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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第5章 暴け! 闇に潜みし邪教徒を!
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050.潜入

「よし、こっちだ」


 ヨンタナが先導し、僕とサンドラが続く。


 暗闇のザースディーンの町中を走り抜ける。


 【ユニゾンアイ】のお陰で、人に見つかることなく僕たちは目的地にたどり着いた。


 うん、本当に便利だね、【ユニゾンアイ】。


「ここにニコライが逃げ込んだんだね?」


「ああ、俺が仕入れた情報によればな」


 領主様のお城を襲撃した後、ニコライが逃げ込んだ先が、ここ大商人のゴール・フィフスフィスクの屋敷だった。


 ザースディーンの町の発展に貢献した大商人だけど、その実は隠れ邪教信者らしい。


 元々邪教信者だったのか、それとも大商人になるにつれて邪教信者に改宗したのかは知らないけど、邪教信者となった時点でアウトだ。


 僕たちは暗がりの中、ゴールの屋敷の入り口の門を観察する。


「まぁ、当然の様に見張りが居るね」


「定番通り裏口からか、もしくは壁を乗り越えるか、だな」


「裏口も見張りが居るだろうし、壁を乗り越える方がいいと思うわ」


「それは【サードアイ】で見たの?」


「ただの勘よ」


 僕がサンドラにそう尋ねると、スキルは使っていないとの事だ。


 いろんな物や事が見える【サードアイ】だけど、思った通りに使える事は稀らしい。


 ヨンタナの【ユニゾンアイ】とサンドラの【サードアイ】を何回も使い、尤も潜入に適した外壁のポイントに辿り着く。


「よし、壁の向こうには誰も居ないし、罠も無い」


 ヨンタナが壁に背を預け両手を組んで足場にする。


 サンドラが勢いをつけて走り込み、ヨンタナの両手に足を乗せて、そのまま踏み込みと同時にヨンタナが組んだ両手を上へと押し上げる。


 難なく壁を乗り越えたサンドラは、そのままロープを取り出し壁の向こう側の樹に結びこちら側へとロープを寄越す。


 うん、2人の息はぴったりだね。


 3mもの高い壁も問題になりもしない。


「2人ともコンビを組んで長いの?」


「長いと言うか、幼馴染だな」


「腐れ縁とも言うわよ」


 壁を乗り越えながらヨンタナに質問をすれば、お約束とも言える答えが返ってきた。


「いいね、そう言うの。じゃあ、あれかな? ヨンタナが冒険者になるって言って、サンドラがそれに仕方なく付き合ってるとか」


 僕が何気なくそう言うと、2人とも何とも言えない、少し悲し気な表情をしていた。


 あれ? 僕何か地雷ふんじゃった?


「え、えっと、如何にも悪役が潜んでそうなお屋敷だね」


 僕は慌てて話題を逸らしつつ、潜入に関する会話をする。


「定番で言えば、地下室が怪しいところだが」


「邪教の儀式を行うんですもの。大っぴらに出来ない場所と言えば、地下室が妥当でしょ」


「取り敢えず、地下を目指すでいいな?」


 ヨンタナの言葉に僕とサンドラは頷く。


 やはりここでも大活躍なのが【ユニゾンアイ】だった。


 他者の視界を共有できると言うのはこれ程有効なのか。


 近くに共有する視界が無ければ人はいないし、視界を共有しても自分たちが見つかっていないのが分かると言うのは、こちらに優位に働く。


 【サードアイ】は使用効果がランダムな為、サポート程度に留まっているけど、こちらも使いようによっては便利すぎるスキルだよね。


 定番通りと言うか、予想通りと言うか、やはりゴールのお屋敷にも地下室はあった。


 僕たちはその地下室に忍び込み、周囲の様子を窺う。


 儀式を行うためなのか、かなりの広さがあった。


 地下室の奥には祭壇らしきものが設置されており、魔法の光により薄暗く照らされている。


 それ以外は何もないだだっ広い空間だった。


 そして何よりも重要なのが、肝心のニコライ達が居なかった。


「ここじゃなかったか……?」


「地下室じゃなくて、上の部屋のどこかに匿われているのかもね」


 2人は直ぐにニコライの別の居場所を考察するけど、僕は別の事を考えていた。


 なんで祭壇に魔法の光が灯されているんだろう……?


 そうだと言われればそれまでだけど、これから使う訳でもないのにわざわざ魔力を消費してまでずっと灯りを付けているのかな。


 如何にもここに何かあるかのように見せかけていると……か。


 何となくそう思った瞬間、嫌な予感が過る。


「ヤバい。今すぐここを、お屋敷を出よう。これは罠だよ」


 僕がそう言うのとほぼ同時に、僕たち以外の声が聞こえてきた。


「ほぅほぅ、ネズミがかかっているな。それもドブ臭い大きなネズミが3匹も。これはいかん。商売の邪魔になるようなネズミは退治しないと」


 祭壇に薄暗くともっていた魔法の明かりが、突然弾ける様に光を放つ。


 それに連鎖するように地下室のあちこちから光が溢れ、一気に見通しの良い明るい区空間へと変わる。


 僕たちは急に明るくなったので、視界が一瞬塗りつぶされたけど、次第に目が慣れてくると声の人物を確認できた。


 ブルドックのような贅肉で頬が垂れた顔に、体も肥満でボンレスハムの様に膨れ上がっていて、歩くだけで足音が響くように見えた。


 その太った男の両隣には、腕が立つように見える私兵に、その後ろには数人の冒険者らしきものも見える。


「ゴール・フィフスフィスク……」


 え? この男が?


 てっきりザースディーンの町の発展に貢献した大商人って言うから、やり手のキリッとしたおじさんかと思ったら、まさかのガマガエルとは。


 ゴールが現れたのは、僕たちが入ってきた入り口とは別の入り口だった。


「さて、言い訳は後でたっぷりと聞くとしよう。お前ら、ネズミを捕まえろ」


 と言うか、あれ? もしかして僕たち大ピンチ?












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