表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第3章 叩け! 町に蔓延る盗賊団を!
31/101

030.戦利品

「はぁっ!? 『十三番目の狐』が壊滅したって!?」


「マジかっ!?」


「いや、壊滅じゃなくて、頭領と幹部が捕まったって聞いたぞ」


「そんなん、些細な違いだよ! 今まで誰も『十三番目の狐』をどうすることも出来なかったんだぜ!?」


「どこのどいつだよ、『十三番目の狐』をつぶした奴らって」


「なんでもE級の冒険者だって話だぜ。パーティー名は『躍る冒険者たちダンシング・アドベンチャーズ』らしい」


「はぁ!? なんだそのふざけた名前のパーティーは」


「俺が知るかよ! つーか、マジで何者なんだ、そいつら?」


 少し聞き耳を立てれば、冒険者ギルドに併設された酒場では、僕たちの噂が飛び交っていた。


 正確には、『十三番目の狐』の討伐だけど。


「んー、気分がいいね! どいつもこいつもあたし達の活躍を口にしているぜ」


「私としては、『十三番目の狐』の討伐の影響が町に出ていないか心配です」


「多少の混乱はあれど、町は平常運転だ。後釜に座った『鋼竜の晩餐』が上手くやっているのであろう」


「だね。あの後ちょっと調べてみたら、急速に盗賊団の勢力図が変わったって騒いでいたらしいよ」


「いつの間に調べていたんだ?」


 パトルが首を傾げながら僕に視線を向ける。


 『十三番目の狐』討伐後はほとんど一緒に行動をしていたからね。


 取り調べやなんやらで。


「まぁ、そこはちょっとね。それよりも『十三番目の狐』討伐で稼げたのは良いけど、思った感じにはいかなかったのがちょっと残念だなぁ」


「流石に規模が大きすぎて、一パーティーに任せることは出来なかったんですね」


「町に匹敵する財産だ。吾輩たちには過ぎた財である。逆に身を滅ぼしかねん。却ってよかったと思うぞ」


 モコとアリエスの言う通り、『十三番目の狐』の財宝は莫大なものだった。


 普通であれば、盗賊団を壊滅した者にその盗賊団の財宝を手にする権利があるのだけど、『十三番目の狐』の場合は財宝の額が大きすぎて、領主様が管理することとなったのだ。


 それだと僕たちは完全に無報酬で、領主様が冒険者の活動を阻害することになるので、褒賞と言う形で領主様から大金を頂き、『十三番目の狐』の財宝から好きなものを1つずつ賜ることで話を付けた。


「けっ、あたしとしては何もしてない奴らが横やりで手柄を奪ったようにしか見えないけどな。だけど、みんなの言う通りあまり金銀財宝があってもあたし達じゃ捌ききれないし、余計な恨みを買いそうだったからそこは納得しているぜ」


 そうなんだよねぇ……


 あまりにも巨大すぎる財産は恨み妬みを買いやすいんだよね。


 特に自らの商才で稼いだのとは違い、降って湧いたように手にしたお金と言うのは。


 だからこそ、領主預かりにして矛先を逸らしたわけだ。


 そのあたりはパトルも分かっているらしく、あまり文句は言ってこなかった。


「その代わり、この魔剣を手に入れて名声を上げたから文句はねぇぜ」


 パトルの背には『十三番目の狐』の頭領カウボーイが使っていた魔剣・炎武帝と新たに伸長したグレートソードがあった。


 好きな財宝を1つずつ貰うのに、パトルは魔剣・炎武帝を貰ったのだ。


「私もこの武器が手に入ったからあまり文句は言えませんです」


 モコも貰ったのは棒状の武器――棍だった。


 勿論ただの棍じゃない。


 魔法武器の如意金剛・千変万化。


 この武器は、使用者の意思に応じて様々な武器に変化する。


 つまり、【ものまね師】でいろんなスキルを真似るモコにはちょうどいい武器だったりする。


 幸いにも、『十三番目の狐』の財宝の中にあった訳だ。


「吾輩は元から文句などないな。過ぎたる力は己の身を亡ぼす。それは金の力だろうと暴力と言う名の力だろうとな」


 アリエスは【極大魔力】で強すぎる力に振り回されていたから、身の程を弁えているんだろうなぁ。


 あ、アリエスが貰ったのは、【シールド】【バリア】の防御魔法を張ることの出来るペンダント型の魔道具だ。


 パトルとモコに比べればありふれた魔道具だけど、後方で魔法を放つアリエスにはこの手の防御魔道具は必須だったりする。


 少なくともこれで僕たちはある程度、アリエスの防御に気を取られなくて済むからね。


「ヴォルももっと凄い武器とかを貰えばよかったのに、それで良かったのか?」


「何を言っているんだよ。これは僕たちにとっても必要なものだよ」


 僕が貰ったのは女神像。


 そう、カウボーイが傷を癒すのに使っていたあの治癒の女神像だ。


 僕たちのパーティーは前衛後衛とそろっており、場合によっては僕とモコは前衛にも後衛にも入れ替わることが出来る。


 物理攻撃も魔力攻撃も可能で、一見オールラウンドパーティーに見えるけど、唯一パーティーに必要不可欠な要素を1つだけ欠いていたりする。


 それが回復役の不在だ。


 エーデ師匠にもパーティー構成には気を付けるように言われていたけど、そう簡単に回復役であるヒーラーなんかは見つからない。


 ただでさえ魔法スキルを使える人が少ない上、【回復】や【治癒】魔法スキルを使える人は尚更少ない。


 その代わりにポーションやら魔道具やらがある訳だけど、折角だからと今回の報酬でそれを貰ったのだ。


 まぁ、モコが【ものまね師】がLv99になったから、【僧侶】やら【回復】【治癒】のスキルを真似れるのでその心配はなくなった訳だけど、回復手段は1つでも多く持っていても損はない。……はず。


「そう言えば、パーティー名もいつの間に決めていたんだ? あたし聞いてないぞ」


「私も聞いてないです」


「吾輩もだな」


 ……あれ? みんなには話してなかったっけ?


「えっと、ダメだったかな? 『躍る冒険者たちダンシング・アドベンチャーズ』」


「なんかショボい。もっとこう、『神聖覇王団』とか『爆炎の使者アビス・エクスプロージョン』とかの方がよくないか?」


「『踊る』の意味が分からないです」


「吾輩は気にしていないが、第三者から言われるのは気恥ずかしいものがあるな」


 パトル……寧ろそれは『チュウニ』とか言う奴で、後で凄く後悔する名前の付け方だぞ。


 モコ、多分『躍る』違いだよ、それ。わざとだけど。


 アリエス、それもう気にしているって言っているようなものだけど?


 ええい、苦情は受け付けません!


 もう既に冒険者ギルドに提出登録してしまっているからね!


 申請すればパーティー名の変更が出来る?


 もう今からじゃ遅いと思うよ?


 だって『十三番目の狐』を討伐したパーティー名として広まっているからね!












ヴォル:第3章の最後で第2章タイトル回収と言う件について

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 莫大な報償金は領主へ、それぞれ使えるアイテムを貰う4人。 二章のタイトル回収、言われて初めて気付きました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