王様一家
王都に、朝から沢山の竜車が走っている。
そのほとんどが城に向かっている。
パーティに呼ばれた人達だ。
生徒達を乗せた竜車も城の前に停まる。
「おい。固まってるぞ。」
「あんたもね。」
竜車を降りた生徒達が、城を見上げる。
その後に、トーパの竜車も来る。
グレンとアリアが降りて、トーパが続く。
「じゃあ、生徒達の所に行くよ。」
「えぇ、頑張ってね。」
トーパが生徒達の元へ。
すると、竜車が離れて行く。
残された二人が城に入る。
そして、入り口の受付に向かう。
「招待状の提示をお願いします。」
「えぇ。」
「確認しました。奥へどうぞ。」
受付を済ませて、会場の扉に向かう。
その扉の前に人が並んでいる。
あまりの多さに、少しずつ入場させているようだ。
その列に、二人も並ぶ。
「人が多いな。」
「そうね。一応は貿易の成功を祝うパーティだもの。貴族に加えて、ギルドの重鎮が沢山招かれているはずだわ。」
「なるほどな。どうりで。」
祝いの席であると同時に、報告もかねている。
その情報を多くの人に伝えるため、ギルド関係者も来ているのだ。
二人が並んでいると、生徒達が城に入ってくる。
そして、トーパの指示で階段を上がっていく。
「セシルの奴、体が固くなってるな。」
「緊張しているのよ。モンスターには慣れても、こういう場所は駄目なのね。」
「気持ちは分かる。俺もそうだしな。」
苦笑いするグレン。
戦い慣れしているグレンですら緊張するらしい。
そうしていると、二人の番が来る。
案内をしているメイドの前に立つ。
「人数は何人ですか?」
「二人よ。」
「はい。では、お二人様どうぞ。」
グループに分けて、入れているようだ。
二人が会場の中に入る。
会場の中は、おしゃれな衣装を着た人でごった返している。
赤の絨毯の上にいくつかのテーブルがあり、それを囲んで談笑している。
グレンとアリアも開いたテーブルに着く。
「はぁ。慣れないな。」
「頑張ってちょうだい。」
「と、言われてもなぁ。周りの視線も気になるし。」
時々、グレンを見る人がいる。
ぱっと見て驚いているようだ。
口元が引きつるグレンにアリアが言う。
「リーダーは、大柄だからね。目につきやすいのよ。」
「端のテーブルにつけて良かったよ。」
心の底からの言葉である。
端にいる為、見つかる事も少しですんでいるのだろう。
そんなグレンをアリアが励ます。
「まぁ。ほとんどは興味を持ってるだけよ。」
「そういうものなのか。」
「そうね。だから、気にしちゃだめよ。」
アリアの言う通り、嫌な視線は感じない。
物珍しいから見ているだけなのだ。
気持ちを切り替えるように上を見上げる。
すると、誰かが歩いているのが見える。
「ん? 姫様か?」
「確かに、王様と女王様もいるわ。」
「あと、小さい子もいるが。」
グレンの指摘に、アリアが目を凝らしてみる。
床に隠れて見えないけど、確かに四人いる。
その場所をアリアが確認する。
「んー? あっ、本当ね。妹さんだわ。」
「姫様のか?」
「えぇ。会った事は無いけどね。間違いないわ。」
騎士が並ぶ、会場の二階の通路。
そこを、王様の一家が進んでいく。
前髪を上げたトーパが四人を迎え入れる。
「お久しぶりです。王様。」
「トーパか。久しいな。君の父とは、良く合うんだがな。」
「本当に。仕事を放って遊びにね。」
女王の言葉に、王様が言葉が詰まる。
女王は笑顔だけど、目は笑っていない。
トーパも続いて言う。
「えぇ。私も聞いてますよ。良く出掛けると。」
「おほん。まぁこの話はやめにしよう。うん。」
わざとらしい咳をして話を誤魔化す王様。
自分から話を振ったのに、痛いところを指摘されてしまった。
今度は、姫様と妹が前に出る。
「お姉さま。会えて嬉しいです。」
「あるもー。」
妹がトーパに抱きついた。
その頭をトーパが撫でる。
姫様がお辞儀をする。
「今回は、来てくれてありがとうございます。」
「ふふ。元気そうで何よりです。」
「元気と言えば、レベリアラお姉様に会いましたよ。相変わらず元気な挨拶でした。」
「そうですか。お変わりないようで安心です。」
そんな話をしていると、一人のメイドが来る。
その手には、派手な装飾の箱がある。
それに、王様が気づく。
「王様。持ってきましたよ。」
「ありがとう。それじゃあ、生徒達に合おうか。トーパ、頼む。」
「はい。アル離れてね。」
「うん。」
姫様の妹が離れると、トーパが扉を開く。
その中は個室となっており、会場と同じく赤を基準に装飾されている。
部屋の真ん中に長いテーブルがあり、そこに生徒が座っている。
生徒達は、食事をしていたようだ。
生徒達の前に、王様一家が立つ。
「皆さん。良く来てくれた。私は、この大陸をまとめる王です。」
生徒達に頭を下げる王様。
