交流会
セシル達の日程変更
三日目から外で実習です
「なるほど、逃げられたんだね?」
『えぇ、あの後、何処かへ飛んでいったわ。』
「でも、巣の位置は特定できたんだよね?」
『そうよ。でも戻って来なかった。恐らくだけど、特定の時だけそこに来るんじゃないかって考えているの。』
「特定の時ね。なるほど、こっちでも考えて見るよ。じゃあ、そろそろ授業だから切るね。ではまた。」
トーパが通信機を切る。
溜め息をついて、椅子に座る。
アメッサが、声をかけてきた。
「どうだった?」
「少しばかりきついですね。まさか、ドラゴンがいるなんて。」
「姫様の到着、遅れさせる?」
「しかし、海上で襲われては、ひとたまりもありません。」
身動きの出来ない海上で襲撃を受けては、回避なんて出来るわけがない。
それに対して、相手は空を飛んでいるので自由に動けるのだ。
それをどうにかする方法は一つしかない。
「相手は夜行性。なら、昼の間に上陸してもらって匿うしかないでしょう。」
「向こうに連絡は?」
「エメリナを通じて、騎士の副団長に伝えるらしいです。私達が出来る事は、相手の生態を調べる事だけ。」
「なら、トーパが先生している間に私が調べるよ。実地訓練まで出番は無いしね。」
「お願いします。では、私は学校へ行きますね。」
髪留めを外したトーパは、部屋を出て学校へ。
どんな理由があろうと、役目を放棄して良い理由にはならない。
何より、目的の為にはウルフの子の教育は欠かせないのだ。
「さてと、今日も頑張りますかね。」
気合いを入れ直して歩いていく。
自分のするべき事をする為に。
「やぁ、トーパ先生だよ。今日の授業は指示出しだよ。各自別れて必要な指示を覚えさせる。じゃあ、別れてね。」
そう言ってトーパはいなくなる。
昨日と同じく、三つの班に別れるようだ。
警護班の三人で集まる。
「今日も頑張ろう。」
「そうですね。」
「えぇ、早く一人前にならなくっちゃ。」
担当の職員がいる場所に向かう。
担当も昨日と同じ人のようだ。
職員の後ろには大きな壁がある。
「皆さん、揃いましたね。早速ですが中に入って下さい。」
どうやら、この中でやるようだ。
職員について中に入る。
中にはさらに壁があり三ヶ所に入り口がある。
「では、皆さん。授業の説明をします。今日やってもらうのは、探索の指示です。追わせる物を指示して探させる事を相方に覚えさせてもらいます。」
そう言うと、ボールを三人に持たせる。
今回は、三人共同じようだ。
それと、同じボールを職員が持つ。
「今回は、投げて拾わせるのではなく。同じボールを探して貰います。では、そのボールを覚えさせて下さい。」
言われた通り、ボールを見せたり匂わせたりして覚えさせる。
ウルフの子は、そのボールを不思議そうにじっと見ている。
動かすとそれを目で追っている。
他の二人も、同じ様に覚えさせているようだ。
「これで良いのかな。」
「こればっかりは、やってみないと。」
覚える事と実践は別のもの。
出来るかどうかの自信は無い。
しばらくすると、職員がボールを掲げる。
「では、やってみましょう。自信がある人からやってみてね。」
「では、なら僕からいきます。」
男子の生徒が笛を吹く。
すると、鳥が一直線にボールへと向かう。
そして、木の台に止まる。
上手く行ったようだ。
笛を吹いて鳥を戻す。
「問題無さそうだね。ボールに興味を持ってくれたのなら行けるかもよ。」
「そう? ならやってみるわ。」
「では、次どうぞ。」
女性が同じように笛を吹く。
すると、鳥が飛んでいく。
同じように、成功したようだ。
「次は君だね。」
「やってみるよ。」
セシルも同じように笛を吹く。
すると、ウルフの子がこっちを向いた後、職員のボールへと向かう。
そして、笛を吹いてウルフの子を戻す。
「やった。」
「おめでとう。」
「これで、みんな成功ね。」
三人で成功を喜び合う。
しかし、授業は始まったばかりだ。
職員が次へ進める。
「では、次に移ります。壁の向こうに隠れるので探して下さい。」
それからも授業は続く。
壁の向こうにあるのを探す。
探して飼い主に伝える。
移動したのを追いかける。
複数のボールから当たりを探す。
あるかないかを見分ける。
そうして、次々と授業をこなしていく。
「何とか上手くいっているけど。」
「けっこう危ないのもあったね。」
「教え合える仲間がいて良かった。」
こなしていくと言っても、毎回完璧な訳ではない。
途中で上手く言う事を聞かなかった時もある。
指示が複雑になるほど、言う事を聞けなくなるのだ。
職員が戻ってくる。
「それで良いんですよ。大事なのは繰り返して覚えさせる事。皆さんは、それが出来ているので大丈夫ですよ。」
一回で覚えさせる必要はない。
