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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第1章 目指せ! 偉大なる冒険者!
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002.冒険者ギルド

 ブロークンハート大陸。


 通称・東大陸。


 約30年ほど前に、ハーフハート大陸の各国が出資して探索・開拓した大陸だ。


 僅か約30年と言う短い期間でありながら、東大陸の2/3を開拓していたりする。


 その東大陸の真ん中には、北から南へと大陸を分断するかのような大河が流れており、大河の真ん中に大きな橋が架けられ、橋の両端には町が存在する。


 大橋の町ザースディーン。


 それが僕が拠点としている町の名前だ。


 真ん中に流れる大河を大橋で繋いでいる特性上、街は東と西に分かれて運営している。


 特に、大河の幅は100mを優に超えている為、東と西はほぼ別の町と言っていい。


 だけど東と西にはほぼ同等の施設が存在しており、僕は東の大橋の町――イーストザースディーンの冒険者ギルドを拠点として利用している。


 イーストザースディーンの南にある森――通称・魔女の森の浅部で薬草の採取を終えた僕は、冒険者ギルドへと報告に向かう。


「薬草の採取の依頼を終えてきました」


「あら、今朝冒険者登録をしたばかりの新人君じゃない。ヴォル君だっけ? 早速依頼を終えてきたのね」


 そう言いながら受付のお姉さんは、僕が採取した薬草を見目し始める。


「うん、薬草の状態はいいわね」


 よかった。初めての薬草の採取依頼だったから上手くいくかちょっと心配だったんだ。


 薬草採取は師匠の下でも散々やらされてきたけど、依頼となれば勝手が違うからね。


「はい、これ報酬よ」


 薬草の採取は種類に寄るけど、大体30G~80Gくらいらしい。


 レアな薬草だと100Gもあり得るとか。


 僕が受けたのは中間くらいの通常の50Gの依頼だ。


 50G――大銅貨5枚を受け取り僕は初依頼達成で思わず笑みを浮かべる。


 あこがれだった冒険者、その第一歩が刻まれた瞬間だ。


「これからも頑張ってね。ヴォル君は真面目そうだから期待しているわよ」


 受付のお姉さんが言う真面目そうと言うのは、多分薬草採取をきっちりこなしたからからだろう。


 大抵の新人冒険者はモンスターの討伐を受けようとして注意されるからだ。


 まぁ、冒険者の花形はモンスターの討伐だから、気持ちは分からなくはないけどね。


 と、そうだ。モンスターと言えばゴブリンの事を報告しておかないと。


「あの、魔女の森の浅部で薬草を採取していたんだけど、ゴブリンシャーマンを含むゴブリンに襲われたんだけど」


「えっ!? ゴブリンシャーマン!?」


 ゴブリンシャーマンの事を報告すると受付のお姉さんに驚かれる。


 やっぱり、森の浅部でのゴブリンシャーマンの確認はされてないんだね。


「大変! ゴブリンシャーマンの討伐依頼を出さないと! 後は森の調査も必要になるわね」


「あ、大丈夫です。ゴブリンも、ゴブリンシャーマンもついでに倒しておきましたから」


「……え?」


 慌てて討伐依頼の手続きをしようとしていた受付のお姉さんは、僕の言葉にピタリと動きを止める。


 それと同時に周囲で様子を窺っていた先輩冒険者の人たちも動きを止め、僕を凝視していた。


 受付のお姉さんが声を上げて驚いていたことで、注目を浴びていたみたい。


「おい、ちょっと待て。ヴォル、お前今日冒険者登録をしたばかりのド新人だろ? スキルも【回転】とか訳の分かんねえ戦闘にクソも使えねぇスキルだったはずだ。そんなお前がゴブリンシャーマンを倒しただと? あり得ねぇ。嘘をつくんじゃねぇよ」


 うん、言いたいことは分かるよ。


 15歳で成人した年齢とは言え、ド新人の冒険者がD級上位のゴブリンシャーマンを倒すなんて普通はあり得ないからね。


 いちゃもんをつけてきたのは、僕と同じ村出身のザインだ。


 彼は僕よりも3年早く冒険者登録をして、D級冒険者として活動をしている。


 特に冒険者登録には年齢制限はないけど、大抵は準成(成人に準ずる年齢の10歳)を超えてからの、大体12・3歳ころから働いたり冒険者登録をしたりする。


 ザインもそれに漏れず、11歳で村を出てザースディーンで冒険者登録をしたみたい。


 僕も12歳で村を出てザースディーンに来たけど、諸事情で15歳まで冒険者登録をしていなかったのだ。


 因みに、準成よりも前に冒険者登録をしようとしても、冒険者ギルドに止められる。


 あまりにも若く冒険者登録をしてもモンスターとの討伐(1年以内にモンスターを討伐してD級に上がらなければ資格剥奪の為)で命を落としちゃうからね。


 ……まぁ、例外もあったりするけど。


 S級冒険者の『幻』さんなんかは8歳で冒険者登録をして、僅か1か月もしないうちにS級になったらしい。


 まぁ、それは兎も角、ザインが3年かかかってやっとD級なのに、E級になったばかりのド新人と思われる僕がD級のゴブリンシャーマンを倒すなんてそりゃあ面白くないよね。


「いえ、ヴォル君がゴブリン5匹とそれを率いるゴブリンシャーマンを倒したのは間違いないです」


 ザインの疑惑を否定したのは受付のお姉さんだ。


 僕が薬草採取の報告の為提出した冒険者カードで確認したらしい。


 どういった技術か知らないけど、冒険者カードはモンスターの討伐を記録できるみたい。


 しかも昔より性能がかなり上がったらしく、かなり詳細な情報を記録できるっぽい。


 なので、僕がゴブリン5匹とゴブリンシャーマンを倒した事が証明されている。


「あ、これもあったっけ。お姉さん、これも買取お願いできますか?」


 そう言って取り出したのは、ゴブリンとゴブリンシャーマンの魔石だ。


 カウンターの上の魔石を見て、受付のお姉さんとザイン、周囲の冒険者は再び言葉を失っていた。












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