057.VSニコライ
「せいやぁっ!」
僕の放った『ギジ・スラッシュ』を慌ててグレートソードで防ぐニコライ。
「ぐっ!? 【存在の証明】の『非存在』が効かないだとっ!? 貴様、何をした!」
どうやらニコライは僕に改めて存在消去法――非存在を掛けようとしたけど、効かずに攻撃してきたことに驚いていた。
うん、地味にサンドラの【サードアイ】やモコの【ものまね師】による【存在の証明】の対処法が効いているね。
「お前は、あたし達仲間の絆を甘く見てたんだよ! 燃えろ! 炎武帝!!」
パトルが魔剣・炎武帝を発動して炎を纏いながらニコライに追撃する。
「その仲間の絆すら消し去るのが『非存在』なのだが……、まぁいい。邪魔者は排除するのみ」
驚いたのは一時的で、ニコライは冷静にパトルの炎武帝を捌く。
むぅ……、2人掛かりで当たっているのに、なかなか崩すことが出来ないな。
伊達に女神Alice神教教会の聖騎士をしていた訳じゃないか。
「ニコライ様、助太刀いたします」
2対1に、どうやら見かねたニコライの配下の1人が加わってきた。
「いや、いい。こやつらは私自ら相手をする。お前は向こうの奴らを排除し、邪聖女を奪還しろ」
「了解いたしました!」
向こうの奴ら――モコとアリエス、ヨンタナがニコライの配下3人と切り結んでいる。
モコの変幻自在の【ものまね師】に、ヨンタナの【ユニゾンアイ】で相手の視点を盗み見て攻撃を躱し隙を突く戦術、そしてアリエスの【極大魔力】による途轍もない魔法。
確かにこれを3人で突破しろと言うのは無理があるだろうね。
まぁ、もう1人加わったところで何とかなると思えないけど。
それよりも、こっちが問題だ。
ニコライ相手に2人掛かりでも攻めきれないでいる。
ただ単純に戦闘能力が高いんだ。
「噂のルーキーだと聞いたがこの程度か? これなら警戒をする必要もなかったな。まぁ油断はしない。全力で行かせてもらうぞ」
「舐めるなぁっ! あたしの力を見くびるな!」
「心外だね! 僕の、僕たちの力がこの程度だとでも!? その警戒が間違ってない事を見せてあげるよ!」
寄りにも寄って、僕たちが大したことないって?
ニコライは押してはいけないスイッチを押したよ。
「呑み干せ! 蟒蛇!」
パトルは炎武帝に加えて、大蛇剣・蟒蛇も蛇腹モードで発動する。
蛇の様に唸りながら地を這い、跳ねる様に襲い掛かる大蛇剣・蟒蛇に、同時に炎武帝を振るうパトルには流石にニコライも捌ききれずに攻撃を喰らい始める。
勿論、僕もパトルに任せっきりにせず、体捌きに【回転】を使いながらパトルの攻撃の邪魔にならないように縦横無尽に動き回り、要所要所でニコライを攻撃していく。
「うおおおおおおぉぉぉぉっ!? なんだ、こやつら!? ここまで急に変わるものなのか!?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「せいやぁぁぁぁぁぁっ!!」
パトルの【大剣二刀流】の【十字斬り】と、僕の『ギジ・スラッシュ』がニコライに叩きつける。
ニコライはグレートソードを盾に僕たちの攻撃を背後に跳ぶことで何とか凌ぐ。
「……同志の懸念は当たっていたのかもな。私の【存在の証明】を使うまでもないと思っていたが、確かに不死神Sunring様の復活の儀式の障害になっている。ふ、ふふふ、いいだろう。私の力を全てをもって排除させてもらう」
ん? 僕がこの復活の儀式の邪魔になるって予見されていたのかな?
だから僕に邪教信者の容疑を掛けた上で、【存在の証明】の『非証明』を使ってまで消そうとしたのか。
「はっ! 悪いがあんな小さな子供を生贄にするような奴らに負けるつもりはないぜ」
「だね。邪神に縋るような心の弱い奴に負けないよ」
「貴様らは不死の存在がどれほどのものか理解できていないみたいだな。死を超越することで永遠に生きられるのだぞ。永遠にだ!」
「それがどうかしたのかよ。永遠に生きたってつまらないだけだぜ」
「そんなの生きているのに死んでいるのと同じだよ。死があるから僕たちは生きているんだよ」
僕とパトルの反論に、ニコライは呆れた表情で首を振る。
「はぁ……、やはり凡人には理解できないか。どのみち理解してもらう必要はない。不死神Sunring様の復活の儀式には不死神像と神の力を持つスキル【神の眼】の邪聖女が必要なのだ。押し通らせてもらう」
ニコライが邪教信者と言う時点で相いれない事なんだけどね。
「蟒蛇!」
駆け出すニコライにパトルは大蛇剣・蟒蛇を鞭のように振るう。
鞭のように、且つ蛇のように迫る大蛇剣・蟒蛇をニコライは平然と右腕を差し出して絡ませる。
腕の鎧に阻まれて切り刻むことは出来ないけど、ニコライの動きを封じることが出来た。
パトルは引き寄せる様に大蛇剣・蟒蛇を振るい、魔剣・炎武帝で止めを刺そうと振り上げる。
僕もパトルが引き寄せるタイミングでダッシュし、背後から斬りつけるように剣を下段から振り上げる。
……が、突如パトルが大蛇剣・蟒蛇で締め付けていたニコライの右腕を放したのだ。
「って、あれ? あたし何をやって……?」
戦闘中にもかかわらず、パトルが目の前のニコライを見失ったように見えた。
いや、見失ったと言うより認識できなくなった……?
大蛇剣・蟒蛇を外したと言っても、引き寄せている途中だったため、ニコライがパトルに迫る。
パトルはそれを認識していない。
僕は攻撃を中断して、足に【回転】の力を推進力にしてニコライを追い越してパトルを押し出す。
そして僕はパトルの身代わりにニコライの攻撃を受けた。




