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“名付け”

アレンの指差す先の彼らはー…?




アレンの指差す先に視線を向けると、数人の男女が立っていた



彼らは、私たちヒト種とは違うようで、獣の耳があったり、不思議な光に包まれていたりした



「…!まさか、彼らって…」



「そう、アメリア様が召喚した者たちです」



私の言葉を続けてくれたレオンは、彼らに視線を向け、ため息をつく



「…はあ。こんなにも様々な種族の者を召喚するなんて…貴女はどれだけ無理したんですか…」



あきれ混じりのレオンの視線を受けて、私は苦笑を溢す



「あ、あはは………



…ごめんなさい」



「…はあ。反省しているなら、今後はもう無理はしないと約束してください」



レオンは、フラウの隣に膝を着き、真剣な目でそう言った



「…ごめんなさい。約束するわ」



「本当ですよ」



「ええ、本当よ」



「………」



(…貴方達や、“誰か”を守るときは…



…約束を守るとは、断言はできないけれど…)



頷いた私の表情を見て、内心で思ったことを悟ったのか、



レオンは苦笑する



「…貴女は、考えていることがすぐ顔に出ますね」



「え…?」



「ですが、貴女は僕達の大事な姫です。

次、無理をして倒れるような事があったら…

…我々は、貴女を守るため、手段は選びませんよ」



「…ええ。そうならないように気を付けるわ」



「そうしてください」





「ー…あー、いい雰囲気なところ悪いんだけど…」



私とレオンが笑いあっていると、アレンが気まずそうに声をかけてきた



「!!」



「…っ、アレン、お前…」



顔を赤くする私をよそに、レオンはアレンと喧嘩を始めてしまう



「…ふふ、喧嘩するほど仲が良いとはこのことね」



「ですね」



今度は、フラウと笑いあった



「…それで……

貴方たちは、私が召喚した精霊さんよね?」



彼らは頷く



初めに、獣の耳と尻尾を持つ男の子が口を開く



「…俺は妖弧。お前の呼び掛けに答え、ここに来た」



彼は、赤と白を基調とした、袴のような服を着ており、オレンジ色の髪の毛に、燃えるような赤い瞳を持っていた



「そう…よろしくね。貴女は?」



次に、妖弧の男の子の隣の、獣の耳と尻尾を持つ女の子に視線を向ける



「私は白虎…。妖弧と同じく、貴女の呼び掛けに答えたの」



静かに答える彼女は、白と青がメインの着物のような服を着ていた


水色から毛先に向かって白銀になっている長い髪の毛に、マリンブルーの瞳を持っている



「白虎ね、よろしく。次は…」



「あ、あの…私は、人魚族です…よろしくお願いします…」



宵闇のような暗い青の長い髪に、足が尾びれになっている女の子が控えめに言う



「人魚族…貴女、水中に居なくて平気なの?」



「わ、私は、主様が力を与えてくれたので、大丈夫なんです…」



私の問いかけに、少しだけ嬉しそうに答えた人魚の女の子



「そうなのね、よかった…」



最後に視線を向けたのは、ヒトの体だけど、どこか不思議な光を纏っている2人の男の子だった



「貴方たちは?」



「俺は氷の精霊だ。こっちは…」



「風の精霊だよ。よろしく」



赤いつり目の男の子に、緑色の瞳の男の子



「そう…よろしくね」



(…そういえば…)



「貴方たち、名前は無いの?」



「名前?ねぇよ」



妖弧の男の子が答える



「そうなの…じゃあ、友達の印に、私がつけてもいいかしら?」



私が笑顔でそう提案すると、彼らは一様に驚く



「…い、いいんですかぁ…?」



「俺達、そこそこ上位の精霊だけど…」



「…?ええ、良いけど…どうして?」



彼らの反応に、軽く首を傾げていると、アレンが代わりに答えてくれた



「精霊に名付けをすると、それ相応の魔力を消費するんだよ。…病み上がりなのに大丈夫なのか?」



眉を寄せて私の顔を覗き込んでいるアレンに、私は笑いかける



「大丈夫よ、もう気分も悪くないし。無理だと思ったら、途中で休憩するわ。…ね?」



必死でお願いすると、アレンは折れてくれた



「…ったく。マジで無理すんなよ?」



「ふふ、ええ。心配ありがとう、アレン」



私はベッドから足を床に下ろし、彼らと向かい合う形でベッドに座ると、それぞれの顔を見た



「それじゃあ…まずは貴方からね」



一番最初に自己紹介してくれた、妖弧の男の子に微笑みかける



「…変な名前はつけんなよ」



妖弧の男の子は、そう言ってそっぽを向いてしまう



「…うーん」



オレンジ色の髪に、燃えるような赤い瞳…炎を彷彿とさせる彼に、私は紅炎から取って、"コウ"と名付けることにした



「じゃあ、あなたは"コウ"ね」



「"コウ"…?」



「そう、紅と書いてコウよ」



私がコウにそう微笑みかけると、彼の体が光に包まれた



「…その名前、貰い受けた」



微かに微笑んだ彼は、満足げな表情をしていた






“名付け”


(真っ赤な彼は“コウ”)

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