朝のひと時
翌日、目が覚めた時のことー…
「んん…」
まぶた越しに明るい光を受けて、そっと瞼を開ける
すると、フラウが部屋のカーテンを開けたところだった
「おはようございます、お嬢様」
「ええ、おはよう、フラウ」
私が目覚めたことに気付いたフラウが微笑みかけてくれる
まだ寝ぼけた頭だけど、私も自然にフラウに微笑み返していた
「お嬢様、お加減は如何ですか?」
そう問いかけながら、フラウが水差しとコップを持って来てくれる
「だいぶ回復したと思うわ」
そう返す私に、フラウは安心したように笑みを向ける
「それは何よりです。……お水、飲まれますよね?」
「ええ、ありがとう」
フラウがカップに注いでくれたお水を受け取り、喉を潤す
「……そう言えば、コウやルナ、マリン達はどうしているのかしら」
ふと昨日のことを思い出して呟くと、フラウが答えてくれた
「お嬢様が召喚した者たちでしたら、それぞれに部屋を与え、休んでもらっています」
「そうだったの……」
昨日、私は早々に眠気に負けて寝てしまったから、その後のことが心配になったのだ
「大丈夫です。コウ達妖や精霊は、何千年…何万年と生きている大人ですし、アレンやレオンも、もう子供ではありませんから」
と苦笑混じりに告げるフラウ
「そう……でも、それもそうね」
「それよりも、お嬢様はまず、ご自分の事をご心配ください!」
また倒れたらどうするんですか!
そう告げるフラウに、かなり心配をかけてしまったのだなと反省した
「……ごめんなさい。もう心配はかけないようにするわ」
私がそう返すと、フラウは当たり前と言った様子で告げる
「お嬢様の身を心配するのは、私たちにとってごく当たり前のことです。……それだけ、私たち使用人はお嬢様のことを大切に思っているのですから」
そう真摯に告げられて、なんだか胸の内が擽ったくなる
「……ありがとう。でも、私としてはフラウやアレン、レオンの身も心配よ」
「ふふ。お嬢様ならそう仰ると思って、私達は常日頃から鍛錬を重ねているのですよ」
いざと言う時、お嬢様を守り、助けられる存在で居たいからです、とフラウは笑った
「……ふふ、私は恵まれているわね」
そう微笑み返すと、フラウも笑顔を見せてくれたのだった
朝のひと時
(とある朝のひとコマ)