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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第6章 示せ! 貴き血脈の誇りを!
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066.貴族としての決闘

「下賤な冒険者如きがロクウェルさんの婚約者だと? 俺様をどれだけ虚仮にすれば気が済むんだ。いいだろう。そっちがその気ならもう遠慮はいらない。殺してやるよ」


「ロウウェルサマハ、ワタナサイナイゾー。ソッチコソアキラメロヨー」


 僕は今、闘技場で件の貴族――ハチェット・エイスベルと対峙している。


 そう、僕はヴァリアブル王子様の提案を受けのだ。


 そこからはあっという間の展開だ。


 ヴァリアブル王子様は直ぐにザースディーンの町の領主・モノクローム様に連絡を取り、僕をこれまでの功績により貴族となった。


 あとはヴァリアブル王子様のスキル【神の覚書】を使い、5年前からロクウェル様の婚約者となったと歴史を変えた。


 【神の覚書】


 過去の事象を書き換えるスキル。


使い方によっては、過去に死んだ人も生き返らせることも可能なスキルだ。


 ううん、違うね。生き返らせるんじゃなく死ななかったことになるから、そこからまた歴史が変わる訳だ。


 そう考えると、物凄いスキルだ。


 但し、ヴァリアブル王子様も言っていたように、このスキルには制限が課せられている。


 基本的に、【神の覚書】のスキルは1年に1回しか使用できず、過去の事象の書き換えの内容次第で更に次の【神の覚書】の使用期間が延びるらしい。


 しかも、【神の覚書】の使用には代償が必要で、書き換えの内容よっては命や寿命を削る、非常に使い勝手の悪いスキルでもある。


 だけどその【神の覚書】を、ヴァリアブル王子様は僕をロクウェル様の婚約者とするため躊躇いもなく使ったのだ。


 そして僕がロクウェル様の婚約者と、大したことが無いような事象の改編だけど、ヴァリアブル王子様は命と寿命を削ったのだ。


 色々な思いはあるけど、それが僕がヴァリアブル王子様の提案を受け入れた理由でもある。


 こんな僕に、命を懸けてくれたのだ。


 応えなきゃ男じゃない。


 それにロクウェル様を、悪徳貴族に渡すわけにもいかないしね。


 まぁ、パトルを宥めるのに物凄く苦労はしたけど。


 ……なんでパトルがそこまで怒っているのが良く分からないけど、僕の事を考えてだと思うと、凄く仲間に恵まれたんだなぁと思う。


 そんな訳で、僕は決闘を受けて悪徳貴族のハチェットから罵りの言葉を受けている。


 場所は、港町フォルスや大橋の町ザースディーンと並ぶ東大陸の大きな町である、闘技都市セブスティティン。


 闘技都市の名の示す通りセブスティティンは闘技場で大きくなった町で、町のあちこちに闘技場があり、僕が居るのはセブスティティンのメインである中央にある闘技場だ。


 何故か、この決闘は周辺の貴族間で注目を浴びていて、一目見ようと大勢の貴族、そして大きな催しとしての開催(闘技場は一般住民にも常時開放しているらしい)に、セブスティティンの住人が見物に来ていた。


 尤も、ここまで話を大きくし、引くに引けない状況に持ってきたのは目の前のハチェットだったりするけど。


 おそらく、僕が雇われた冒険者でこの場に居ると思われたんだろうなぁ。


 僕に恥をかかされた復讐とか、貴族相手に喧嘩を売ったらどうなるかとか、そういうつもりなんだろう。


 だから今も尚、罵りの言葉による煽り?を受けている。


 因みに、決闘を受ける事をハチェットに告げると、ハチェットはロクウェル様に婚約者が居ないはずだと決闘の不戦勝を主張し、僕と言う婚約者が居る事が分かると代理は認めないと苦情が届いたけど、正式な婚約者と分かると渋々ながら決闘を行う運びとなった。


 ハチェットは決闘を行わずにロクウェル様を貰うつもりだったから、余程僕の事を恨んでいるんだろうなぁ。


 最初はそのつもりのなかった決闘も、今やこの大盛況だ。


 どんなことをしてもロクウェル様を手に入れようと策を弄していることが分かる。


 僕の知らない所でヴァリアブル王子様が対処してくれているので、その策がどこまで通じるかは僕には分からないけど。


「ふん! いくら貰ったか知らないが、分不相応な夢を見た自分を呪うがいい。俺様の邪魔をした罰を受けてもらおう。徹底的にな!」


 一通り罵りをして満足したのか、ハチェットは腰のレイピアを抜き、僕に突き付ける。


「……確かに僕は冒険者の成り上がりだけど、あまり冒険者をバカにしないで欲しいな。少なくとも僕の強さはハチェット様よりは強いよ」


 僕をバカにされるのは構わないけど、冒険者全体をバカにされたのはちょっと面白くなかったので、逆に煽ってやる。


 普段からチヤホヤされて煽り耐性が無いのか、たったこれだけの事で額に青筋を浮かべていた。


「いいだろう、必ず殺してやるよ。そしてこの勝利をロクウェルさんに捧げよう」


 そう言って、観客席の貴賓席に座るロクウェル様を見て微笑む。


 当のロクウェル様は、ハチェットの顔を見ては顔をしかめていたけど。


 観客席に座っているのは、ヴァリアブル王子様、ヴィスクドール王女様、ロクウェル様、そして何故か居るのが、シクスティーンの町の前の領主のココノッツ・ナインスゲートの息子のキュウベエ様。


 貴賓席よりに座る、パトル、モコ、アリエス。


 今度は僕がロクウェル様に手を振ると、さっきまでの表情が嘘のように微笑んで手を振り返してくれる。


 それを見てはまた怒り出すハチェット。


 煽った僕が言うのもなんだけど、本当に煽り耐性が無さ過ぎ。


 これで貴族をやっていけたんだろうか?


 前口上が済んだと見た決闘立会人――セブスティティンのお役人様――が決闘の開始を告げる。


「ハチェット・エイスベル子爵、ヴェル・ヴォイド準男爵、両者前へ。この決闘はブロークンハート共同国の決闘法に則り行います。決闘の結果に異議を唱えない事、報復を働かない事を誓いますか?」


「誓おう」


「誓います」


「それでは――決闘開始!」












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