嵐が来た
次の日の朝が来た。
空は曇っている。
生徒達は町の外に集まっている。
「どーもー。トーパ先生だよー。今日も元気に行きましょー。って事で、耕作班と警備班は着いてきてね。」
耕作用の小竜に専用の鞍をつける生徒達。
その鞍にある足場に飼い主の生徒が足をかける。
飛び乗ると鞍を掴む。
「こんなもんか。」
「おっと、意外と怖いな。」
初心者ゆえ不安定なようだ。
警備班と相方は、トーパや職員と共に職員用の馬車に乗る。
動き出した馬車に、生徒が掴まった小竜が続く。
「やっぱり畑を作るんですか?」
「そうだよ。それが一番分かりやすいからね。」
昨日の話はあっていたようだ。
ひたすら畑を横に進む一同。
しばらく進むと使われていない荒れた畑に着く。
「さて、着いたよ。今日やってもらうのは畑作り。役割がこなせるか確かめるよ。」
「やっぱりか。」
「それじゃあ、運搬班は何もしないの?」
運搬班にはすることがない。
実際、運搬班は着いてきてはいない。
しかし、トーパが否定する。
「運搬班には、苗とか道具を買って運んで貰うよ。」
「そこからするんですね。」
「そうだよ、お店の場所とかそういう情報を出し合って集めて貰う。あっ、お金はギルドが用意してるから大丈夫だよ。」
商売の練習もしているようだ。
運搬班は、商人が基本なのでその練習もさせているのだろう。
何はともあれ、実習が始まる。
トーパが指示を出す。
「じゃあ、担当の職員に従って畑を耕し始めてね。では、よろしくお願いします。」
職員の指示に従い、小竜を畑に入れる。
昨日習った指示で畑を耕し始める。
端から一列に並んで、進んでいく。
「真っ直ぐだぞ。」
「速度を落として。」
「大丈夫、出来てますよ。落ち着いて。」
職員が生徒達と相方を誘導していく。
時々、逸れると真っ直ぐに戻す。
そうして、順調に進んでいる。
それを見ていた警護班に、トーパが近づく。
「さて、君達の番だよ。君達にして貰うのは、鳥の発見だよ。苗を狙って来るからそれを守る。簡単でしょ?」
「見つけたらどうすれば良いんですか?」
「追わせれば良いよ。それだけで逃げるはず。」
当然の事ながら、苗を狙うものは現れる。
それを見つけて追い払う事によって一連の動きを覚えさせる。
簡単に逃げる鳥が相手なのでちょうど良いのだ。
「なるほど。畑を警護するのが僕たちの役目ですね?」
「そういう事。じゃあ、鳥使いの二人は、苗を植え始めたら交代で飛ばしてね。セシル君は、鳥の臭いの下があるので覚えさせる事。」
ウルフの子の仕事は、まず相手を知る事だ。
鳥の臭いがする物を手渡されるセシル。
ウルフにそれを嗅がせる。
ウルフの子は、それを興味深そうに嗅いでいる。
「これで良いんですか?」
「良いよ。後は、それを探させる。今回は、それだけで良いよ。」
ウルフの子の目的は、あくまで鳥の発見だ。
なので、探させるだけで良いのだ。
他の警護班が、その様子を見る。
「この子に来る方向を調べて貰うって事?」
「なるほど。ウルフに見つけさせて、そこを僕達が見張るという事ですか?」
「鋭いね。そういう事だよ。」
鳥の視界は広くても、急にこられては対処ができない。
ならば、来る方角を先に見つければ良いという訳だ。
すると、竜車と馬車の音が近づいてくるのにトーパが気付く。
「運搬班が来たようだね。では、後は職員の方に任せるよ。」
「はい。私の方で進めておきますね。」
職員に後を任したトーパは、運搬班を迎えに行く。
馬車や竜車が、職員の指示に従い並んでいく。
トーパが確認に行く。
「指定したものは持ってこれたかい?」
「当然。ちゃんと見つけましたよ。」
「じゃあ、確認するね。」
トーパと職員が、馬車の荷台に乗って確認する。
馬車の中にある箱を開けると、野菜の苗が入っている。
それを一つ一つ確認していく。
「問題無さそうですね。」
「そうだね。よし、降ろしちゃおう。」
職員が集まり、荷物を降ろす。
職員達は、受け取る業者の代わりだ。
最後に荷台を見て荷物を降ろした事を確認する。
「よし。次の持って来てね。じゃあ、次の馬車来ちゃって。」
馬車が移動すると、代わりの馬車が入る。
同じように中身を降ろして移動する。
それが繰り返される。
すると、トーパが止める。
「ちょっと、待ってね。」
「どうしたんです?」
