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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第5章 暴け! 闇に潜みし邪教徒を!
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048.不死神Sunring

 まさか、僕を捕まえたニコライが邪教信者だったとは。


「え? じゃあAlice神教教会の聖騎士だって言うのは嘘だったって事?」


「いや、それは本当だ。奴は間違いなくAlice神教教会の聖騎士だった。が、邪教信者を相手しているうちに、邪神に魅入られて鞍替えしてしまったのさ」


「聖騎士だけに、邪教信者を相手にする事が多かったみたいね」


「でも信じられないな。Alice神教教会は、邪教を物凄く毛嫌いしていたはずだけど」


 まさに問答無用と言わんばかりの邪教嫌いだ。


 だからこそ、最初にニコライが僕に取った態度でAlice神教教会の聖騎士と思った訳だ。


「まぁ、そこは邪教の教義の所為でもあるな。邪教のあがめる邪神は不死神Sunring。不死神の名の通り不老不死を司る神さ」


「あとはお約束ね。人の欲は底知れないってね。不老不死を欲したニコライは邪教に改宗したと」


 あー……、うん。不老不死かぁ……


 権力者とかのお偉いさんが行きつく先が、不老不死だってよく聞くけど。


 極度に何かに傾倒した人も、永遠の命を求めるとも聞くね。


 ニコライは後者の方かな。


 ……あれ? 待てよ?


「もしかして、貴族様の間で邪教信仰が逸ったりしている? それもAlice神教教会に浸透するほど」


 僕のぽっと思いついた考えに、ヨンタナはニヤリとしながら答えてくれる。


「鋭いな。まぁ、お偉いさんの考える事はどいつも一緒だ。金・権力・武力、全てを手に入れたら次に欲するのは永遠の命ってな」


「その所為か、権力者と結びつきが強いAlice神教教会内部でも邪教への改宗が横行しているらしいわよ。それがAlice神教教会の軍部での毛嫌いに拍車をかけているみたいね」


 なるほどね。


 邪教の所為でAlice神教の信者が減ってしまっているし、それが敵対宗教に改修ともなれば許されない恥知らずな行為だろうしね。


「ニコライが邪教信者と言うのは分かったけど、それが何で僕を狙った訳? 僕は熱心なAlice神教信者って訳でもないのに」


「それは、ヴォルがあの女神像を持っていたからだよ」


 答えは意外なところから出てきた。


「癒しの女神像? でもあれって『十三番目の狐』の頭領・カウボーイが持っていたものだよ? それともカウボーイが邪教信者だったとか?」


「あの女神像は邪神を崇める邪神像で、邪神を蘇らせるための儀式に使う像でもあるんだ。癒しの効果があるのは不老不死を司る副産物だな」


「十年ほど前の邪教戦争を知ってる? その時に邪神像は行方不明になったらしいわ。それが巡り巡って『十三番目の狐』の頭領のところに流れて来たみたいね」


「そっか。『十三番目の狐』にあったから表に情報が流れなくて行方不明だったと。仮に『十三番目の狐』にあるのが分かっていても容易に手を出せなかった。だけどその前提が崩れた」


「そう、貴方が『十三番目の狐』を壊滅させて、邪神像を手に入れた情報が出回った訳」


「そこからニコライの動くは早かった。邪教の息がかかった部下を従えて、ヴォルに罪を擦り付けながら邪神像を狙った。尤もそこで横やりが入った訳だけど」


 横やり? あ、それってもしかして。


「ここの領主がヴォルの所持品全てを押収したことでニコライの目論見にずれが生じた。目的の物を目の前にしてお預けを喰らってしまったニコライは強硬手段に出た」


「それが、領主様のお城への襲撃」


 僕の答えにヨンタナは満足そうに頷く。


「その通り。余程我慢できなかったんだろうな。領主の城への襲撃なんて、まともな考えじゃやらないからな」


「ここの領主が貴方を庇ったってのも大きいわね。『十三番目の狐』を壊滅させたパーティーのリーダー。魔女の森の魔女を師に持つ魔族との繋がりをほのめかす冒険者。いい面も悪い面も含めて貴方は領主に影響を与えていたわ。そんな貴方を簡単には引き渡せない。人も物も両方ともね」


 サンドラの言葉に僕は驚く。


 まさか領主様が僕を庇ってくれていたなんて。


 でも、そうか。


 『十三番目の狐』の時も領主様は大変喜んでくれていたし、エーデ師匠の時はパトル達が動いてくれていたけど、エーデ師匠がザースディーンの町に貢献していたことを示してくれたから、僕にも配慮してくれたんだろう。


「ニコライの失敗は、捕まえたヴォルを閉じ込めておく場所が無くて領主に頼った事だろうな。おかげで領主に隙を突かれて肝心な物を奪えなかったと」


「でもだからって、領主様のお城を襲撃だなんて、頭悪すぎるよ」


 僕の呆れにヨンタナは「邪教が長年追い求めていた邪神像様を前に、冷静でいられなかったんだろう」と苦笑いしながら答える。


「ま、お陰でAlice神教教会内部の邪教信者のしっぽを掴めたんだけどな」


「正直なところ、邪神像を使った儀式を行っても邪神の復活なんて起こらないと俺は思っている。邪神の復活をやりたいなら勝手にやれって思うが、それが周囲に迷惑をかける行為がある場合は別だ。それだけは許せねぇ」


 ヨンタナは怒りを滲ませそう呟くが、それよりもサンドラの方がもっと深刻な表情をしていた。


「……それが、今回の事件にかかわる理由? 僕を助けたのもその一環でしょ」


「……まぁな。尤も助けなくても俺たちはニコライを狙っていたけど、助けた方がいいってサンドラのスキルが言うからな」


 えー、何それ。


 僕の救助は二の次だったって。


 まぁ、僕はあのまま放っておかれると死んでいたらしいから、僕としては助かったけど。


「脱出する時も言ったが、ヴォル、お前このままじゃ死んでしまうぞ。現在進行形でな」


 どうやら助かったと思ったのは、早計だったらしい。


 あの時は、餓死で死ぬかもしれなかったと思っていたけど、事態はそれよりも深刻だった。


 そう言えば、僕の存在が忘れられて、それで死んじゃうって話だったけど。












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