最後に身につければそれで良い。
職員が伝えたいのはそれなのだ。
「では、今日は終わりです。そして、明日から実習です。今日覚えた事を試していきましょう。」
「「「はい。」」」
「では、解散。」
そのまま、職員と別れる。
訓練場から離れて、校舎に戻る三人。
すると、途中で他の班と合流する。
「よぅ。そっちはどうだった?」
「何とか覚えさせたる事が出来たよ。」
「こっちもだ。明日から合同だっけ。」
「そうだったはずだよ。」
それぞれ明日の事を話し合っている。
合同ということは、違う班と協力する事になるということだ。
男子生徒の一人が提案する。
「じゃあさ、交流会しねぇ? どうせ一緒にやるならお互いもっと知った方が良いだろ。」
「あ、それ良いかも。」
「じゃあ、どうするよ。」
「隣のキャンプ場で一緒に食事しようよ。」
「確か、泊まってない人でも良いんだっけ。」
どんどん話が進んでいく。
隣と言えば、セシルが泊まっている宿泊施設。
生徒がセシルに聞く。
「セシル君も良いよね。」
「うん。構わないよ。」
一同が宿舎につくと、相方を小屋に入れる。
世話をしているのを見届けながら、セシルは自分のテントに戻る。
ウルフの子が後について来る。
「みんなで食事か。先に行っておこうかな。」
テントに入らずに宿泊施設へ向かうセシル。
しばらく待つと、生徒達がやって来た。
受付で予約を取る。
「確認しました。左の道へどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「あっ、セシル君だ。先に来てたんだね。」
「皆揃ったか。じゃあ、行こう。」
生徒全員が揃っている。
後で、もう一つの班も誘ったのだろう。
一同が食事所につく。
「では、買い出しに行ってくる。」
「おぅ。場所取っておくぜ。」
買い出し班と、場所取り班に分かれる。
セシルは、買い出し班と共に行く。
生徒の一人が、受付に行く。
「今日は多いわねぇ。」
「数は、ありますか?」
「えぇ、あるわよ。待っててね。」
奥に入った受付の人が食事を出していく。
その度に、生徒が持っていく。
人数だけあって数は多い。
「それと、肉食用の食事も。」
「あっ、昨日の子ね。同じで良いのよね?」
答えは聞かず、奥に入る。
ウルフの子の分が出されたので持っていく。
場所は、邪魔にならない奥の方へ。
それぞれ別れて、焼き台の前に立つ。
「では、始めようか。まずは、固い肉から。」
「全部まとめてで良いだろ。」
「ちょっ。」
一人の生徒が、お肉をまとめて焼く。
急いで止めるが手遅れのようだ。
愚痴を言い始める。
「焼くには順序があってな。」
「こんだけ人いるんだし良いじゃねぇか。あ、野菜取ってくれ。」
「仕方ない、焼けた物から配っていく。」
諦めたようだ。
その焼き台の生徒達はせわしなく動いている。
それを見ながら、他の生徒も焼いていく。
「俺達はゆっくり焼いていこう。」
「そうだね。」
セシルがいる焼き台では、ちゃんと焼けにくい物から焼いていく。
反面教師を見習っての事だ。
早速セシルは、焼いたお肉をウルフの子に与える。
「いいなぁ、私もあげたい。」
「あっ、俺も。」
「いいと思うよ。冷ましてからね。」
冷ましたお肉を順番に与えていく。
ウルフの子は、それを受け入れる。
ウルフの子は人気のようだ。
「ウルフって珍しいよね。」
「そうだな。色んな生き物を見ているけど、ウルフは初めてだ。」
「私もだよ。人も襲わないし、すごいよね。」
興味深そうにウルフの子を撫でている。
人になつくのは原種でこの子だけなので、珍しいのも当然だろう。
セシルが質問する。
「怖くないの?」
「そりゃあな。仕事がてら、いろんなのを見るせいで麻痺してんだ。」
「むしろ可愛いよね。野良のとは雰囲気が違う。」
この子が特別なのは察しているらしい。
撫でられているウルフの子は気持ち良さそうにしている。
そして、満足したのか生徒達は自分の食事に戻る。
「そういえば、明日は何するんだろう。」
「何って、合同でしょ?」
「その中身だよ。役割は違うわけだろ?」
「確かに。そう考えるとさっぱりね。」
言われて気づいたようだ。
役割が違うとする事も違うはずだ。
何か考えがあるのだろう。
他の焼き台の生徒が、会話に入ってきた。
「去年は、畑作りしたらしいぜ。」
「あぁ、耕作班は耕作意外は無理だもんな。」
「まぁどっちにしろ、一番良い成績を残すのは俺の相方だけどな。」
「いやいや、こっちの方が。」
それから、各生徒による相方が始まる。
大きさ、強さ、それぞれ自信があるようだ。
こうして、一緒の食事会が過ぎていく。
授業を飛ばすか、でも、せっかくの学校編なのにとばすのか。
でも、書くとだるくなる。
悩んだ末にとばしました。




