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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第5章 暴け! 闇に潜みし邪教徒を!
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056.奇襲

「なるほど。確かに今のヴォルなら気付かれずに、結界に引っかかることなく行けるな」


「今のヴォルは私とモコさんのスキルで辛うじて存在を維持しているけど、現在進行形で存在が消えかかっている状態よね。存在しない者に結界は反応しないわ」


 ヨンタナとサンドラが僕ならいけると判断する。


「ふむ、ならば最初に狙うは敵ニコライの邪神像がいいだろう。そうすれば敵ニコライの意識はそちらに向く。その隙に協力者サンドラの妹御を救い出すといい」


「悔しいですけど、今のヴォルさんの方が適任です。任せたです」


「よく分かんねぇが、ヴォルが直接奴らに一発かますんだろ? いいじゃねぇか。やっちまえ!」


 アリエスがアドバイスをくれて、モコとパトルも後押ししてくれる。


「うん、まずはミッツさんの救出が最優先。ニコライはそのあとだね。よし、行ってくる」


 存在が消えかかって認識されなくなっているとは言え、流石に堂々と行くわけにもいかず、なるべく気付かれずに斜め背後からそっとぎりぎりの所まで近づき、残りの距離で一気に祭壇まで駆け抜ける。


 準備を終えて、何やら祭壇の邪神像に向かって呪文を唱えているニコライをしり目に、僕はその邪神像を思いっきり蹴り飛ばす。


「なっ!? 不死神Sunring様!?」


 ニコライ達の視線が邪神像を追いかけて、祭壇に横たわっているミッツから意識がそれる。


 僕はその隙にミッツを抱えて魔力纏装で身体能力を上げて離脱する。


「ニコライ様! 生贄の邪聖女が居ません!」


「なんだとっ!? 探せ! いや、何者かかが儀式の邪魔をしている! そいつを見つけろ!」


 む、もう気が付いたみたい。


 だけど残念ながら僕はもうそこには居ないんだよね。


 魔力纏装の身体能力を甘く見ないで欲しいな。


 と言うか、生贄の邪聖女って何だよ。


 邪なのか聖なのかどっちだよ。


「サンドラ、ちゃんとミッツを助け出してきたよ」


「ああ……、ミッツ。やっと、やっと助けられた……」


 サンドラは涙を流しながらミッツを抱きしめる。


 助け出したとはいえ、ミッツは未だ眠ったままだ。


 薬か魔法かは分からないけど、後遺症が残らないといいな。


「ニコライ様! あそこに潜んでいる輩が!」


 【気配探知】か【索敵】のスキルなのか、ニコライの配下の神官戦士がこちらを見つけたみたいだ。


「あ、気が付かれたみたいだぞ。人質は助け出したんだ。こっからは全力でやってもいいよな?」


「欲を言えば、仲間ヴォルの一撃を入れるまで気付かれないで欲しかったがな」


「ヨンタナさんは妹さんに付いているです。後は私たちが片を付けるです」


「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ。こっちも2年もあいつに恨みがあるんだ。あんたらに美味しいところを持っていかれちゃ困るんだよ」


 隠れてこそこそやっているのは性に合わなかったのか、パトルは獰猛な笑みを浮かべながら背中の2本の魔剣を引き抜く。


 アリエスとモコは向かってくるニコライ達に冷静に対応する。


 そしてここぞとばかりに、ヨンタナも長年の恨みを晴らそうと参戦を表明する。


 まぁ、サンドラはミッツの事もあるから参加は出来ないけどね。


「よし! アリエスの言う通り欲を言えばもう1撃与えたいところだったけど、気が付かれたのならしょうがない。ニコライ達邪教信者は許しちゃ置けない。必ず勝つよ!」


 僕の掛け声とともにパトルたちはニコライ達とぶつかる。


「貴様ら! よくも神聖な不死神Sunring様の復活の儀式を邪魔してくれたな! その命をもって償ってもらうぞ!」


「命で償ってもらうのはこっちのセリフだよ! ヴォルに掛けた【存在の証明】の存在消去を解いてもらうぜ!」


 パトルの2本のグレートソードの魔剣と、ニコライのグレートソードが火花を散らして鍔迫り合いになる。


「ヴォル、だと……? 誰だそれは。そんな下等な存在のために不死神Sunring様の儀式を邪魔したのか!」


「てめぇ! ふざけんのも大概にしろ! てめぇが存在消去を解かない限り、攻撃の手を緩めねぇからな! 尤も、存在消去法を解いても邪教信者を許さねぇけどな!」


 どっちにしろニコライをボコボコにするんだよね、パトル。


 そしてニコライは僕の存在を消してしまっていたから、僕の事をすっかり覚えていないんだね。


 それを証明するように、ニコライやその配下の神官戦士も僕の事を無視してパトル、モコ、アリエス、ヨンタナにそれぞれ向かっている。


 無視されているのをいいことに、僕は鍔迫り合いになっているニコライの背後に回り、魔力纏装で身体能力を上げて無防備な背中に一撃を入れる。


「ぐぁっ!? どこから――貴様か! ん? 貴様は……確か、ヴォルとかいった下等な冒険者だったはず。いや待て、貴様は【存在の証明】で消し去ったはず。なぜまだ存在している。なぜ仲間と行動を共にしている!」


 あれ? ニコライは本当に僕の存在を忘れていたのか。


 てっきり使用者だから何かしらで覚えていると思ったんだけど。


 でも、そっか。使用者本人も含めて丸っとその人の存在が消えてしまうのか。


 これって恐ろしい事だよね。


 使用した本人も忘れ去れるんじゃ、一度【存在の証明】の存在消去法を使用したら、余程の事が無い限り止められずに消えてしまうって事だ。


 僕にはモコやサンドラと言った例外が居たから助かったようなものの、一歩間違えば本当に消えていたって考えると身震いするね。


「ちっ! 貴様はもう用済みなんだよ。大人しく消えていろ!」


 そう言いながらニコライは再び【存在の証明】の存在消去法を使おうと僕を睨み、スキルを発動する。












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[一言] 救出完了、まだ生死は不明。
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