卒業認定証の授与式
次の日の昼頃。
朝から生徒達で町巡りをしている。
最後にお店で昼食を取っている。
「だから言っただろ。この店の飯はうまいって。」
「あんたも食べた事無かったでしょ。」
「いやいや、こう何て言うの? 写真見た時にびびっとだな。分かるだろ?」
「分からなくは無いけどね。」
運搬班の提案の店で、それぞれ別れて食べている。
この班にはセシルもいる。
野菜が乗った様々な料理を堪能している。
しだいに話は、王都のパーティに変わる。
「それで、パーティの件。どう思う?」
「実は楽しみにしているわ。ドレスなんて田舎娘の私にとって憧れだもの。」
「私もよ。どんなの着るんだろう。」
ドレスに思いを馳せる女性組。
妄想を膨らませていく。
その様子を見た男性組が納得する。
「じゃあ、夢が叶うような物なんだな。」
「そうね。もちろん、パーティにも興味があるわよ。」
「でもそれって、面倒な貴族の相手をさせられるイメージだけど。」
「でも、豪華な食事とか食べれるんだろ? 興味あるぜ。」
パーティの話で盛り上がっていく。
相当、楽しみなようだ。
話す度に、興味が沸いていく生徒達。
「まぁ、個室を用意してくれるらしいから問題はないか。」
「そういえばそうだっけ。」
話に誘発されたのだろうか、話に混ざる生徒が増える。
聞いていただけの生徒も乗り気になっていく。
個室と言うのも影響があるのだろう。
「トーパ先生が言ってたよね。」
「うん。個室を用意して貰えるって凄いよね。」
「あぁ。トーパ先生ってもしかして貴族なんか?」
「そうかもね。」
トーパについて、話し合う生徒達。
王国に物を言えるのだからと思ったのだろう。
セシルに話が振られる。
「セシルって、トーパ先生と知り合いだよな。何か知っているか?」
「うーん。詳しくは知らないんだよね。」
「そうか。そういえば、姫様と同じ竜車に乗ってたよな。」
「確かに。知り合いなのかな?」
その時の様子を見ていた生徒がいるようだ。
ただの教師なら、部外者なので近づく事すら出来ないはずだ。
しかし、実際に同じ竜車に乗っていたのは確認している。
「何者なんだろう。」
「さぁ。って、もうそろそろ学校よ。」
「本当だ。せっかくの授証式に遅刻はやばいぞ。」
トーパ先生の話で思い出したようだ。
生徒達が慌てて食事を食べ終える。
そして、ギルドが用意したカードで支払いを済ませお店を出る。
「とうとうね。大丈夫かしら。」
「大丈夫だろ。トーパ先生のお墨付きだぜ。」
「だな。急ごう。」
お店を出た生徒達は、そのまま学校へ向かう。
他の店に行っていた生徒と合流。
相方を連れて学校へ向かう。
「そっちはどうだった?」
「こっちはスープのお店だね。出汁もなかなか野菜にあうもんだね。」
「そう聞くと、食べたくなるな。ちなみにこっちは。」
別れた先での情報を交換しあっている。
特に、運搬班が積極的だ。
仕事がてら、情報集めが好きなのだろう。
すると、それを聞いていたセシルにアメッサが近づく。
「セシル君。はい、ウルフちゃん。」
「預かって貰ってありがとうございます。」
「いえいえ。怪我を見たかったからね。もう完璧に塞がってるから安心してね。傷跡は残っちゃうけど。」
「仕方ないです。良く頑張ったね。」
セシルが頭を撫でると、ウルフの子は喜んで受け入れる。
そして、アメッサと別れて生徒達を追いかける。
既に生徒全員が揃っている。
「間に合ったね。」
「あぁ。もうそろそろか。」
何とか間に合うことが出来たようだ。
しばらくすると、ギルド長、ギルドマスターが来る。
トーパが生徒達に指示を出す。
「はーい。並んでー。相方も一緒にね。」
トーパの指示に従い生徒達が並ぶ。
相方がいるので、間隔を広めに取る。
それを確認したギルドマスターが前に立つ。
「全員いるようですね。では、授証式を始めます。まず、ギルド長。」
