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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
特定危険指定区域<エリア鬼>編

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パーティへの招待

 あれから、三日後の事。

 嵐によって沈んだ畑はほとんど直っている。

 与えられた仕事をきっちりこなしていく生徒達。

 そして、とうとう最後の日だ。


「はーい。じゃんじゃん持ってきてね。」


 生徒達で一つの畑を作っている。

 実習の最初にやっていたものだ。

 それが今、卒業試験になっている。


「耕せたね。それじゃあ、次の行程に行ってみよう。」


 草食小竜に、苗植え用の道具を着ける。

 下の車輪の力で、一つずつ落としていくようになっている。

 装着を済ませて、草食小竜を動かす。


「おーし。並んで動くぞ。」


「前に行き過ぎないで。ずれると面倒よ。」


「わーってるよ。」


 草食小竜が一歩ずつ歩いていく。

 その度に、苗が一つずつ落ちていく。

 苗が横一列に並んでいる。


わんっ。


「ウルフが鳴いてるよ。場所は、右だね。」


「分かった。鳥に見させるよ。」


 ウルフの子が向いている方に鳥が飛ぶ。

 鳥が近づくと、畑に集まる小鳥が去っていく。

 畑には、何も近づけさせない。


「追加の苗、持ってきたぞ。」


「了解。そこに、置いててくれ。」


「三列分事に分けて置くわね。」


「助かる。」


 一定間隔に分けて、苗が置かれていく。

 列の苗が植え終われば、ターンして隣の列に入る。

 その際、装置に苗を追加していく。

 こうやって、畑が段々出来上がっていく。

 その様子を、トーパとアメッサが見ている。


「順調に出来ていますね。」


「昨日の今日だからね。やるべき事は、頭に入っているはずだよ。」


「一時はどうなる事かと思ったけど、生徒達に良い影響を与えたようで何よりだね。」


「そうだね。プロの指導は、勉強になっただろうしね。」


 実践で覚えた事をきちんと反映させているようだ。

 指導がなくても、生徒達の力だけで畑が出来ていく。

 そして、ほぼ一日かけて夕方がきた。

 出番が終わった生徒達が見守る中、草食小竜が最後の列を植え終わる。


「よし、作業は全て終了。完成だ。」


「よっしゃあっ。」「成功だね。」「合格間違いなしだ。」


 歓声をあげて盛り上がる生徒達。

 これで無事、卒業試験が終わった。

 トーパが確認する。


「お疲れっ。卒業試験終了だよ。」


「トーパ先生。どうでしたか?」


「うん。中々良かったよ。」


「じゃあ、合格ですか?」


「それはギルドマスターが決める事だからね。私からは何ともね。」


 トーパの役目は、あくまで見る事。

 そういった判断は、学校が決めるものだ。

 トーパが続ける。


「でも、ちゃんと出来ていたと思う。良い評価が出ると思うよ。」


「よっしゃ。じゃあ、無事に皆合格って訳だな。」


「たぶんね。」


 まだ結果は分からない。

 しかし、間違い無いと一同は確信している。

 トーパも同じだ。


「じゃあ、明日は午後に集合ね。そこで、認定証を配る事になるから。」


「って事は、もう終わりなんだね。」


「帰る準備もしなくちゃか。もう少しいたいなぁ。」


「だな。結局、町を回れて無いし。」


 一連の事件で、自由時間が無かったようだ。

 なにせ、常に動き続けたのだから仕方が無い。

 すると、ギルド長がやって来た。


「心配すんな。ギルドでしっかり歓迎するさ。」


「マジですか? 行ってみたい所があるんですけど。」


「私もよ。町を駆け回っている時に、良い店を見つけたの。」


 運搬班は、作業で町を駆け回っていた。

 そのせいか、町について色々と詳しくなったようだ。

 それを聞いたギルド長が笑う。

 

