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ハンターチームの裏方仕事  作者: 鍋敷
学校編

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復興へ向けて

 町に帰ってから、被害の確認が行われる。

 その次の日、畑にトーパと生徒達が集まる。

 ギルド職員達の横に並んでいる。

 その前に立ったギルド長が話している。


「見ての通り、畑が水没している。なので、今から復旧作業に入る。各自、する事を確認して作業に入れ。」


 職員達が、はいと返事を返す。

 被害は大きく、嵐が近い方の畑が水に沈んでいる。

 その規模は、八分の一程だ。

 それでもかなりの規模の畑が駄目になってしまった。

 ギルド長が続ける。


「後、生徒達には手助けに入って貰う。いきなり実践で申し訳ないが宜しく頼むぞ。皆の活躍を期待している。では、朝礼終わり。」


 職員達がバラバラに別れて作業に移る。

 自前の小竜に掴まり、畑に移動する。

 そして、トーパが生徒達に言う。


「じゃあ、私達も動こうか。まず、耕作班は職員達と畑を作って貰うからね。案内役さんお願いします。」


「はい。耕作班の皆さんは、それぞれの職員のチームに二人ずつ入って作業をして貰うので職員の言う事を守って下さいね。では、付いてきて下さい。」


「では、トーパ先生。行って来ます。」


「頑張ってねー。」


 トーパの横から現れた職員が指示を出す。

 小竜に掴まった職員の後ろを、同じく小竜に掴まった生徒達が続く。

 残りの生徒に、トーパが言う。


「残りは、新しい土と肥料と苗を運んで貰うよ。偵察班は、荷物を乗せる手伝いをしてね。では、案内役さんお願いします。」


「はい。皆さんには、こちらで用意した物を現場まで運んで貰います。そこまで案内しますので、付いてきて下さい。」


「トーパ先生っ。終わったら打ち上げしようぜ。」


「良いねぇ。じゃあ、早く終わらせなきゃだねぇ。」


 残りの生徒も、竜車に乗った職員についていく。

 それを見送ったトーパが一息つく。

 そんなトーパに、端で見ていたスピナが言う。


「様になってます。違和感が凄いですね。」


「そうね。あのトーパが、はきはき動くなんて。」


「まぁまぁ、そこまで言わなくても。」


 横に座っていたアリアも同意する。

 それを、アメッサが止める。

 それを聞いたトーパが赤面する。


「暇なんですか?」


「暇ね。」


「暇です。欠伸が口から漏れそうです。」


 迷いもなく言う二人。

 作業をじっと見ている。

 そんな二人に近づくトーパ。


「アリアはともかくスピナは仕事中ですよね?」


「昨日の内に終わらせましたよ。つまり、自由時間です。」


 自由時間なので好きに過ごしているらしい。

 しかし、する事が無いようだ。

 呆れたトーパが聞く。


「なるほど。それで何故ここに?」


「さっきも言った通りですよ。」


「暇だから。」「暇なので。」


「あはは・・・。」


 暇潰しのために来たようだ。

 アメッサが困っている。

 何もない所にいるよりこっちにいる方が良いと思ったのだろう。

 すると、ギルド長がこっちに来る。


「おっす。昨日はよく眠れたか?」


「お陰さまさまです。久しぶりにベッドで寝れました。ふわふわでした。」


「えぇ、私達までね。ありがとう。」


 アリアもお礼を言う。

 アリア達も町に泊まったようだ。

 ギルド長が言う。


「構わねぇよ。町を助けて貰った連中を、地面に寝かせる訳にはいかねぇからな。」


「それでも助かったわ。仲間を休ませたかったから。」


「そういえば、皆さんは無事なんですか? 何でも、麻酔の効果を剥がされる程の一撃を受けたとか。」


「えぇ。今は、ぐっすり寝てるわ。」


 アメッサの質問にアリアが答える。

 大きなダメージを受けたから仕方が無い。

 ゆっくり休めるだけでも、ありがたい事なのだ。

 ギルド長が言う。


「おう。ゆっくり休んでってくれや。」


「お世話になるわ。それより港はどうだったの?」


「港か。予想通りだぜ。倉庫は全て壊れてて、凍らせるとこも破壊。なーんも残ってねぇ。」


 設備は何も残っていないようだ。

 もはや港の役目を果たせない。

 しかし、ギルド長は落ち込まない。


「だがな。船は無事だったぜ。」


「なら、また海に出られるわね。」


「おうよ。港が無くても船さえあれば海に出られる。うれしい誤算だぜ。」


 船が壊されていたら、作り直すのは難しいだろう。

 でも、倉庫ならまた立てれば良い。

 そういう事もあって、ギルド長は前向きなのだ。

