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物語の始まり





私は花川みりあ。








ごく普通の一般人だ。









…そう、あの日、あの時まではー…












ー…


ある日の夕方、仕事から帰ろうと、帰り道を歩いていた



すると、家の近くの公園に、一匹の白猫がいた



「わあ、かわいい…。どこかの飼い猫かな?」



目が青くて、毛並みも凄く綺麗な猫だった



だけどー…



「…あれ、怪我をしているの…?」



猫の前足の毛は赤く染まっていて、痛々しい傷があった



「…よし、少し待っていてね」



私は、猫を怖がらせないようにしながら近付くと、こちらを見上げる猫をそっと膝の上にのせた



暴れるかと思ったのだが、案外大人しい様子の猫



傷が痛いのかもしれない…



「…猫ちゃん、ちょっとごめんね」



猫に一声かけると、前足の傷の具合を見た



傷口は痛々しいものの、そこまで深い怪我ではない様子で、安心してほっと息をつく



「よーし。痛いかもしれないけど、少し我慢してね」



「にゃあ」



答えるように鳴いた猫に、微笑みを浮かべた



鞄からハンカチを取り出し、猫の傷口の汚れを拭う



痛いのか、猫は少しだけじたばたと暴れたが、引っ掻かれはしなかった



「…うん、これでいいかな」



傷口がきれいになったところで、ハンカチの汚れていない部分を裂き、猫の傷口に巻いた



「これでよし。…よく頑張ったね」



そう言って猫を撫でると、猫は気持ち良さそうにごろごろと喉を鳴らした



「ふふ、よしよし。…ところでお前、何処の猫?飼い主さん探しているんじゃない?」



「にゃあ?」



「うーん…首には首輪はないけど、今時の野良猫ってこんなに綺麗なの?」



「にゃあ?」



「あはは、わかんないよね」



ふと空を見上げれば、茜色だった空はすっかり紺色になっていて、仕事の帰り道だったことを思い出す



「そろそろ帰らないと…じゃあね、猫ちゃん」



猫を膝からおろし、頭を撫でると、猫は一鳴きしてから歩き出す








…だけど、猫が向かったのは車が走っている車道で…



「えっ、猫ちゃん!?」



慌てて猫を追いかける私



猫が車道に飛び出すのを見て、私は考えるよりも先に走り出していた






「ー危ないっ!」







そこで、私の意識は途切れた










物語の始まり


(生の終わりと、物語の始まり)

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