「おう。その前に、先日のお礼を言わねぇとな。お前達のお陰で立派な畑を取り戻せた。感謝するぜ。立派に育って何よりだ。昨日も言ったが、引き続き町を堪能してくれや。じゃあ、始めるぜ。」
そう言うと同時に、トーパが校舎から出てくる。
何か台車を押しているようだ。
それがギルド長の横に来ると、ギルドマスターが再び前に出る。
「昨日作った畑を見ましたが、良く出来ていました。それと、先日の協力して頂いた件を加えて、一同を合格にするとの判断を下しました。おめでとう。」
それを聞いた生徒達が、ほっと一息をつく。
緊張で張っていた力が抜ける。
ギルド長が前に出る。
「これでお前達の相方は、仕事につく事が出来るぜ。これからその証を配るが、気を抜かずに仕事に励めよ。じゃあ、配っていくぜ。」
ギルド長直々に、認定証を配っていく。
トーパがその後を、台車を押しながら着いていく。
一人一人を励ましながら、手渡していく。
受け取った生徒はお礼を言って、鞍や胴体につけていく。
これがある事によって、生徒達の相方はギルドの仕事を受けれるのだ。
そして、ギルド長がセシルの前に立つ。
「ウルフの活躍。なかなか良かったぜ。」
「見てたんですか?」
「そりゃあな。様子ぐらい見るさ。良い嗅覚だったな。」
しゃがんだギルド長がウルフの子の頭を撫でる。
嬉しそうに、わんと吠えるウルフの子。
そして、ギルド長がセシルに認定証が着いた革製の装備を渡す。
「これは?」
「特別サービスだ。つってもトーパ先生が用意した奴だがな。」
「特別製だよ。さぁ、着けちゃって。」
ウルフの子に革製の装備を着ける。
不思議そうに見ていたウルフの子だが、抵抗せず受け入れる。
少し動きづらそうだ。
トーパが確認する。
「丁度あったね。作るのに苦労したけど間に合って良かったよ。」
「手作り何ですか?」
「そうだよ? ウルフの子の装備なんて無いからね。・・・後で写真取らせてね。」
ウルフの子の姿に興奮しているようだ。
確かに、ウルフの子の装備なんてあるわけ無いので手作りするしかない。
トーパの新たな才能に驚きつつも、感謝するセシル。
「立派な装備、ありがとうございます。」
「あぁ。しっかり出来てるな。良い腕だぜ。」
「いやぁ。照れ臭いねぇ。あっ、この子が大きくなったら言ってね。新しく作るから。」
そのつど、作ってくれるらしい。
ギルド長とトーパが次の生徒の元へ向かう。
そうして、全ての生徒に配り終える。
ギルド長が再び生徒達の前へ。
「全員に配り終えたな。これからは、お前達も相方も一緒に働く同士だ。ギルドは違えど、これからも宜しくな。」
「ギルド長。ありがとうございます。では、これで終わります。解散してください。」
そう言って締めくくるギルドマスター。
授証式が無事に終わり、生徒達が解散する。
すると、トーパが生徒達を呼び止める。
「あ、ちょっといいかい? 衣装の大きさを確認するから、相方を小屋に届けたらここに集まってね。」
そう言ったトーパが、校舎に戻る。
ギルド長とギルドマスターも校舎に戻る。
そして、生徒達が小屋へと向かう。
「良かったぁ。どうなる事かと思ったよ。」
「だから言っただろ?」
「そうだね。皆合格で何よりだよ。」
合格という結果に、お互い喜び合っている。
小屋に相方を預けた生徒達が再び学校へ戻る。
それを見たトーパが生徒達を呼ぶ。
「こっちだよ。校舎においで。」
呼ばれて、校舎に集まる生徒達。
トーパのいる部屋に入る。
全員が揃った所でトーパが前に立つ。
「揃ったね。じゃあ、皆の体を調べるから男女に別れてね。」
「トーパ先生、パーティっていつです?」
「明後日だよ。だから、明日王都に向かう事になってるからね。じゃあ、職員がいる部屋に入ってって。」
男女に別れると、職員がいる部屋に入っていく。
それから、職員達によって生徒達がサイズを計っていく。
この日の学校はこれで終わる。
期待に胸を膨らませる生徒達。
そして、次の日が来る。
学校の視点は次辺りで最後です。