 すると、職員が駆けつけてくる。


「ギルド長。苗が足りないそうです。」


「おう、今行くぜ。じゃあな。」


 そう言って、去っていくギルド長。

 ギルド長としてやる事はいっぱいあるのだ。

 ギルド長を見送る四人。


「忙しそうだね。」


「はい。」


「これからもっと忙しくなるでしょうね。」


「やることがいっぱいだからですね。忙しいのも良いものだ。」


 スピナの言う通り、出来ることがあるから忙しい。

 何もなければ、する事が無いからだ。

 それは、トーパも同じ。


「私もそろそろ行きましょうか。アメッサ行きましょう。」


「あっ、ちょっと待って。そろそろだから。」


「そろそろ?」


 気合いを込めるトーパを、アリアが止める。

 そのアリアは、隣に停めてある竜車に向かう。

 そして、通信機を繋げる。

 

「こちらアリア。エメリナ?」


『そうよ。ちょっと待ってね。もう少しだから。』


 受話器の向こうは慌ただしくしている。

 沢山の人が、行き交っている。

 場所は、エメリナの研究所では無いようだ。


「アリア? どこに連絡をしているんです?」


「都市のギルドハウスよ。」


 しばらく待つアリア。

 その間に、通信機の音声を本体発信に切り替える。

 すると、多くの人の声が流れ出す。

 エメリナが戻って来る。


『待たせたわね。』


「それで。どうなったの?」


『良い話と、悪い話があるわ。』


「なるほど。大体分かったわ。」


『どうする?』


 大体の事情を察したようだ。

 聞かれたアリアは考える。

 代わりにトーパが聞く。


「もしかして、はずれを当てましたか?」


『トーパもいるのね。そうよ、もしかしたらあなたの友人の力を借りるかも知れないわ。』


「分かりました。連絡をしておきますね。」


『後で良いわよ。今忙しいんでしょ? 取り合えず、そっちを優先させて。』


 トーパにもやる事は沢山ある。

 その邪魔をするつもりは無いようだ。

 エメリナがアリアに聞く。


『あとは、あなた達次第よ。』


「避けて通れないのよね?」


『そうね。時間がかかるし、燃料が持たない。あなたならわかるはずよ。』


「・・・皆と相談させて頂戴。」


『えぇ。無理強いはしないわ。』


 すぐに決めることは出来ない。

 そんな話をしていると、向こうの音が静かになる。

 エメリナが確認する。


「そろそろ発表ね。じゃあ、切るわね。」


 そう言い残して、エメリナが通信機を切る。

 そして、二人が竜車から降りる。

 その二人を、スピナが迎える。


「話は聞いていましたよ。次から次へとですね。」


「そうですね。もしかして、私に先程のを聞かせる為にここに?」


「いえ、聞かせたのはついでよ。」


「ついで何だね。」


 ただの暇潰しに理由はない。

 ただ直接聞かせた方が、後の説明の手間が省けるからだ。

 トーパが言う。


「それでは、アメッサ、今度こそ行きましょう。」


「あ、はい。」


「頑張ってね。」


 トーパとアメッサが仕事に向かう。

 畑では、水抜き作業が行われている所だ。

 そこに、土を積んだ竜車が近づく。

 畑の作業は、順調のようだ。

 スピナとアリアがぼんやりとその光景を眺める。




 今から五年前の事。

 大陸の南で、四匹の生き物が縄張りを奪い合っていた。

 その度、お互いの力が増していった。


 腕が肥大化したコングの王。

 数種類の毒を撒き散らす鳥竜。

 マグマのような汗に包まれた草食大竜。

 山をも貫く水圧ブレスを吐く海竜。


 ドラゴンに劣る四匹の生き物。

 しかし、戦いで研かれる事によってドラゴンをも超越するに至ったのだ。


 それが人里に降りてきた。


 人をも構わず争った。

 それに、巻き込まれて沢山の人が命を落とした。

 それを止める為に、騎士やハンターも命を落とした。


 その犠牲者は、数万人にもおよんだ。

 そして、その戦いで三分の二の土地が海に沈んだ。


 たった二日の出来事だ。

 世界中にその話が渡り恐れられ、歴史に深く刻み込まれた。

 それを畏怖した人々は、その四匹の生き物を鬼と呼んだ。


 そこは今、特別指定危険区域として誰の立ち入りをも禁じている。


 今もなお、争いは続いている。

章、終了です。色々ハプニングはありましたが終われて良かったです。

そんな中、最後まで付き合って下さった皆さんに感謝です。ありがとうございました。

神獣を追い詰める前に、もう一つ章があります。

最後まで、お付き合いしていただければ幸いです。

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