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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第7章 闘え! 神に挑みし冒険者たちよ!
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083.邪神復活

 ジョーカーおじさんは右手を顔に当て、左手を右肘に添えてやや後ろに反りながら決めポーズを取る。


 ……うん、いつもの訳の分からないジョーカーおじさんだ。


「このボクに恐れをなさずに向かってくるとは天晴だ。苦しまずに一撃で仕留めてやろう。

 ――太陽の息吹の波紋疾走!」


 変なポーズから一瞬で迎撃体制に移り、ジョーカーおじさんを攻撃しようとした邪教騎士のノネットに波紋攻撃を喰らわす。


「ぎゃっ!?」


「これはおまけ、大地の軌跡の波紋疾走!」


 倒れたノネットがそのまま立ち上がれずに蹲る。


 重しに抑えられているように見る事から重力制御の技かな?


 ジョーカーおじさんが戦うところを初めて見たけど、思ったよりも強い。


 いつもは変なポーズを取ったり、面白い事を言うエーデ師匠の友人なんだけどね。


 その友人のエーデ師匠はと言うと。


「剣姫一刀流亜流・砲戦華!」


「あらぁ、亜流と言えど流石剣姫一刀流ねぇ。技のキレが違うわねぇ」


 そう相手を褒めながらも、邪教騎士ノウェムの渾身の突きを、エーデ師匠は鞭を螺旋状に迎え撃ち、そのまま剣を絡め取ってノウェムから武器を取り上げる。


 そして絡めた剣を器用に操り、鞭を振るいながら剣でノウェムを斬りつけた。


「ぐぁ!?」


「練度は良いけど、剣に殺気を乗せすぎねぇ。剣筋が見え見えよぉ」


 いや、そこまで判断できるのはエーデ師匠クラスだけですよ。


 うん、エーデ師匠とジョーカーおじさん、ついでに『風雷姫』も何ら心配はないね。


 パトルとモコもエニアドを相手して抑えてくれる。


 僕は漸く辿り着いたキュウベエを前に剣を構えた。


「ヴァリアブル王子様を返してもらうぞ」


「儀式の邪魔はさせません」


 キュウベエの【千載一遇】で【回転】スキルが使えないから、魔力纏装で身体能力を底上げして、剣の一撃を放つ。


 だけどキュウベエは僕の一撃を難なく受け止め、そのまま続けて放つ斬撃も捌ききる。


 逆に連撃の隙を突かれ、僕は一撃を肩に貰ってしまう。


「ぅぐっ!」


「大人しくしてもらえるとありがたいのですが」


「はいそうですか、って言うと思っている? 思っている訳ないよね!」


「一応礼儀として言っておかないと思いまして」


「礼儀と言うならヴァリアブル王子様の扱いは礼儀がなってないと思うけど!?」


「いえいえ、これは私なりの最高の礼儀の迎え方ですよ。ただし邪教流ですが」


 互いに言いながらも剣戟を繰り広げているけど、キュウベエ……強い!


 最初からスキルが使えないことが前提なので、ただ純粋に剣の腕を磨いてきたんだろう。


 僕の奥の手の1つである魔力纏装を使っているのに、押し切れない。


「そうまでして不老不死が欲しいの!?」


「いえ? 私が求めているのは不老不死ではありませんよ」


 え? それじゃあなんでキュウベエは邪教を信仰しているの?


 はっ!? もしかしてシクスティーンの町の領主をヴァリアブル王子様に取られたことを恨んでいる?


「そしてシクスティーンの町の領主を殿下に取って代わられた事を恨んでいる訳でもありません」


 ……どうやらそれも違うらしい。


 じゃあ何で?


 交えていた剣劇を収め、キュウベエは語りだす。


「寧ろ殿下には感謝しています。お陰で私は気が付いたのです。権力や武力、世の中には様々な力は有れど、それらは全て女神Aliceの理の中での事。私がどんなに力を付け頂点を目指そうと、それは女神Aliceの掌の上での事。それはつまり、私たちは女神Aliceの奴隷でしかない」


 ……何か変な事を言い出したよ。


「奴隷から解放されるためには、私が本当に自由になるためには、真に頂点を目指すには女神Aliceの理の外の力が必要なのです」


 女神Alice様の理の外……


 っ!! それって!


「そう、女神Aliceの別の神――不死神Sunring様の力ですよ。不死神Sunring様の力があれば、女神Aliceに縛られずこの世の頂点に立てます」


 え―――………


 そ、そんな理由でヴァリアブル王子様に弓を引いたの?


「く、くだらない……」


「くだらない、ですって……?」


「くだらないよ。世界の理とか女神Alice様の奴隷とか、そんなことを気にしている時点で、自分自身の理に縛られているじゃないか。と言うか、自分が一番じゃないと気が済まないただのガキだね」


「貴様……! この私が、子供だとでも言うのか!」


「違うの? 世の中思い通りにならないから我儘を言っているって自覚している?」


 ギリッ


 歯ぎしりが聞こえるほど、キュウベエが物凄い形相で僕を睨んでくる。


「その減らず口、もう間もなく叩けなくなりますよ。覚悟してください」


「そうかな? 僕としてはキュウベエと違って他人を蹴落として1番になるつもりはないから、頼りになる仲間が居るからね」


 キュウベエを突破して儀式をしている祭壇に向かうことは出来なかったけど、その間に他の邪教騎士や邪教信者を退けてパトル、モコ、エーデ師匠、ジョーカーおじさん、『風雷姫』が僕の周りに集まってくる。


「さぁ、観念するんだね。チェックメイトだよ」


 みんなに囲まれて観念……するかと思ったんだけど。


「く、くくく、くくくくくく、くははははははははっ! 観念? それはこちらのセリフですよ。時間を稼いでいたのは貴方だけではありません。こちらも同じです。そう、儀式は完了したのですよ!」


 思わず祭壇の方を見ると、そこにはさっきまで漂っていたはずの濃厚な魔力が奇麗さっぱり無くなっていた。


 ……まさか! 本当に儀式が完成してしまったの!?


 祭壇で横たわっていたヴァリアブル王子様がゆっくりと起き上がる。


「おお……! 不死神様……!」


「不死神Sunring様……!」


「よくぞお目覚めに……」


 儀式を行っていた邪教信者と邪教騎士が涙を流しながら歓喜に震えていた。


「ふぅ……。久々の現世か。十年ぶり以来か? 妾は不死神Sunring、この世界の新たな神である」











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