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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第5章 暴け! 闇に潜みし邪教徒を!
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045.邪教信者

「貴様には邪教信者の容疑がかかっている」


「うぁっ!?」


 そう言うなり、聖騎士と名乗ったニコライは僕を地面に押し倒して組み伏せる。


「ちょっ!? お前何してんだよっ!」


 当然、パトルたちがそれに反応してそれぞれの武器を手にニコライを退けようとした。


 が、それをニコライの配下と思われる神官戦士が邪魔をする。


「ぐぅ……、どう、言う事なの? 僕が、邪教信者って」


「邪教信者の戯言を聴くつもりはない。貴様は黙って大人しく女神Alice様の裁きを受けるがいい」


 意味が分からない……!


 なんだよ、いきなり邪教信者って。


 あ、もしかして、エーデ師匠の事なの……?


 確かにエーデ師匠は魔族だけど、邪教信者と言う訳じゃない。


 勘違いされやすいけど、魔族の信仰は魔王であって邪神は信仰していない。


 そもそも、邪教信者の信仰の対象である邪神はそれほど世間に認知されていなかったりする。


 この世界を創造したと言われている女神Alice様が唯一神として君臨し、その他の神様は人族が功績を残して神としてあがめられて為ったのが大半だ。


 有名どころで言えば、生前勇者でもないのに大勢の人族を魔族から救ったと言われる英雄神ユーノ・ユリウスや、身分に関係なく世界を巡り全ての人族を癒し続けた慈愛神ヒメ・アイノスとかだ。


 その為、邪神と呼ばれるのは女神Alice様の系譜以外の神の事を指し、女神Alice様と敵対している神と言われている。


 Alice神教の経典にも神代戦争の事が書かれており、女神Alice様は神々との戦いで生き残り、荒廃した神の世界を逃れてこの世界を作ったと。


 なので、Alice神教教会は邪神を神敵と定め、存在を許さない。


 Alice神教教会の最高戦力と言われている神殿騎士を筆頭に、聖騎士、神官戦士は常日頃邪教信者を狩っている。


 尤も、邪教はこれまではそれほど活発的ではなかった。


 と言うより、殆ど邪教の邪の字も出てきていなかったのだけど、十年ほど前に邪教信者が邪神を蘇らせようと活動していた時が合ったみたい。


 それを、神殿騎士やS級を含む冒険者が退治したと言われている。


 それからだ。Alice神教教会が邪教を目の敵にするようになったのは。


 僕が、その邪教信者?


 あり得ない。


「ね、ねぇ、待ってよ! もしかして僕の師匠の事が関係しているの!?」


 だけど、ニコライは僕の言葉に耳を傾けず、武器を向けているパトル達に視線を向けながら配下の神官戦士に指示を出していた。


「邪魔をするなら排除せよ。だが我々の目的は邪教信者のみ。無駄な殺生は避けろ」


「「「「了解」」」」


「おい! ヴォルからどけよ! 邪魔をするんならぶっ飛ばす!」


「いくら何でも急すぎです。これじゃあヴォルさんが邪教信者と決めつけです」


「最近、Alice神教教会の評判がよくないのはこの所為か? なるほど、頷ける行為だな」


 僕は床に押し付けられてよく見えないけど、パトルたちが神官戦士と一触即発だと言うのが分かる。


「話を聞いてよ! 僕は邪教信者じゃないって!」


「……邪教信者は皆そう言う。いいだろう、敢えて貴様の質問に答えてやる。物的証拠が挙がっているのだ。貴様が持つ癒しの女神像。それは見せかけで実は邪神の降臨の媒体となるものと判明している。癒しの効果があるのは副産物に過ぎない」


 ………………は?


 ちょっと待ってよ。たったそれだけで?


「それは元とも僕の持ち物じゃない! 『十三番目の狐』の頭領が持っていたものだ!」


「そんなことはこちらでも把握している。問題なのは、邪神像は邪神信者しか使えない。貴様は使うことが出来る。それが答えだよ」


 それこそおかしいよ!


 確かに僕は癒しの女神像を使う事が出来るけど、それは僕だけじゃなく他の人も使える。


 現に、『十三番目の狐』の頭領であるカウボーイは勿論の事、パトルやモコ、アイリス、果ては冒険者ギルドの受付嬢のタンジェさんも使うことが出来るのだ。


 なのに、なんで僕だけが捕まるんだ!?


「てめぇ、ふざけたことばかり言っているとぶっ殺すぞ!?」


 ヤバい、パトルが本気でキレかけている。


 今のパトルはちょっとヤバい。


 なまじ大蛇剣・蟒蛇を手に入れただけに、ニコライは兎も角、残りの神官戦士4人は瞬殺だと思う。


 ことが事だけに、誤解だとしても明らかな殺人はマズい。


 特にAlice神教教会と揉めるのは。


「パトル! 待って!」


 僕の声にパトルは動きを止める。


「今この場で暴れるのはマズい。だから今は大人しくして。お願いだから」


「だからって……!」


「多分、何かの誤解だと思うんだ。ちゃんと調べれば分かってくれるよ。だから今は引いて」


「く……」


 パトルは悔しさをにじませながら、何とか両手の魔剣を下ろす。


「ヴォルさん……、本当にいいんですか? こういっては何ですが……」


 モコの言いたいことも分かる。


 調べれば分かるって言っても、すんなり解放されるとは思わない。


 一度認めた邪教信者を、そう簡単に間違いと言えるのか。


 こう言うのは、なんだかんだで何か裏があったりするのだ。


 だから僕はそのあたりをモコたちに調べてもらうつもりでいる。


 直情的かつ脳筋なパトルにはこう言うのは向かないからね。


「ふむ、任せたまえ。必ず」


 必ず、裏を暴いて見せよう。


 ニコライ達の前なので、敢えて最後まで言わなかったアリエスの言葉を信じ、僕は大人しく捕まることにした。


 ……ちょっと、パトルには悪い事をしたな。


 それよりも、これからの事を考えないと。


 おそらく邪神信者に対しての取り調べと言う名の拷問が待っているはず。


 アリエスたちが助けに来るまでどれだけ耐えられるかが問題だね。












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