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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
特定危険指定区域<エリア鬼>編

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112/166

パーティの開幕、そして王様と謁見

 パーティの始まりと同時に歌が聞こえる。

 先ほど王がいた所に、複数の人が現れる。

 その人達が、左右に分かれて歌っている。

 それに、トーパが気づく。


「始まりましたね。」


「あぁ。いい声だな。」


「本当ね。」


 会場の皆がそれに聞き惚れている。

 左右で声の高さを変えたり、声を合わせて大きく歌ったりと工夫している。

 そんな彼らに疑問を持ったアリアが聞く。


「あそこにいる人達は?」


「最近出来た、シアターギルドです。こうやって、パーティに呼ぶようになったんですよ。」


「最近なのね。どうりで知らない訳だわ。」


「えぇ。今までは他の大陸で訓練していたんですよ。それが帰ってきたと同時にギルドを作ったのです。」


 元々は、他の大陸の文化なのだ。

 それを習って、この大陸で披露し始めたという事だ。

 トーパが説明を続ける。


「そして、全員が五年前の惨劇の生き残りです。」


「・・・。」


 その事実に、アリアが声を詰まらせる。

 五年前の惨劇と聞いて驚かない者はいないだろう。

 なにせ、知らない者はいないのだから。

 さらに、トーパが続ける。


「生き残った人達を励まそうと、王様が他の大陸から演劇をする人達を呼んだんですよ。」


「それは知っているわ。危険な大陸と拒否する団体が多い中、一つの団体が手を上げたと。」


「合っています。それを見て引かれた人達が、自分達にも教えてくれと頼んだそうです。」


 演劇を見て憧れを持ったのだろう。

 勇気を与えられた人達が、自分達も勇気を与えたいと感化されたのだ。

 そうやって、出来上がったのがシアターギルドだ。

 その事実にグレンが感心する。


「あんな事があったのに、前に進めたのだな。」


「そうですね。今は、楽器の練習中との事です。」


「ギルドを大きくしようと頑張っているのね。」


 悲観する者はもういない。

 皆が前を向いて、新しい道を歩いているのだ。

 しばらく音楽を楽しんでいる三人。

 すると、執事が会場の入り口から入ってきた。

 それに、トーパが気づく。


「ちょっと席を外しますね。」


 会場を見渡す執事に、トーパが近づく。

 気づいた執事に話しかける。

 少し話した後、戻って来て二人に話しかける。


「王様の準備が出来たそうです。」


「分かったわ。行きましょう。」


「あぁ。」


 王様が待っているらしい。

 トーパが歩きだしたので、二人が着いていく。

 そして、執事と合流する。


「呼んできました。行きましょう。」


「では、案内しますのでついてきて下さい。」


 執事の後をついて会場を出る。

 名残惜しくも、歌声が去っていく。

 会場から出ると、玄関ホールの横へ。


「どうぞ。」


 階段の下にある扉に向かうと、見張りの騎士が扉を開く。

 そこを通って、奥の通路を歩いていく。

 静まり返ったそこを進んで行くと、庭が見えてくる。

 その景色をグレンが見渡す。


「綺麗だな。」


「えぇ。会場の外も楽しんで貰えるようにとの事です。今は、カーテンで見えないですけどね。」


 会場の周りを庭で囲んで、その庭を通路で囲んでいる。

 その通路を、四人が歩いている。

 花や木で飾られた中庭を抜けると、ある部屋の前にたどり着く。

 扉の前の騎士に話しかける執事。


「客人をお呼びしました。」


「了解。」


 扉の前から騎士が離れると、執事が扉に近づく。

 執事がノックをすると、部屋から声が返ってくる。

 そして、執事だけが中に入る。

 中で会話をした後、執事が出てくる。


「どうぞ。お入り下さい。」


「では、お邪魔いたします。」


 執事に呼ばれて三人が入る。

 部屋の中は、ソファが向かい合って置いてある。

 その片方に、王様と姫様が座っている。

 三人が入ると同時に、王様が立ち上がる。


「ようこそ。前の席に座ってくれ。」


「はい。」


 まずトーパが王様と向かい合う席に。

 その横に二人が並ぶ。

 そして、三人が座ると王様も座る。

 

