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20、グレー

美雨「役職者が選ぶ指定投票かー」


処刑対象を3人に絞るという作戦。これは有効だ。

おそらく今日は役職カミングアウトをした桜真、兎摘、夢咲士。そして片方の占い師から占われて人間だと言われている怪盗ななし。

この4人を除く7人の中に、ここに人狼が1匹も含まれないことはありえない。


そして無策でやれば、3つの人狼票は他に集中する。

こうなると2日目も人狼が吊れなく、厳しくなってしまう。


満月「どうだ?反論がなければやりたいと思うが」


しかし3人に絞るという柵を作れば、人狼が逃がれにくくなる。

確かに3人の中に人狼が入らなければ、何の意味もないが、逆に2人以上含まれるとかなり強力な攻撃と化す。


誰も反対する者はいないか、そう思いかけた。


舞雪「大ありかな」


舞雪が久々に口を利く。

姉の死に放心していたが、ちゃんと議論は聞いていたか。


満月「どう不満だ?」


舞雪「だ、だって選ばれた3人に人狼が含まれなかったら、人狼を逃すための作戦みたいになるじゃん!」


満月「確かにそうだ。

だから選ぶ側3人は、なるべく人狼ではなさそうな奴を集めたつもりだ」


舞雪「それでも!その3人の中の1人は絶対人狼側じゃんか!」


占い師と言っている桜真と兎摘。どちらかは確実に偽物なためだ。


満月「ああ、その通りだ。

だが狂人の可能性が高いという話をしたろ。

狂人なら人狼が誰かわかっていないからさほど問題ではない」


舞雪「でもなんか、今出てる役職の人が本物っぽく見えない。

他にいないのかなとか思っちゃうし……」


舞雪はグズグズ文句を続ける。


ななし「いい作戦だと思うよ、僕は」


舞雪「……え?」


ななし「提案者の満月ちゃん自身に、処刑対象が誰になるか選べないところ……なんなら自分が選ばれる可能性すらあるのも好印象だしね。

これ、結構人狼達はやられたら嫌なんじゃないかな?3人の処刑対象をほぼコントロール出来ないからね」


夢咲士「くく、その通り。さらに選ばれた人狼が焦り、ボロを出しやすくなるのもメリットだ。

俺様の戦友、魔界四天王マモンの名言にあるだろう?

“敵に焦りを与え、ミスを誘え”とな」


初日「誰の!何の言葉やねん!

……はぁ、でもしゃーないなー」


舞雪「いや……でも!」


星彦「不満はあるが、代案はないなら従うべきだ」


星彦が舞雪をなだめる。


舞雪「ふ、不満とかじゃなくて!意味あるかわかんないって言ってるの!」


お得意の意地張りが始まったか。


星彦「……なら、お前の愛用してるパソコンやスマホ。もともと何のために開発されたものか知ってるか?」


舞雪「何の話?」


星彦「もともとは軍事ミサイルの弾道計算機だった。戦争のために生まれたものだ」


舞雪「……」


星彦「つまり何がどんな結果を生むのか、そんなことは誰にもわからない。

言ってることわかるか?」


舞雪「そ、そうかもしれないけど」


ななし「舞雪ちゃんさー

人の提案に後からぐちぐち評論するのだけはやめてよね」


舞雪「は?私はただ……」


ななし「ならもっといい方法を、自分から提案すればいいじゃん」


舞雪「……」


舞雪は黙ってしまう。


ななし「ほら!後出しジャンケンしか出来ないくせに、自分はジャンケンが強いと勘違いしちゃってない?

自分からは何も生めないのに、恥ずかしいよ?そういう態度」


舞雪「も、もうわかったよ!

やればいいじゃん!じゃあ!」


ななし「あ、ただ選ぶ前にはっきりさせたいことがあるんだけど!

ねえ、霊時くん!」


霊時「……?」


急に教師から当てられたように驚く。

こいつもずっと上の空だった。

チラチラ花火の死体を見て、ぶつぶつ言っている。


ななし「役職見た?」


霊時「……え?」


ななし「だーかーらー!役職だよ!

夜のアクションの時に再表示されたでしょ?

占うとか、守るとか、襲うとか、何かさ!」


確かに。村人の場合でも、怪しい者に投票すると出るため、役職の再確認は夜なら可能だ。


ななし「ちゃんと把握してるの?してないの?」


霊時「いや、あの……み、見てない、です」


ななし「……はあ。きみさ、花火ちゃんが死んでから今まで何してたの?全然面白くないんだけど」


霊時「……だ、だって、は、花火さんは……

俺が決選投票に入れなきゃ。しかも助けたはずの雛さんも死んじまってるし……俺の、せいで……」


頭を抱え苦しむ。

いや、責められているがこれが一般人の反応なんだ。

他の連中の切り替えが早すぎる。


ななし「結局、またノーヒント?君、人狼なら仲間ブチ切れてるよ絶対!

