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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第7章 闘え! 神に挑みし冒険者たちよ!
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071.指名依頼(王族)

 僕たちの目の前には、土下座をしている壮年の男が居る。


「この度は我が愚息がお迷惑をかけ、大変申し訳ございませんでした!」


「そんなにヴァリア兄様に領主の座を奪われたのが、許せなかったのですわ?」


「いえ! 滅相もございません! 王族であらせられるヴァリアブル殿下がシクスティーンの町を収めるのは住人にとっても至上の喜びでございます。私も、ヴァリアブル殿下がお越しになるまで領主の座をお預かりしているだけの存在です」


「キュウベエは、そうは思わなかったみたいねですわ」


「……はっ、我が愚息がそのような事を考えていたとは思いもよらず」


 シクスティーンの町の前領主ココノッツ・ナインスゲートが、額を更に地面に擦りつけながら土下座を続行する。


 それを、冷たい目で見降ろすヴィスクドール王女様は、ちょっとばかり怖かった。


 こういうところを見ると、流石王族だとは思うけど、普段とのギャップの差が激しすぎるよ。


 ヴィスクドール王女様の隣にはロクウェル様が座って同じように冷ややかな目でココノッツ様を見ながら質問をする。


 因みに、俺たち4人はヴィスクドール王女様たちの後ろで立って成り行きを見守っていた。


「これ以上の言い訳は十分です。それで、キュウベエの行方は分かったのですか?」


「……ただいま全力で捜査中です。キュウベエの部屋を調べ、邪教に関する資料から行方を追っているところであります」


「ここまで邪教信者と言うのを隠してきたキュウベエが、手掛かりになる資料を残しているとは思えませんけど。まぁいいですわ。ココノッツ様は、ココノッツ様の方でキュウベエの行方を追ってください。どんな些細な情報でも報告も忘れずにお願いします」


「……はっ!!」


 真っ青な顔をしたままココノッツ様は逃げる様に部屋を出ていく。


「はぁ……。悪い方ではないのですが、少しばかり権威に固執しすぎてますですわ。それがキュウベエにも受け継がれていたかと思ったのですが、どうもそうじゃないみたいですねですわ」


「そうね。キュウベエが邪教信者だとしたら、かなり前からだと思うわ。邪神のアイテムなんて、そう簡単に手に入る物じゃないですもの」


「ココノッツにはこのままキュウベエの捜索に全力を尽くしてもらうですわ。それとは別に……、ヴォル兄様、改めて冒険者として『躍る冒険者ダンシングアドベンチャー』にヴァリア兄様とナナ義姉さまの捜索奪還をお願いしますですわ」


「はい、承りました」


 これは指名依頼だ。


 それもヴェルザンディ王国の王族からの。


 何でこうなったんだろう。


 とは言え、流石にこの「約束通り決闘に出た、勝った、じゃあさよなら」とはいかないからね。


 それに、邪教信者には浅からぬ因縁もあるし、放っておくことも出来ないし。








 決闘後、後始末を立会人の人に任せ、僕たちはヴァリアブル王子様とナナ様の捜索の為シクスティーンの町に戻ってきていた。


 そんな中、キュウベエの仕出かした事を聞きつけたココノッツ様が部屋に乱入してきて土下座を敢行した訳だ。


 現領主のヴァリアブル王子様が居なくなったシクスティーンの町は、一時的にヴィスクドール王女様が収める事となる。


 ロクウェル様はその補佐だ。


 ヴィスクドール王女様が町を収めると同時にヴァリアブル王子様とナナ様の捜索を極秘に行う事となる。


 ココノッツ様とは別方向で。


 闘技都市セブスティティンの方でも、面子を潰されとか、邪教信者は即殲滅だとかで、セブスティティンの領主様も激怒しているらしい。


 どちらかと言うと、ココノッツ様よりもセブスティティンの領主様の方に期待しちゃうよ。


「それでは一度ザースディーンの町に戻って情報収集に当たらせてもらいます」


「分かりましたですわ。それと、ヴォル兄様? 私に敬語はいりませんですわ」


「いえ、そう言う訳にもいきませんよ」


「もう、ヴォル兄様はヴォル兄様なのに」


 いや、勘弁してよ。


 ヴィスクドール王女様は僕の事を未だに行方不明になったヴォルテクス王子様だと思っているけど、違うからね?


 僕は心の中でため息をつきながらヴァリアブル王子様の捜索の方法に頭を巡らせる。


 ここシクスティーンの町に残って情報を集めてもいいけど、ザースディーンの町に戻るのはニコライの関係から邪教を探るためだ。


 つい最近邪教関係の事件が起きたのは、まったく無関係だとは思えないから。


「ヴォル様、お気をつけてくださいね」


 部屋を出て行こうとする僕へ、ロクウェル様が少し顔を赤らめながら声を掛けてくれる。


 ……成り行きとは言え、僕は貴族となりロクウェル様の婚約者となったんだ。


「あ、は、はい……」


 僕はどう接すれば分からず気まずげにその場を逃げる様に部屋を出ていく。


 そんな僕を、パトルはやや冷ややかな目で見ていた。


 ううう……、そんな目で見ないでよパトル。


「モッテモテだな、ヴォル」


「それ本気で言ってる?」


「いや? それよりもザースディーンの町に戻ってからどう動く?」


「そうだね。まずは手分けをして情報を集めようか」


 モコにはこれまでの5年間の冒険者活動で培った交友関係から、アリエスには領主のモノクローム様からニコライ事件の方向から、パトルは……その持ち前の人懐っこさから町中での情報収集に当たってもらうか。


 僕は、クロム・ハートと会って情報を集めよう。











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