「優先の竜車が来たからね。」
トーパが見ている方を同じく見る生徒達。
そこには、派手な竜車が走っている。
町の入り口を避けて、奥のへと延びる道へ入る。
それを見た生徒が話し合う。
「騎士の竜車?」
「そういえば、姫様が港に来るとか何とか。」
「そういえばそうだっけ。」
「ま、俺達には関係無いか。」
竜車の列は、すぐにいなくなる。
全て通過したようだ。
トーパがそれを確認する。
「ようし。行って良いよ。」
実習が再開される。
馬車と入れ代わり、竜車が入る。
しばらく続くと荷物が増える。
すると、耕作班の職員がトーパに声をかける。
「あれ、もう植えちゃって良いですか?」
「うん。良いよ。」
耕作班の職員が生徒達を呼ぶ。
集まった生徒が、苗を取っていく。
それと同時に警護班が立ち上がる。
「もうそろそろ出番だ。行こう。」
「ようやくね。待ちくたびれちゃった。」
「そうだね、遅れた分頑張ろう。」
ここに来て要約の出番だ。
鳥を竜車から降ろして行く。
そして、笛を吹こうとした時だった。
セシルに水滴が落ちる。
「雨?」
「あ、私にも落ちた。」
「ほんとだ。」
水滴がだんだん増えて雨になる。
その勢いが激しくなる。
トーパが空を見る。
「今日は晴れのはずじゃあ。」
「えぇ、そのはずです。」
「おかしいですね。」
他の職員も同意する。
予想外の雨に困惑するばかりだ。
すると、風も吹き出す。
職員がトーパを呼ぶ。
「トーパ先生。通信です。」
「ん? 分かった。職員の皆さんは生徒達を避難させてね。」
はい。と、返事した職員と別れたトーパは竜車に向かう。
中に入って、職員から受話器を受け取り通信を代わる。
出たのは、アメッサだ。
「はいはーい。代わりましたよぉ。」
『あ、トーパ? 今大丈夫。』
「・・・大丈夫ですよ。それで、何か合ったんですか?」
『実はね。スピナから連絡があって、そっちに嵐が向かっていますよ、急に生まれて大きくなってます。子供の成長は早い・・・こっちは言わなくていいか。そういう事です。』
とにかく、嵐が来ているようだ。
しかも、いきなり現れたらしい。
口に手を当て悩むトーパ。
「いきなりですか。そんな事が・・・。いえ、今の現状を見れば明らかですね。」
『そうなの。おかしいけど、スピナの言ってる事は正しいと思う。』
「まさか、ドラゴンが?」
『私もそう思う。』
異常と言う事は、自然に出来た嵐ではない。
つまり、何か原因があるはずなのだ。
と、なると、考えられるのはドラゴンしかない訳なのだが。
「ドラゴンは、自然にある物を作り出せます。しかし、自然現象そのものを変えるなんて聞いた事がありません。」
『どうする? トーパ。』
「取り合えず、アリアと連絡を取ります。」
『分かった。気をつけてね。』
通信機が切れる。
外を見ると雨も風も強くなっている。
生徒達は、近くの倉庫に避難しているようだ。
「良かった。避難できてますね。」
もう一度、受話器を取る。
そして、グレンチームの竜車に繋げる。
出たのはアリアだ。
「アリア、そっちの様子はどうです?」
『うーん。・・・、嵐よ。ドラゴンは見当たらないわ。』
「もしかして寝てますか?」
『起きてるよ。・・・うん、大丈夫。』
どうやら眠そうだ。
ずっと起きていたらしい。
トーパが聞く。
「この嵐、変ですよね。やはり、原因はドラゴンですか?」
『そうなるわね。でも、嵐を起こすドラゴンなんて。』
考えるアリア。
やはり、アリアにも分からないようだ。
あくびをしたアリアが続ける。
『雨が降ったら出るかもだし、もうしばらく見ているわね。』
「・・・寝ないで下さいね?」
『・・・頑張るわ。』
自信なく答えるアリア。
やはり眠いようだ。
とにかく、ドラゴンの姿を見つけないといけない。
『まぁ、雷の音もないし大丈夫でしょ。』
「だと良いんだけど。じゃあ、頑張って。」
『お互いにね。』
お互い励まし合って、通信を切ろうとする。
その直後だった。
ピシッ、ピシッ、ピシャァーーン。
光と共に激音が走る。
どうやら、雷が近くに落ちたようだ。
「えっ。」『なっ。』
音がした方を見る二人。
一瞬の事で見えなかったが間違いなく雷の音だ。
ドラゴンが動き出したのに二人が気づく。
大きさ的に小竜の上には乗れないので、鞍に足場を付けてそこにくっつく感じです