今日生き残ったら、絶対見てね。

もし見てこなかったら……」


霊時「……」


ななし「明日、殺すから」


涙目で震えた。


ただ、これで占い師などだった場合、取り返しがつかない。

役職を自覚してないやつ。

これはゲームを壊し得る存在だ。


舞雪「……」


満月「確かに彼はグレーだが、もういい。

人狼だったとしても行動に出ないなら、判断しようがない。

桜真、兎摘、夢咲士!もう処刑対象を選んでくれ。

選ばれた3人にも話を聞かないといけないからな」


3人が視線を回す。

さあ、誰が選ばれるのか?


兎摘「じゃあ、私から選ぶわね。

私は笹川星彦にするわ!」


星彦「……ち、俺か」


兎摘「理由は簡単。死者の声よ!

確かに私は昨日、柊雛を白だと伝えたわ。

けど、村人と言ってたのに何ですぐ殺されんのよ!

これじゃあ何のために私が守ったのかわからないわ!」


なるほど。いい着眼点だ。


兎摘「つまり雛が殺されたのは、正しかったから。

疑って投票した人物が本当に人狼だったからじゃないの?

違うかしら?配役時に目の下がぴくぴくしてて雛に投票された笹川星彦くん?

こいつを占えばよかったわ」


人狼は自分を疑う者を減らしておいた方が、単純に次の日に死ににくなる。

雛は仮投票時に星彦を疑っていた。ありえる話か。


夢咲士「では俺様も選ぼうか。

その前に……審判者よ。ひとつ聞きたい」


こちらに視線を切る。私にか?

答えられるかは内容によるが。


仁一郎「何じゃ?」


夢咲士「俺様の第三の目は捉えていた。

昨日、夜のターンにえらく時間がかかっていたな」


仁一朗「だから何じゃ?」


夢咲士「3匹の人狼の襲撃先が話し合いのすえ、結局割れたままの場合どうなる?

