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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第6章 示せ! 貴き血脈の誇りを!
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068.異変

「痛い、痛い、痛い」


 僕の『ギジ・スラッシュ』がまともに決まり、ハチェットは胸についた大きな傷を抑えながら蹲っていた。


「婚約者が居ないロクウェルを手に入れるには、決闘を挑めは良いって言ってたじゃないか。なのに、決闘をやることになるし。しかも決闘をする相手は冒険者如きだから俺様の敵じゃないって。どうなってんだよ、キュウベエの野郎……!」


 ……なんだって?


 今、聞き捨てならない人の名前が聞こえて来たんだけど。


 この決闘は、ハチェットが自らの意思で挑んできたものじゃなく、裏で画策していた人が居たって事?


 キュウベエって、確かヴァリアブル王子様が収める町、シクスティーンの前領主様の息子、だったはず。


 僕はヴァリアブル王子様たちと一緒に決闘を見ているキュウベエ様を見る。


 キュウベエ様は何事もない様に、悠然としていた。


 ハチェットの声は観覧席には聞こえていないので、バレてないと思っているんだろうか。


 人違い、で済めばいいんだけど。


 どちらにせよ、この傷の状態じゃハチェットは決闘を続行できない。


 このまま降参を宣言してくれればいいんだけど。


「どうする? まだ続ける?」


「……この俺様が、底辺の冒険者如きに、負けるわけ、無いだろ」


「その傷で続けるつもり?」


「こんな傷、屁でもねぇよ」


 そう言い、何とか立ち上がるハチェットだったけど胸の傷から流れる血は止まらず、ふらついてまともに立てずにいた。


 僕は立会人に視線を送るも、止める気配はなさそう。


 この程度の傷は、闘技都市じゃ日常茶飯事なのか。


 となれば、このまま止めを刺すしかないのかな。


 出来れればこの決闘を画策した裏の人物について吐いて欲しいんだけど。


 けど、ここで止めを刺せばその手掛かりが失われてしまう。


 まぁ、ロクウェル様を狙っていた気持ちは本当だろうし、力尽くで手に入れるつもりでもいたんだろう。


 その気持ちを利用して裏でこそこそする人物を喜ばせるつもりはない。


 ならば気を失わせるしかないんだけど、このまま大量出血で気を失うまで長引かせるのも手かな。


 そう思って、気絶させる方向で方針を決めて剣を構えるけど、どうやらハチェットの方でも新たな方針を決めていたみたいだ。


「くそ、これ以上キュウベエの野郎の策を使いたくはないが、背に腹は代えられない。必勝の手だって言ったよな。頼むぜ」


 そう言ってハチェットはビー玉くらいの宝石を取り出した。


 遠目でしか分からないけど、宝石の中には太陽を模った紋章のようなものが見えた。


 ハチェットはその宝石を握りつぶす。


「不死神Sunringよ……! 俺様に力を貸せ……!」


 なっ……!


 まさか、あの宝石は邪神に係わるアイテムだったの!?


 邪神のアイテムを握りつぶした手から、暗い山吹色のオーラが漂いハチェットを包む。


 すると見る見るうちにハチェットの胸の傷が塞がっていく。


「おおっ! ははっ、これは良い! 傷が塞がるどころが力が湧いてくる!」


「立会人! 流石にこれは……!」


 僕は立会人に決闘の中止を求めた。


 邪神のアイテムの使用。


 もうこれは決闘だけで収まる話じゃない。


 だけど、立会人にも邪神の名前は聞こえていたはずなのに、判断が付かないのか、それとも問題ないとしたのか、止める気配がない。


「ちょっとっ……!」


 僕は立会人に食って掛かろうとしたけど、その前にハチェットが襲い掛かってきた」


「よそ見とはいい度胸だな! 鋼斬剛剣流・衝覇竜剣斬!!」


 衝撃波を伴う竜をも屠る剣が、僕に向かって振り下ろされる。


「くっ……!」


 【回転】二連でステップを刻み、辛うじてハチェットの剣を躱しつつ、カウンターで一撃。


 だけど、傷を負ったハチェットは気にも留めずに立て続けに僕を攻めてくる。


 見ればハチェットの傷は直ぐに塞がっていた。


 これが邪神のアイテムの力なのか。


 不死神の名の通り、不死身にするんじゃないんだろうな。


 いや、それは無いか。


 もし本当に不死身になるんだったら、そんな貴重なアイテムをハチェットなんかに渡すはずがない。


 何か副作用とか、代償が必要なんじゃないかな。


 どうやらその予想は当たっていたらしく、ハチェットの体に異変が生じていた。


「ははっ! いいぞいいぞ、力が溢れてくる! 漲るるるるるr、ぞぞぞぞぞz! ききききぶんが良い。なななななんでも出来る気がするるるるるr」


 最初は腕の筋肉が膨れ上がり怪力を生み出していたけど、次に上半身、続いて下半身と肥大して醜く肉の塊と化していく。


 それでいて、頭だけは人のままで狂気に歪んだ表情をしていた。


「お、おい、何だあれ……」


「ば、化け物だ」


「ヤバいんじゃないのか?」


 ここに来て観客席の貴族やセブスティティンの住人たちが、最早決闘どころの騒ぎじゃない事に気が付き始めた。


「エイスベル子爵! そのアイテムは何だ。その体の変化の説明を求む! 答えられなければこの決闘は貴殿の敗北となるぞ」


 ……結構任務に忠実なんだ、この立会人の人。


 まさかこの期に及んでも決闘の中での解決を目指しているとは。


 もしかしたら変身系のアイテムも決闘では良くあることなのかも。


 とは言え、邪神のアイテムを使用したハチェットに、人の心が残っているかどうか。


「ああああああa? こここkこのののおおおoお俺様まままにににnに、たたたたt楯突くばばばばばbbかかかかかががががいiいいるるるととはははははh!」


 うん、もうこれ、人じゃないね。











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― 新着の感想 ―
[一言] こんなところに邪神アイテムが。
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