「来てくれてありがとう。」


「こちらこそ、忙しい中ありがとうございます。」


「いや。挨拶も済ませたし、後は寛ぐだけだからね。」


 アリアの言う事を否定する王様。

 王様の仕事は、主に重鎮と会う事だ。

 それが済んだら、する事はもう無いのだ。

 王様が疑問を聞く。


「それよりも、ドラゴンを倒したのはそちらの方々かな?」


「はい。ドラゴンを倒したチームの代表です。」


「そうか。娘を助けてくれてありがとう。」


 トーパが答えると、王様が頭を下げる。

 娘の命の恩人への感謝だ。

 しかし、アリアが否定する。

 

「いえ、ハンターの役目を果たしたまでよ。」


 元々は、調査で周辺を調べていたのだ。

 姫様を助けたのは、その延長上の事に過ぎない。

 しかし、王様が否定する。


「それでも、助けて頂いたのは事実。感謝が尽きない。」


「はい。皆さんがいなければ、私は命を落としていた事でしょう。私からもありがとうございました。」


 姫様も頭を下げる。

 助からなかったと悟っているのだ。

 もしかしたら、死ぬ事も覚悟をしていたのかもしれない。

 改めて王様が言う。


「ドラゴンを倒せるハンターがいたのは、本当に幸いだった。」


「えぇ。あんな怪物を倒せるなんて凄いです。私なんて見ただけで体が震え上がったのに。」


「それが普通よ。気にしないで。」


「あぁ、そうだな。驚異に立ち向かうのは、俺達のような奴らだけでいい。」


 その為にハンターがいる。

 少なくとも、グレンはそう思っている。

 それでも、王様は感謝する。


「君達の働きには助けられてるよ。それで、私に話があるんだったね。」


「えぇ。二人からお願いがあるそうです。」


「なんだい? 何でも言ってくれ。」


 王様が話を振ると、トーパが答える。

 元々、お願いがあって王様に会いに来たのだ。

 促されたアリアが言う。


「えぇ。王様は、神獣の事をご存じかしら?」


「報告なら受けている。どうやら、エリアを荒らしているとか。」


「私も聞いています。何でも、とても大きいとか。」


 王家まで、話がいっているようだ。

 大陸の事なので、当然と言えば当然である。

 さらにアリアが説明する。


「私達は、その神獣を追ってるの。」


「それも聞いている。神獣を追うチームがいるらしいと。そうか、君達なのか。」


「はい。しかし、巣に逃げらてしまったわ。しかも、大陸の下にある巣に。」


「何だって!? それは、本当なのか?」


 急に声を荒げる王様。

 そこまでは、話がいってないらしい。

 顔色変えずにアリアが答える。


「調査の結果、大陸に近づく水棲生物の数が増えたとの事。同僚が調べた結果、何かが通ったかのように生き物が分断させられていたようね。間違いなく、神獣がそこを通って下に向かったと見ているわ。」