それを聞いた生徒達の動きが止まる。
生徒達と一緒に座っていたギルド長が立ち上がる。
「農業ギルドのギルド長です。今回は、お招き頂いてありがとうございます。」
「いや。お忙しい中、足を運んで頂いて感謝する。」
農家ギルドの事情も良く分かっているようだ。
それでも、来てもらいたかったようである。
王様が頭を下げる。
「ドラゴンの一件。農業科ギルドには迷惑をかけた。申し訳ない。」
「いいえ。皆無事で良かった。これがギルドが出した結論です。気にする必要はありませんよ。」
「そうか。では、代わりに感謝を。ありがとう。」
今度は、王様一家で頭を下げる。
そして頭を上げると、メイドに目配せする。
メイドが箱を王様に渡す。
「つきまして、生徒達と農業ギルドに勲章を授与する事にした。受け取って欲しい。」
箱を開けると、王家の紋章が入っている。
それを見た生徒達がざわついた。
ギルド長が生徒達の様子を見ると、王様に頭を下げる。
「ありがたく受け入れます。」
代表してギルド長が言うと、王様が頷いた。
満足のいく答えだったのだろう。
そして、勲章を王様と王女様みずから生徒達に配っていく。
生徒達は、緊張した手でそれを受け取る。
そして、ギルド長に特別大きいものが手渡される。
「これからも、大陸の食べ物ををよろしく頼む。」
「はい。共に大陸を良くしていきましょう。」
ギルド長と、王様が握手を交わす。
そして、配り終えた二人が、再び前に立つ。
王様が改めて頭を下げる。
「本当にありがとう。これからパーティを始める引き続きゆっくりしていってくれ。」
そう言うと、王様一家が部屋を出る。
付き添いのメイドも外に出る。
トーパが迎え入れる。
「お疲れさまです。いかがでした?」
「あぁ。しっかりした子達で安心したよ。トーパが教えているんだったな。」
「はい。自慢の生徒達です。」
迷いなく、そう言ったトーパ。
生徒達がこうやって称えられるのが嬉しいのだ。
そんな光景を、笑顔で見ていた王女が言う。
「そろそろ時間かしら。」
「もうそんな時間か。パーティを始めないとな。」
「王様。例の件もお忘れなく。」
「うむ。分かっている。準備が出来たら執事を送る。」
グレン達の件の事だ。
頷いた王様と王女が歩き出す。
姫様と妹も、後に続く。
その際、後ろを振り向いてトーパを見る。
「では、また後で。」
「またねー。」
「えぇ。後で。」
お互い手を振り合って別れる。
王様一家と別れたトーパは、会場へと降りる。
会場で目立つ大男を目印に、そこへ向かう。
「どうも。楽しんでますか?」
「うおっ。トーパか?」
声をかけると、グレンが驚いた。
トーパである事に自信が無いようだ。
それもそのはず・・・。
「あー。リーダーは初めて見るのよね。この姿。」
「あぁ。声と衣装で気づけたが、やはりトーパか。」
「はい。いつものでいると、こういう場所だと目立つので。」
周りの人は、丁寧な言葉で話している。
なので、いつもの話し方だと違和感が出て目立つのだ。
様になっているトーパの姿にグレンが感心する。
「使い分けてるんだな。」
「言葉なら誤魔化せるものね?」
「あぁ、羨ましい限りだな。」
「どういう事です?」
首をかしげるトーパ。
グレンを見ると、何か諦めたような顔をしている。
そんなグレンの代わりにアリアが答える。
「体格で目立って困っているのよ。」
「なるほど。確かに、私も会場に戻ってきた時に一目で分かりました。」
「そんなにか。まぁ、気にしない事にしたから良いんだがな。」
「それが良いですよ。」
トーパが励ます。
実際に、目の入るのは一瞬の事。
周りも慣れたのか気にしていない。
すると、会場の奥が騒がしくなる。
その様子にトーパが気づく。
「そろそろですよ。」
「ようやくだな。」
真ん中にある王家の印に装飾がされたオブジェ。
その上にある広場に王様一家が現れた。
それに気づいた人々が、黙ってそっちを見る。
すると、王様が前に出る。
「みなさま。本日はお越しいただきありがとう。先日より行っていた、他の大陸との貿易は無事成功した。その事を祝うためのパーティをこれより開始する。」
王様一家が、飲み物が入ったグラスを持つ。
そして、王様がそれを掲げる。
それに合わせて、一同もグラスを掲げる。
「どうか楽しんでいってくれると、用意した我々も嬉しい。では、既にした人もまだの人もご一緒に。乾杯。」
人々が乾杯と声を上げる。
そして、近くの人とグラスをぶつけ合う。
こうして、パーティが始まった。
レベリアラという噛みそうな名前の人は、前章の最後で言っていたトーパの友達です。
あと、いつ書いたか忘れましたがアリアの苦手な人です。
何故トーパが姫様と知り合いなのかも含めて、次で説明出来ると思います。




