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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第7章 闘え! 神に挑みし冒険者たちよ!
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078.二手

「嫌らしい手を使ってくるねー、ジュウザもー」


「ですです。余程私たちを東の祭壇へ行かせたくないみたいなのなの」


 ……あれ? そうなると今も尚キュウベエが向かっている東の祭壇はどうするんだろ?


「あの、どういう事です? ジルベールさん達の言い方だと、東の祭壇の方が重要に聞こえますです」


 うん、モコの言う通り邪教にとって東の祭壇が重要で、ここはどうでもよさそうに聞こえる。


 その疑問に答えたのは、しかめっ面をしたオズだ。


「ここは囮だよ」


「はぁっ!? どういうことだ。さっきのジジイはここを狙うって言ってたじゃんか」


「少し考えれば分かることですわ。ここが本命ならなぜわざわざジュウザが魔道具なんて使ってあたくし達に教えたのです?」


 あー……、そっか。


 フランチェスカの答えに僕たちは納得する。


 ここが本命なら教える必要はないんだよね。


 黙って僕たちが居ない隙を突いて襲えばいいんだし。


 ここの警戒を強める事で、東の祭壇の意識を逸らそうとしているんだ。


 さっきは東の祭壇に意識を向けさせて、こっちが本命って誘導しておきながら、本当はその逆で東の祭壇が本命な訳だ。


「??? どういうことだ?」


 ……パトルだけがまだよく分かっていないみたい。


「後でちゃんと教えてあげるよ。それじゃあ、ジュウザがここを万を超える兵で攻めてくるって嘘だって事だよね」


「ううんー、そうとも言えないのー。そこがジュウザの嫌らしいところでねー。本当にここに万を超える兵を率いて襲ってくるわよー。ここが邪教にとっても重要地点なのは間違いないからねー」


 ジル師匠の言葉に僕はギョッとする。


 だけど、どこまで本当か分からないけど、万を超える兵が攻めてくるって言うのに、ジル師匠たちは動じる様子は無い。


「あの、ジル師匠……?」


「やっぱり二手に分かれるしかないわねー」


「クソ教祖の思惑通りって言うのが気に食わないがな」


 僕の疑問を余所に、ジル師匠たちが話し合いを進める。


「と言う訳で、ヴォルさん達は東の祭壇で邪神復活の儀式の阻止、私たちはこの村でジュウザの襲撃の阻止ですです」


 二手に分かれるってそう言う事!?


「ジル師匠! いくら何でも無茶です! 少しでも人手があった方がいいのに、戦力を分けるだなんて」


「あらー? それじゃあ、東の祭壇へ向かっているキュウベエはどうするのー? 生贄の巫女のヴァリアブル殿下はヴォル少年の知己じゃなかったっけー? 助けなきゃならないんじゃなかったのー?」


「そ、それはそうだけど……」


 そうだった。


 邪教の教祖やら元邪教の村の襲撃やら、邪神の復活やらで状況が目まぐるしく動いているけど、僕たちの一番の目的は、ヴァリアブル王子様とナナ様の救出だ。


「ここは私たちに任せてヴォル少年たちが邪神復活の儀式を止めるのよー。重要な作戦の要を任せるんだから、責任は重大よー」


 そっか、本命が本当に東の祭壇なら、キュウベエを止めるのは大事な事だ。


 思わぬプレッシャーにたじろいでいると、頼りになる相棒から激が飛んできた。


「はっ! なんだか良く分からねぇけど、キュウベエを止めればいいんだな。なんだよ、当初の予定通りじゃねぇか。おい、ヴォル! さっさと行って、王子様たちを助け出そうぜ! と言うか、この問題が片付かねぇとお前の婚約者との話し合いもクソもねぇからな」


 何か最後の方は小声で聞こえなかったけど、パトルらしい励まし方だ。


 励ましているつもりはないかもしれないけど、僕にとってはパトルのその変わらない姿勢は有難い。


 うん、パトルが相棒として最初のパーティーメンバーで良かったよ。


「うん、そうだね! ジル師匠、僕たちは東の祭壇に向かってキュウベエを止めてきます!」


「任せたわよー」


 と意気込んでみたのはいいものの、肝心の東の祭壇の場所がまだ分かってないんだよね。


 だけどそんなのはジル師匠たちには織り込み済みで、この村で準備をすると言いながら既に手を打っていたみたい。


「おい、何かこの村に向かって来ているぞ!」


 一番最初に気が付いたのはパトルだった。


 あ、僕にも感じ取れた。


 何か――魔物よりも強力な存在が近づいてきている。


 この感じ……どこかで覚えがあるような……?


 その何かは、あっという間に僕たちの前に現れた。


 真っ白い毛に覆われた、しなやかな巨躯を僕たちの前に曝す。


 ――神狼フェンリル――


 前に一度、クローディアに頼まれて魔女の森でフェンリルの子供を助けたことがあったけど、纏う雰囲気はまさにその時と同じだった。


 ううん、それ以上だ。


 これが成体まで成長したフェンリルか。


 突然現れた神狼フェンリルに警戒を露わにしていると――


「マックスー、お疲れ様ー。どうだったー? 思ったよりも早かったけど、祭壇の場所見つけたー?」


『ママ! ただいま! うん、見つけたよ。思ってた通り、ここからずっと東の大陸の端っこだったよ。今は結界を張られて中に入れなかったけど、その周辺に居た人は邪魔をしてきたから多少は儀式が遅れるんじゃないかな?』


 あれ? ジル師匠とフェンリルが仲良く話している。


 と言うか、ジル師匠がママ?


『あれ? この人たち誰? くんくん、どこかで嗅いだことがあるような匂いがする……?』


「マックスー、この人たちはジュウザの野望を阻止するために協力してくれる仲間よー。ヴォル少年―、この子はマックスー。見ての通り神狼フェンリルよー。私たちの仲間よー。仲良くしてねー」


 ジル師匠の神狼フェンリル――マックスの紹介に、僕たちは言葉なく首を縦に振って頷く。


 ええええ、まさか神狼フェンリルまで仲間にしているなんて……


 S級パーティー、侮りがたし……











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― 新着の感想 ―
[一言] マックスも合流。 マックス=あの時の子とはまだ気づいてないか。
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