪戯っぽくアリアが聞く。
「あら。怒らせちゃった?」
「照れてるだけですよ。アリア。」
「なっ。」
「えぇ。知ってるわ。」
「ちょっ。」
知った上で、アリアが言ったようだ。
つまりからかったのだ。
レベリアラ見ながらアリアが言う。
「長い付き合いだもの。いつも誉めたら、こうやって怒っていなくなるのよね。」
「貴方に言われても嬉しくないわっ。ってよく言ってましたね。」
「トーパ。後で、覚えてなさい。」
「あら、怖い。」
そう言いながらも、口に手を当て笑うトーパ。
恨みをぶつけられるが、それもまた照れ隠しと分かっているのだ。
話を聞いていたグレンが聞く。
「いつもこうなのか?」
「えぇそうよ。大事な仲間よ。」
そう言い切るアリア。
からかいながらも、大事に思っているようだ。
嫌そうにアリアが続ける。
「でも、何かある度に絡まれるのは面倒だったわ。」
「なら良かったわ。ちょっかい掛けたかいが、あったというものね。」
「そんなのだから、巻き込まれるのよ。」
ちょっかい掛けに行く度に、そこでは実験が行われていた。
その度に巻きこまれても、諦めずに付きまとったようだ。
しかし、レベリアラが否定する。
「普通の学者は、研究室を拷問部屋に変えないのよ?」
「普通じゃ無いもの。」
「そうだったわね。」
「納得するのですね。」
苦笑いするトーパ。
そんな話をしていると音楽が鳴りやむ。
その直後、拍手が沸き起こる。
同じく拍手をする四人。
それに気づいたアリアが言う。
「あ、終わったわね。」
「お開きですかね。」
「王様が出てきたわ。」
ギルドの人々がいる場所に王様が現れる。
そして、ギルドの人達と握手していく。
握手を済ませると、前に出てくる。
「皆さん。楽しんで頂けたでしょうか。もしそうなら、用意した我々も嬉しく思う。悲しき歴史が詰まった我が大陸。しかし、こうやって新たな芽が出てくると言うのは、とても素晴らしい事だ。これからも、共にこの大陸を盛り上げていきましょう。」
会場を見渡してお辞儀をする王様。
再び会場に、拍手が沸き起こる。
そして、拍手が収まった同時に頭を上げる。
「これでパーティは終わる。その前にどうしても伝えたい事がある。そう、巨大なモンスターの事だ。ここにいる程の者達なら知っているだろう。」
会場が沈黙する。
ここにいる殆どの者が王様の声に耳を傾けている。
王様の言う通り、知っているので気になるのだろう。
王様が続ける。
「我々が神獣と呼ぶそいつは、無惨にもエリアで区切られた越境線を破壊して周っている。被害を受けた者もいるだろう。しかもそいつは、大陸の下へと逃げ込んだのだ。そう。にっくきあのエリア鬼の下だ。」
その言葉に会場がざわついた。
その言葉のほとんどは不安の声だ。
その中で、王様が言う。
「放って置けば、大陸の外からも敵がやって来る。だから、どうにかしないといけない。その為になすべき事がある。そう、エリア鬼の奪還だ。よって我々は、エリア鬼の奪還をここに宣言する。」
その瞬間、会場が沸きあがった。
盛り上がる人、心配する人と様々だ。
そんな人達に王様が断言する。
「心配するのは当然だろう。しかし、先程この大陸の精鋭が揃った。そして、言ってくれた。必ず取り戻すと。我々は信じる。だから、みんなも信じて欲しい。」
三度、会場で拍手が沸き起こる。
中には歓声を上げている人達もいる。
それを、見ていたトーパが言う。
「精鋭。だそうですよ。」
「当然よ。この私がいるんだからね。」
「全く。明日の新聞確定ね。ここまで大事にするつもりはないのに。」
「もう大事よ。どれだけの影響を与えてると思ってるの。というか、何で当事者が知らないのよ。」
今、大陸を騒がしている程の影響を与えているのだ。
その中心に近いはずのアリアは、知っているだろう。
実際に、どれぐらいの被害かは調べているはずだ。
アリアが答える。
「興味が無いからよ。」
「そういえば。研究結果の副産物には興味が無かったわね。そういう人だったわね。」
「よく知ってるじゃない。」
「長い付き合いだからねっ。」
小さく突っ込むレベリアラ。
付き合いが長いゆえに、分かってしまうのが嫌なのだろう。
そんなやり取りに構わず、王様がパーティを締める。
「では皆さん。今日はありがとうございます。今度は、祝勝会で合いましょう。」
これで、パーティは終わった。
残って話す者もいれば、急いで城から出る者もいる。
今すぐに情報を広めたいのだろう。
それを見て、トーパが動く。
「では、生徒達の所に戻りますね。」
「分かったわ。私達も戻りましょう。すぐにエメリナに知らせなきゃ。」
「あぁ。あいつらもつれてかないとな。」
トーパが離れて、アリアとグレンも動きだす。
やる事がいっぱいあるのだ。
その際、レベリアラに別れを告げる。
「じゃあね。また合いましょう。」
「えぇ。エメリナの研究所に行けば良いのよね? 一度、エリア鬼の防衛線に戻ってから向かうわね。」
「よろしくね。」
「任せなさい。」
そう言って、レベリアラと別れて会場を後へ。
生徒を送ったトーパと合流して宿に戻る。
やるべき事の為に、皆が動き出す。
楽器と言ってもオーケストラほどでは無いです。
演奏会のような規模が小さい物です。




