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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第7章 闘え! 神に挑みし冒険者たちよ!
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076.もう1人の師匠

 一見すると、そこは普通の村だった。


 大人が畑仕事をしたり、薪割りや洗濯、家畜の飼育などをしている。


 子供は大人の手伝いをしたり、それよりも小さい子供は集まってかけっこやら木の枝を使ったチャンバラごっこをしたりしていた。


「……信じられねぇ。ここがあの邪教の本拠地だって言う村か?」


「どこからどう見ても普通の村だよね」


 パトルの信じられないと言う気持ちは良く分かる。


 かつて世界を震撼させた邪教大戦の中心地、その場所が普通の村だと言うのは信じられない事だった。


「もうー、来る前に言ったじゃないー。邪教だった村はもうないのー。ここに居る人は邪教とは関係のない普通の人よー」


 そう言うのはジル師匠だ。


 本人はあっけらかんと喋っているけど、彼女のしたことはとんでもない事だ。


 僕たちはキュウベエを追いかけて、キュウベエの目的地である邪教の本拠地の村を目指すつもりだった。


 だけど、焦っていた僕たちとは裏腹に、ジル師匠が【テレポート】の魔法であっという間に邪教の本拠地だった村へ着いてしまったのだ。


 その際、邪教の本拠地だった村は邪教大戦の際になくなり、今は普通の人が住まう村になっていると教えられた。


 邪教大戦の際、邪教を信仰していないはぐれ村人や過激な信仰に付いていけなくなった村人が、普通の村として再建したとの事だ。


 その村の再建を手伝ったのがジル師匠たち『収集家の集い(コレクターズ)』だと言う。


「そう言う訳で、キュウベエ(根倉貴族)が目指しているのはここじゃねぇ。おそらくここより東のどこかにある祭壇だろう。奴が来る前に探し当てるぞ」


 さも当然とばかりにオズが言うけど、そんな東の僻地の事なんて普通は知らないよ。


「その事は、キュウベエも知っているの?」


「そりゃあ知っているだろう。奴は邪教の幹部でもあるからな」


 むむむ、と言う事は、僕たちはまんまとミスリードに引っかかったって事かな。


 ジル師匠たちが居なければ、更に無駄な時間を消費していたかもしれない。


 それにしても……ジル師匠ってこんなに多彩な人だったんだ。


 オズ曰く、ジル師匠は全てのスキルを使うことの出来るのは、首に下げているペンダントに嵌っているきゅーちゃんなる聖石が【森羅万象】のと言うチートスキルを持っているからだと言う。


 他にも、きゅーちゃんを含め全部で10個のチート能力を持つ聖石を扱うチートキャラらしい。


 仲間にも言われるなんて、ジル師匠ってどんだけ……


 僕はそんなジル師匠を見て、数時間前のジル師匠と再会した時の事を思い出す。









「ジル師匠って……、お前の師匠はあの魔族の女だろ」


 僕の発言にパトルは師匠はエーデ師匠じゃなかったのかと疑問をぶつけてくる。


「あー……、エーデ師匠もちゃんとした師匠だよ。エーデ師匠は冒険者としての師匠で、ジル師匠はスキルとしての師匠だよ。僕に【回転】の可能性を教えてくれたのはジル師匠なんだ」


「そうだねー。ヴォル少年の村に寄った時に、いろいろアドバイスをしてあげたっけー。懐かしいねー」


「と言うか、ジル師匠ってあの『幻』のジルベールだったんですか?」


「あれー? 言ってなかったっけー?」


「聞いてませんよ!」


 まさか、ジル師匠がS級冒険者だったとは。


「なんだ、お前が目を掛けていた少年ってドリルボーイの事だったのか。道理で、ここ最近のこいつの活躍は納得の実力だったって訳か」


「私の教えが良かったからねー」


 そう言いながらジル師匠はその巨乳おっぱいの胸を張る。


「それはそうと、根倉貴族は動いていたんだろ? こいつらも関わったみたいだがな」


「うん、そうだねー。なんで急に足跡を残す様に動いたか分からないけど、闘技都市セブスティティンで騒動を起こしてそのどさくさで生贄の巫女を攫っているねー」


 ジル師匠はそのあと仕入れた情報として、闘技都市セブスティティンで起こったことを話す。


 オズにとっては僕たち視点での内容を聞いているので、再確認の意味でジル師匠の情報を聞いている。


「根倉貴族が動いたのは、ザースディーンの邪教騎士の所為だろうな」


 今度はオズがザースディーンの町でのニコライの事件を話す。


「なるほどねー。キュウベエはニコライの事件で私たちが動くことに焦ったのねー」


「ニコライの事件を調べれば、その近辺のシクスティーンの町にまで調査が及ぶと思ったのかもかも」


「その前に、行動を起こしたわけですね。彼は嵐が過ぎ去るのを待つより、先に動くことを取ったと」


「ニコライの事件を逆手に取った可能性もある」


 ジル師匠、ララクレット、フランチェスカ、アベレージがそれぞれキュウベエ・ニコライの事件の感想を言う。


「あの……、生贄の巫女ってヴァリアブル殿下の事ですよね? 巫女って神のスキルを持つ乙女じゃなければって聞いたです」


 あ、それは僕も思った。


 確かにヴァリアブル王子様は【神の覚書】のスキルを持っているから生贄の巫女の条件の一部に当てはまっているけど、王子様は男なんだよね。


「あなた達も邪神の復活の詳細を知っているみたいねー。でもちょっと違うのよー。邪教での生贄の巫女って言うのは、神のスキルを持つ者か、スキルレベルが神のレベルに到達した者の事を指すのよー。だから巫女は男の人でもOKってわけー」


 そうだったのか。


 別にヨンタナ達から嘘の情報を教えられたわけじゃなく、ヨンタナ達もそこまでは知らなかったんだろう。


 巫女と言う名前と、ミッツが攫われた状況から巫女=女の子って認識していたのかもしれない。


「さて、巨乳も戻ってきたことだし、詳細は向こうで詰めようぜ」


「その方がいいですです。キュウベエが向かった先は、もしかしたら彼らの方が知っているかもしれないなのなの」


 そうだった。


 僕たちはキュウベエを追いかけて、早く行動を起こさなければならなかったんだ。


 だけど、オズが僕たちをここに連れて来た時に言ったように、今からでも十分追いつけるような言い方をしている。


「あの……、ジル師匠。キュウベエはもう既に先に進んでいるんですけど、今からでも追いつけるんですか?」


「大丈夫だよー。きゅうちゃんが居れば無問題(モーマンタイ)。【テレポート】でひとっ飛びだよー」


「……は?」


 え? 僕はジル師匠が何を言っているのか理解できなかった。


 だって、【テレポート】なんてスキル、伝説級のスキルだよ。











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