昨日、まさにそうなっていたのでは?」


なるほど。面白いところに気がつくな、夢咲士。

魔王となる前はただの泣き虫のガキだったが、システム面にまで切り込んでくるとは、いっぱしのゲーム実況者ではあるようだ。


仁一郎「よかろう。推理に使わせてやる。

まず人狼の夜のアクションには時間制限がある。

アクション中はタイマーが表示され、時間内に対応しなかった者は操作無効じゃ」


夢咲士「なるほど、昨日霊時の決戦時の投票は無効となっていた。それと同じ扱いか」


仁一朗「そういうことじゃ。つまり人狼の襲撃先が割れた場合も多数決となる。

2:1と割れるなら2の方が選ばれる。

また多数決不可の1:1:1の場合は、早い者勝ち。一番早く操作した者の操作が有効となる」


命懸けの人狼ゲーム。勿論意見が割れることもあるだろう。

少し言い過ぎな気がするが、奴が聞きたいのはおそらく……


夢咲士「ふ……理解した。

悪趣味なシステムよ。ゲームに乗った者の意見が反映されやすいわけか。くくく」


桜真「……」


夢咲士「なら俺が断罪の審問にかけるのは、柊閏悟!貴様だ」


閏悟「……」


やはり。こいつも別の観点から、雛を襲撃したことに着目している。

雛は閏悟、舞雪と肉親が2人いる身だった。

言うならば、これもヒント。


夢咲士「理由は、貴様が何も話さないことだ」


星彦「あ?そんなもん当たり前だろ。妹が殺されたんだぞ?」


夢咲士「肉親の死が原因。俺様も最初は思った。

しかし机に拳を振り下ろした後、貴様は憎い人狼を探している風には見えなかった!」


くくくと笑う。


夢咲士「そう、貴様は周りに目もくれずずっと下を見て怒りを抑えていた。

俺様の第三の目は誤魔化せん。

あの拳は、多数決で雛を選んだ人狼仲間に対して振り下ろしたもの。違うか?」


閏悟「……」


閏悟はそれにすら何も言わない。

ひねくれた面白い推理。魔王とやらも馬鹿に出来ない。


あとは桜真だな。


桜真「ふむ……そうなるか。

悩ましいな」


頭を抱えながらトントンと指を机に叩いている。

相当考えているようだ。


初日「やっぱり舞雪ちゃんか?」


舞雪「は?何で?」


桜真「……」


満月「単純な話。昨日桜真が怪しんだのが夢咲士と雛と舞雪。夢咲士は占い、雛は死んだ。貴様しか残っていないという話だ」


桜真「残っているグレーは兄貴、美雨、満月、霊時、舞雪……

そうだな。柊舞雪でいこう」


舞雪が桜真を睨む。


桜真「すまんが消去法だ。兄貴は俺を信じてくれている。

美雨は昨日、騎士の護衛先と人狼の襲撃先を合わせる対象に立候補してくれた。

満月は今日、人狼を追いつめるために意見をまとめてくれている。

霊時は判断不能だからな」


舞雪「は?それだけ?」


桜真「あと2点ある。

2日目の今日、最初の発言が満月の提案への反対意見だったこと。

あれは選ばれたくない防御感にも見える。

さらに昨日にも述べた配役時の二度見は、やはり怪しい」


舞雪「……」


桜真を睨む舞雪。

選ばれたくないのは事実だと語っている。


満月「決まったな。

今日は、笹川星彦、柊閏悟、柊舞雪に票を集中させる。文句はなしだ」


星彦、閏悟、舞雪は不服そうな表情を浮かべる。


満月「さて、では3人に話を聞こう。誰を怪しんでいるかなど教えてくれ」


さあ、どんな議論をしてくれる。


星彦「怪しいやつか……」


星彦が視線を落とす。


満月「誰かいるか?星彦」


星彦「そうだな……」


初日「やっぱり舞雪ちゃん?昨日怪しんで投票もしてたしな」


星彦「いや、今は全くだ」


舞雪「な、何で変わったの?」


星彦「雛が殺されたからだ」


桜真「なるほど」


星彦「ああ、昨日殺されたのは雛。だから俺は舞雪と閏悟だけは人狼ではないと思った。初心者意見かもしれないがな」


満月「確かに家族から殺す理由もないかもな」


星彦「だから困っている。俺からすれば、舞雪も閏悟も怪しくないからな」


美雨「なるほど、確かにね。

じゃあ他に怪しい人はいる?」


星彦「お前だよ」


美雨「え?私?」


星彦「ああ、俺は初心者だ。論理的な理由なんてねえがな。

お前から殺気を感じた気がした。それだけだ」


美雨「え、ひど!

でもまあわかったよ。人狼ゲームは、誰をどんな理由で疑うか自由だからね」


夢咲士「しかし、星彦よ。

雛を殺したのは“あえて”の場合はどうする?」


星彦「あ?」


夢咲士「雛を殺せば、柊家に人狼はいない。そう推理するだろうと思った人狼が、あえて雛から殺した説は否定しきれん。

ふ、初心者には難しいかもしれんがな」


星彦「役職も狙わずにか?」


夢咲士「……何?」


星彦「お前らが最初、教えてくれたんじゃねぇか。役職は上手く潜伏しろとな。

なら人狼は潜伏してる役職を狙いたいんだろう?

なのに何故、村人と言った雛から殺すんだ?」


そう、雛が殺された時に感じた違和感はそれだ。役職を狙っていない点。


夢咲士「なるほど……いい意見だな」


星彦「だから柊家には人狼はいないと思う。

家族から殺すやつなんて普通いねえよ」


案外いい意見だ。

確かに自分が死にかけた時に“村人”だとしか言わなかった雛から殺す道理などない。

だとしたら何故……


舞雪「むしろ逆だよ。殺すよ」


ここで入ってきた舞雪。

その一言目に円卓が凍りついた。


舞雪「身内が身内を殺すわけない?

ううん、むしろそう思わせるためのお姉ちゃん噛みだったのかもしれないよ。

私はずっとその男を疑ってる」


閏悟「……」


指をさされた実の兄。依然黙ったまま。


夢咲士「ふん、姉が死んだ後なのに、とても冷徹だな」


桜真「柊家は早くに母が失踪し、そして雛も死んだ。

閏悟は舞雪にとっての最後の家族。

仲が悪いのは知っているが、私怨を持ち込むな」


確かにな。舞雪は嫌う故に閏悟を怪しむという偏見を持っているようにしか見えない。


舞雪「最後の家族?

よく言うよ。家にお金も入れないくせに!

それに私知ってるんだよ?

お母さんは失踪したんじゃない!」


閏悟「……」


舞雪「お父様が最初に言ってた大罪のひとつ“自身の母親を殺害した者”。

あれ、あんたのことじゃん」






2日目、昼のターン

挿絵(By みてみん)

01、月影初日

02、柊閏悟

03、柊雛…………死亡、1日目襲撃

04、月影桜真

05、片桐兎摘

06、片桐美雨

07、笹川星彦

08、晩花火………死亡、1日目処刑

09、赤村満月

10、月影霊時

11、源夢咲士

12、柊舞雪

13、怪盗ななし


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