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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第5章 暴け! 闇に潜みし邪教徒を!
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058.ニコライの最後

「はっ!? ヴォル? えっ? 一体何が……?」


 突然目の前で切られた僕を見て、パトルは何が起こったか分からずに呆けていた。


 くそっ、ニコライの奴、自分に【存在の証明】の『非存在』を使いやがった。


 敢えて自分に使う事で、僕たちの認識をニコライは存在しないと思わせて隙を作ったのだ。


 一歩間違えば本当に自分と言う存在が消えてしまうのに、僕たちを排除するために本当に全力で挑んできたという事か。


 ん? あれ? でも待てよ。


 じゃあ、なんで僕はニコライの存在を認識できているんだ?


「パトル、下がって。ニコライがまだそこに居る」


 僕は背中の傷の痛みに耐えながら、パトルに離れる様に言う。


「おい、ヴォル! 一体何が起きているんだ!? ニコライって誰だよ! と言うか、背中の傷! 早く治療しないと」


「傷の治療は後だよ! 今はまだ戦闘中だよ!」


 突然の事態に、パトルは混乱し事態が呑み込めず、指示がうまく伝わらない。


 そんなパトルを庇いながら僕は何とか剣をニコライに向ける。


「何故貴様は私の存在を認識できる? ……ああそうか。貴様も『非存在』の効果を受けていたんだったな。それならば私の存在を認識できるだろう」


 そう言いながら『非存在』の効果を消して姿を現すニコライ。


「っ!? あ……っ!? てめぇ! てめぇがヴォルをやりやがったのか!」


 ニコライが『非存在』の効果を消したことで、事態を把握できたパトルが吠える。


 そうか、同じ『非存在』同士であれば、互いに認識しあえるのか。


 これは逆に好都合だ。


 僕の存在を消すはずだった『非存在』が、ニコライを追い詰める。


 と、そう思っていたんだけど、そうは簡単にはいかなかった。


「ならばこれでどうだ? これで貴様は【存在の証明】がなされた。最早消えゆく存在ではない」


 ニコライが指を鳴らすと、先ほどまで僕と言う存在が消えかかっていたのだけど、ごく普通にみんなに認識されていくのが分かる。


「これで私の存在は認識されない」


 再び存在を『非存在』に移し姿を消すニコライ――って、ニコライって誰だ?


 何だ? なんかこのままじゃヤバい気がする。


「って、あれ? あたし何をして……」


「痛っ!? あれ? 何で僕、背中が傷ついているんだ?」


(これで、終わりだ)


 何か誰かの声が聞こえた気がするけど、周囲には誰も居ない、はず。


 だけど猛烈に嫌な予感がする。


「ヴォル、あぶねぇっ!?」


 何故かパトルが大蛇剣・蟒蛇を蛇腹モードで僕の周囲を囲うように刃を這わせる。


 ガキン


 何も無いはずなのに、大蛇剣・蟒蛇が何かを弾いた音を出す。


(ちっ、野生の勘か? 運のいい奴め。だが、今度こそ本当に終わりだ)


 何かが起きている。


 僕はパトルとアイコンタクトを交わし、その場を離れながら周囲に向かって何もない場所に剣を振るう。


 だけどそんな僕たちを嘲笑うかのように、次々と僕たちは傷ついていく。


 幸運なのは、致命傷を負っていないことだ。


 僕たちは、まだ戦える!


(無駄な足掻きを! どんなに足掻いたところで私には勝てないのだ!)


「それはどうかしら? 独りよがりの英雄さん?」


「なっ……んだと……!?」


 声のする方を見れば、サンドラの妹のミッツが短剣を男の鎧の隙間を狙って突き刺していた。


 男……ニコライだっ!


 そうだ、僕たちは今、ニコライと戦っていたんだ。


「【神の目】には貴方の小細工は通じません」


「そうね。私の目にも貴方の事がしっかり見えるわよ」


 ミッツが短剣を抉りながら抜き取りニコライから距離を取る。


 それと入れ替わる様にサンドラがニコライの脚を狙い膝の裏を斬りつける。


「がっ!?」


 足を斬られたニコライはその場に膝をつき、忌々し気にサンドラとミッツを睨みつける。


 ここだ。


 『非存在』の効果が切れている今がチャンスだ。


 もう一度『非存在』を使われれば僕たちはニコライには勝てない。


 それがパトルにも分かったのか、全力で攻撃をする。


「炎を纏え! 蟒蛇! 大炎蛇竜巻斬り!!」


 一旦、大蛇剣・蟒蛇を剣モードに戻し、魔剣・炎武帝の炎を大蛇剣・蟒蛇に纏わせる。


 そして炎を纏った状態で蛇腹モードにした大蛇剣・蟒蛇をとぐろを巻くように回転させてニコライに叩きつける。


 足を斬られて動けなくなったニコライは、『非存在』を使う暇もなくパトルの攻撃をまともに喰らい、吹き飛んだ。


 そして止めとばかりに僕は奥の手の1つを使う。


 取り出したのはいつものパチンコ玉ではなく、先端が尖った円錐状の物。


 見る人が見れば分かる弾丸と言う奴だ。


 しかも素材はアダマンタイトと言う、オリハルコンよりは劣るけど最高硬度を誇る物質で出来た弾丸だ。


 僕はそれを全力で【回転】させる。


 全力で【回転】を受けたアダマンタイト弾丸は、手のひらの上で音を鳴らしながら回転し宙に浮いていた。


 これは過剰な魔力を受けて【回転】の効果も相まって宙に浮いているのだ。


 だけどこの状態はただ【回転】しているだけで、一歩も前に進んでいない。


 そこで牢屋でも練習をしていた、螺旋状の【回転】をアダマンタイト弾丸に加える。


 後方から前方へ、大きな螺旋から収縮するように小さな螺旋に。


 それを一気にアダマンタイト弾丸に加える。




 チュィンッ!!




 小気味いい音を鳴らし、アダマンタイト弾丸がニコライを貫く。


 それは一瞬の出来事で、ニコライは何が起こったのか分からなかっただろう。


 僕の放ったアダマンタイト弾丸は、ニコライの額に見事命中した。


 ニコライの体はその場に崩れ落ち、この戦いに決着がついた瞬間だった。












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[一言] ニコライ、討伐される。
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