「おう。俺に任せとけ。働いた分は堪能して貰うさ。」


 再び、生徒達の間で歓声が上がる。

 学校の授業とはいえ、ギルドの仕事をこなしたのだ。

 しっかり対価を払うのは当然の事だ。

 盛り上がる生徒達にギルド長も満足そうだ。


「しっかり休んで準備しておけよ。じゃ、引き続きトーパ先生頼んだぜ。」


 生徒達に別れを告げるギルド長。

 まだ仕事があるのか、すぐに戻っていく。

 しかし、その途中立ち止まって振り向いた。


「そういえば、王都から連絡が来てたぜ。生徒達をパーティに歓迎するってよ。」


 それを聞いた生徒達が静かになる。

 それはつまり、王都に行くということだ。

 生徒達がざわめき出す。


「俺達が王都に?」


「でも、ドレスとかが必要なんでしょ?。」


「そんなの持ってないけど。」


 生徒達の服装は、軽く動ける物になっている。

 しかも、所々土で変色している。

 豪華な場所に行けるような、格好は持っていない。

 すると、ギルド長が言う。


「安心しな。準備ならこっちで用意しておくぜ。トーパ先生、希望者の報告しておいてくれねぇか?」


「かしこまりー。」


 それを聞いたギルド長が頷いた。

 そして、再び歩いて仕事に戻る。

 ギルド長が去ったと同時に、生徒達がトーパにつめよった。


「トーパ先生、どうしよう。そんな場所に行った事無いんだけど。」


「姫様達を助けたお礼がしたいんでしょ。なら、折角だし行っても良いんじゃない?」


「でも、礼儀とかそんなの知らないぜ?」


 田舎育ちには縁の無い話だ。

 どのように振る舞うとか知るはずが無い。

 トーパが言う。


「大丈夫だって。どうしても無理なら、個室を用意してもらうからさ。」


「それなら何とか。」


 それを聞いて一安心したようだ。

 身内だけなら、何が起きても問題ないだろうと思ったらしい。

 トーパが言う。


「私もついてるから安心してね。」


「経験あるんですか?」


「まあね。当日の事は、トーパ先生にお任せなさーい。」


「大丈夫なのかな。」


 自信満々に胸を叩くトーパ。

 欠片も感じない振る舞いに生徒達が不安を覚える。

 生徒達は、こっちのトーパしか知らないのだ。


「経験は積んでこそだよ。という訳で、全員参加という事で。」


「ちょっ。」


「じゃあ。解散っ。」


 問答無用だ。

 トーパは、学校の竜車に戻る。

 残された生徒達は、仕方なく町に戻る。

 それを見るトーパにアメッサが聞く。


「勝手に決めて良かったの?」


「うん。働くならこれぐらいこなせないとね。」


「なるほど。それで、トーパも行くんだよね?」


「うん。アリアを王様に合わせるつもりだったからね。」


 もともと向かう予定だったらしい。

 ならば丁度良いと、参加する予定のようだ。

 アメッサが聞く。


「アリアが? それって例のやつ?」


「そうだよ。特別禁止区域の立ち入りの許可を貰うってさ。」


「じゃあ、決めたんだね。」


「うん。チームの賛同は得たようだよ。」


 話しているのは、神獣に関する事だ。

 追いかけるには下に向かわなくては行けないとの事。

 そうなると、立ち入り禁止のエリアに行く必要があるのだ。

 アメッサが言う。


「セシル君も?」


「皆が行くならって。」


 セシルには伝えてあるようだ。

 目の前を最後の竜車が通り過ぎる。

 見送ったトーパが続ける。


「エリア鬼。沢山の人の命を奪った生き物達がいる場所。」


「避けては通れないよね。」


「はい。エリアのほとんどが巣のような物ですから。」


 入り口付近を除いた全ての土地が巣の範囲に入っている。

 そこを、日々奪い合っているのだ。

 踏み込めば最後、そこの主が飛んでくる。

 安全に通れる場所なんてあるわけがない。

 アメッサが言う。


「セシル君は、皆の事を信じてるんだね。」


「えぇ。もちろん私達も。」


「うん。そうだね。」


 信じているからこそ持ちかけた話だ。

 そうでなければ、諦めるしか無い。

 それぐらい、危険な場所なのだ。

 トーパが言う。


「・・・忙しくなりそうですね。」


「うん。私達もサポートしなきゃね。」


 グレンチームが参加するのなら、エメリナ達も動く。

 知らない場所だからこそ、学者の力が必要なのだ。

 二人も覚悟を決めている。


「帰ろっか。」


「えぇ。最後に確認するので待っていて下さい。」


 最後の確認で畑を見る。

 生徒達が植えた苗が風に揺れている。

 それが終わると竜車に入る。


「では、行きますよ。」


 前座に座ったトーパが竜車を動かす。

 そして、生徒達を追って竜車が走る。

 まだ働いている職員達の横を抜けて町に戻る。

新しい章の始まりです。

この世界にもスーツやドレスはあります。

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