 海にすむ大物が神獣を避けた、その片方が大陸に近づいたとの事。

 その結果、大陸周辺に大量発生したようだ。

 神獣が荒らすのは、地上のエリアだけではない。

 顔が険しくなった王様が聞く。


「そいつらはどうなった?」


「海のハンターが倒したそうです。大陸への影響はないわ。」


「それは良かったが、よりにもよって下か。」


「えぇ。だから、私達も下に向かわないといけないわ。」


 下に向かわない事には、追い付けない。

 どう荒らすのかも分からない以上、放って置くことも出来ない。

 事情を察した王様が言う。


「ここからだと、船で行くには遠すぎるか。そうなると。」


「下にある危険区域。エリア鬼の制圧をしなくてはいけないわ。」


「あぁ。俺達は、その為に許可を貰いに来た。」


 エリア鬼は、誰も踏み入る事が出来ない。

 その指令を出した王家を除いてだ。

 険しい顔のままの王様が聞く。


「正気なのか? あの場所でどれだけの人が命を落としたと思っているんだ。・・・生きては戻れないぞ?」


「死なないわ。必ず取り返す。」


 王様がアリアの目を見る。

 アリアもその目を見返す。

 その事実に王様が悩む。


「しかし、前例が無いだけに一端のハンターを入れていいのか。」


「それなら問題ないわ。」


「ん?」


 懐からカードを取り出すアリア。

 それを机の上に置く。

 それは、漆黒竜を倒した事で貰った者だ。

 それに、王様が気づく。


「無条件でランクを上げれるカードか。」


「そうよ。ハンターギルドから貰ったわ。」


「凄いな。これを渡すなんて相当な事だぞ。」


 ランクというものは、ハンターの命を守るもの。

 そんなものを自由に上げて良いのは、ハンターへの信頼そのものを表す。

 アリアが説明する。


「ギルドの信頼は得ているわ。後は、これを見た王様しだい。」


「なるほど。」


 しばらく考える王様。

 それでも、許可を出すのは難しいのだ。

 まさに、王様の答えで決まる。

 考え込んだ後、王様が頷いた。


「分かった。許可を出そう。」


「ありがとう。」


「その代わり、生きて帰ってこい。」


「当然よ。」


 アリア達を信じる事にしたようだ。

 そのアリアも、期待に答えるように言葉を返す。

 お互いが手を差し伸べる。


「我らの大事な土地を頼んだぞ。」


「分かったわ。」「任せろ。」


 アリア、グレンの順に握手する王様。

 信頼の証の握手だ。

 次の瞬間、扉が勢い良く開かれる。


「その許可。待ったーーーーっ。」


「ちょっ。」


 扉の向こうから、一人の女性が現れ叫んた。

 見張りの騎士が慌てている。

 その女性に、アリアが言う。


「迷子かしら。出口は後ろよ。」


「ご親切にどうも。」


 その女性は、後ろを向いて部屋から出る。

 その際、動きが止まる。

 そして、勢い良く振り向いた。


「って。迷子がこんな場所にいるわけ無いでしょっ。」


 全力で突っ込んだ。

 とうのアリアは耳を塞いでいる。

 謎の女性が言う。


「久しぶりに会ったのに、随分な態度じゃない。アリア。」


「ただの冗談よ。」


「あんたの冗談は、冗談になって無いのよ。」


 その女性は、アリアの名を呼んだ。

 知り合いだろうか。

 アリアにグレンが聞く。


「アリアの友達か?」


「そうよ。」


「被害者よっ。」


 再び突っ込んだ。

 友達と呼ばれたくは無いらしい。

 今度は、姫様が言う。


「お姉様。さっきぶりです。」


「あ。エルもいるのね。アリアに泣かされてない? 昔は良く泣いてたから心配だわ。」


「懐かしいですね。また、三人で会えて良かったです。」


「あっ。・・・トーパもいたのね。」


「いましたよ。お久しぶりですね。」


 言われて、トーパに気づいたようだ。

 女性は慌ただしく喋っている。

 大体の人が知り合いのようだ。

 その女性は、スカートの端を持って王様に頭を下げる。


「ふぅ。お騒がして申し訳ありません王様。」


「構わないよ。ゆっくりと落ち着いて。」


「そうよ。少しは落ち着きなさい。」


「貴方のせいでしょっ。」


 またまたアリアを突っ込んだ。

 ゆっくり所ではない。

 流れが読めずにいるグレンが聞く。


「それで、この人は誰なんだ?」


「私達の学校の同期よ。」


「ちょっと、自己紹介なら私がするわ。」


 アリアを遮った女性が息を整えてる。

 叫んだせいで、息が荒れていたようだ。

 そして、片手を前につきだした。


「私の名前は、レベリアラよ。専門は、モンスターへの罠の製作。今は、エリア鬼の監視チームのリーダーをしているわ。よろしくお願いしゅるわね。」


「・・・噛みましたね。どんまいです。」


「はい。どんまいです。お姉様。」


 トーパと姫様が、レベリアラを励ます。

 当のレベリアラは、顔を赤くして俯く。

 黙ったレベリアラに変わってアリアが言う。


「と言う事で、私達の知り合いのレベルラよ。」


「レベリアラよっ。」


 顔を上げて突っ込むレベリアラ。

 顔は真っ赤なままだ。

 叫び声が、部屋と通路に響き渡る。

という事でレベリアラ登場です。

トーパとレベリアラと姫様は幼馴染みです。

ちなみに年齢は、トーパ、レベリアラ、姫様の順番になってます。

三人とも一歳差ですが、レベリアラは飛び級なのでトーパと同学年です。

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