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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第4章 護れ! 導きの守護魔女を!
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036.戦う理由

「パトル……」


「よう、ヴォル。生きているか?」


 僕は目の前に現れたパトルを呆然と見つめる。


「なんですか、貴方達は」


 貴方達(・・・)……?


「あたし達はヴォルの仲間だよ」


「申し訳ないですが、貴女には魔女から手を引いてもらうです」


「S級冒険者を相手にどこまでやれるか分からぬが、これ以上は仲間には手出しさせぬよ」


 よく見れば、パトルの隣にはモコが、僕の隣にはアリエスが居た。


「汝ヴォルよ。今のうちに女神像で傷を癒すのだ」


 確かに今は状況が変わった。


 僕は再び女神像で傷を癒す。


 その間に、パトルとモコが『風雷姫』と話をしていた。


「どいて下さいませんか? 私の相手はそこの魔族の手先だけですので」


「はっ、さっきも言っただろ。こいつはあたし達の仲間だ。これ以上手出しさせねぇよ」


 『風雷姫』が元の口調に戻ってパトルたちにどくようにお願いするが、当然パトルはそれを拒否する。


「魔族の手先を庇うとは、あなた達正気ですか?」


「確かにあの魔族の女は気に食わねぇよ。ヴォルがあの魔族の女の弟子だってのもな。だけど、だからと言ってヴォルをやらせるわけにはいかねぇんだよ」


「あなた達は魔族とは何の関わりもないから、見逃してあげると言っているのですが?」


 そうだ、まだ辛うじて『風雷姫』と敵対する前の状態だ。


 今ならまだ見逃してもらえる。


 僕はパトルを止めて逃げる様に言おうとしたが、アリエスが僕の肩に手をやって首を振り止める。


「おいおい、あんたそれでも冒険者かよ。仲間を見捨てる奴は成功しないぜ」


「私はソロですが、成功しています。貴女の言う仲間とは弱者同士の集まりですか?」


「成功している様に見えるだけだろ。仲間を弱者と切って捨てる奴が、強いわけねぇ」


 い、言うなぁ……、パトルの奴。


 どう見たってS級冒険者まで上り詰めた成功者なのに、バッサリ切って捨てたよ。


「話になりませんね。そちらの貴女も同じ意見ですか?」


「まぁ、そうですね。私も仲間を見捨てるつもりないです。それよりも先ほど申し上げた通り、貴女には魔女から手を引いてもらうです。その理由がなくなったのですから」


 ……理由がなくなった?


 モコは1枚の紙を取り出し掲げる。


「これが、領主様からの魔女討伐の撤回の書類です。貴女はこれで魔女を討伐する理由がなくなったのです」


 …………えっ!?


 領主様がエーデ師匠の討伐を撤回した!?


「うむ、この2日間で嘆願書を集めたのだ。汝ヴォルの師匠である魔女が悪ではなく町に貢献した者だという証言も添えてな」


「いやいやいや、エーデ師匠の為に嘆願書や証言があったのは嬉しいけど、どうやって領主様に直訴したんだよ。そう簡単に会えないだろ、普通!?」


 アリエスが領主様が撤回した理由を教えてくれたけど、普通は簡単に領主様には会えないはず。


 僕も領主様に直談判してエーデ師匠討伐の撤回を考えていたけど、それにはまず『風雷姫』を止めて、彼女を通して領主様に会わせてもらうつもりだったのだ。


「あら、ヴォルさんも自分の成したことの凄さがイマイチ理解できてないみたいです。私たちはあの『十三番目の狐』を討伐した町の貢献者です。少なくとも領主様に名前を憶えてもらえているのです」


 モコがこちらを振り返りながら、さも当然の様に言う。


 ……そう言えばそうだよね。


 長年ザースディーンの町に蔓延っていた盗賊団を倒したパーティーだ。


 しかもつい最近。


 そりゃあ領主様に覚えてもらって当然だ。


 そうだよ。その貢献と引き換えにエーデ師匠の助命をお願いすればよかったんだよ。


 モコは更にエーデ師匠がこれまで町に貢献してきたと言う証言や証明を用意して確実性を増して。


 そしてそれは叶い、エーデ師匠討伐の撤回は成った。


 ははは、凄いや。


 僕の仲間はとても凄い人たちだよ。


 ……だけど、それだけじゃダメだ。


「領主の強制依頼の撤回? そんなの関係ありません。私は強制依頼があったから魔族を殺しに来たのではないのです。魔族が居るから私はここに来た。依頼は切っ掛けに過ぎません。魔族は魔族。例えどんな理由があろうとどんな事情があろうと、魔族は殺す。ただそれだけです」


 そう、『風雷姫』には依頼だの理由だの関係ないんだよね。


 彼女はただ、魔族を、エーデ師匠を殺しに来ただけなんだ。


「……あたしはあの魔族の女は嫌いだけど、こいつを見てると人族だから魔族と敵対していると言う理由が霞んで見えるな」


「パトルさんのは別の理由なんですが……、まぁ、確かに彼女の魔族への敵愾心(ヘイト)は異常です。何があったらそうなるのか気になるです」


 『風雷姫』が引く気が無いと分かると、パトルとモコはそれぞれの武器を構える。


「私の邪魔をするのですね。ならば、お前らは敵だ。死ね」


 口調も丁寧なものから敵を殺す乱暴な口調へと変わる。


「来るぞ! ヴォル、やれるな?」


「ああ、パトルたちに助けられっぱなしじゃいられないしね! それに、これは僕が持ち込んだ件でもある。任せっぱなしにさせないよ!」


 対『風雷姫』、2回戦開始だ。











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― 新着の感想 ―
[一言] アリエス達はそういう方向で動いていたのか。
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