三軒目 魔力技術師団
ココネの案内で今は町を案内してもらっている、案内がてら色々と教えてもらって分かったことがある、まずこの世界は魔力がある、実際に魔法も見せてもらった、
そしてこの魔力が俺の世界での電気の様な扱い方にもなっていた。
主に家の設備や機械的な物は魔力を原動力に動いている様だ、ただ俺のいた世界に比べるとまだまだ発展途上といった感じだが。
「なるほどな〜魔力か、その魔力を使うにはどうしたらいいんだ?」
「そうですね、1番早いのは魔力技術師団に行って魔力とスキル検査を受けるのがいいんじゃないですかね?」
「魔力技術師団?」
「はい、関谷さんみたいな技師さん達の本部と言った所でしょうか、主に技師さんの技術を教えたり仕事を紹介したり、個人で仕事している技師さんのサポートなどもしたりしています、町の技師さんは大体登録されていますよ。」
要するに組合みたいな感じだな。
「じゃあさっきの様な設備の修理なんかはその師団から来るわけだ。」
「はい、ただ師団では大きい仕事が優先されるので、なかなか一般には来てもらえないんです、それに料金も高いので、個人の技師さんに頼む方法もありますが大体が貴族のお抱えになってますから。」
「なるほど、それでたまたまいた俺に声をかけたのか。」
「はい、ダメ元でお願いしてみたのですが、正直あしらわれると思っていたので、感謝しています。」
どうも技術の発展はしてきているがまだ技術者が追いついていないようだ、技術を持った連中は自分を特別扱いしているようだし、技術者も王族と貴族と師団で固めちまってる様だな。
「その魔力技術師団って何処にあるの?」
「この町の中央に師団の建物が立っていますよ、ご案内しましょうか?」
とりあえずはこの町で暮らしていかなきゃいけないし仕事も無いと話にならない。
「お願いしてもいいかな?」
「はい。」
頼まれた事が嬉しいのかココネは嬉しそうに返事をした、しばらく歩いていると町の中央だろうか大きな建物が見えてきた。
「想像以上に大きな建物だな。」
なんとなく工場施設を想像していたのだがそんな感じは無く、宮殿の様な風貌だ。
「この町は技術発展の中心ですから技術師はとても重宝されています、技術事態もなかなか教えてもらえないそうで技術師の全体的な数も少なめですね。」
やはり技術師団での技術の独占をしているみたいだな。
「よし、中に入るか。」
「入り口から入ってすぐに受付がありますのでそこで聞くのがいいと思います。」
ココネに教えてもらって建物の中に入り受付で手続きを聞きにいく。
「あの、ここで魔力とスキル検査が出来ると聞いたんだけど。」
「技術師適正検査ですね、はい、こちらで調べられますよ、
どなたの技術師の紹介ですか?。」
紹介?いやいやこっちの世界に知り合いなんかいないぞ!
「いや、紹介されてないんだけど、」
「でしたらこちらでの検査は受け付けていません。」
「検査するだけで紹介がいるの?じゃあ技術師になりたい人とかはどうするんだ?」
「基本的に技術師団はお仕事の依頼以外は紹介者しか受付はしておりません。」
これじゃあ新たに技術師になりたくてもなれないんじゃ、ただでさえ技術師が足りてない現状なのに、、、1つ探りを入れてみるか。
「じゃあ今日修理依頼をしたらいつ来れる?」
「修理受付ですね、一般受付でしたら依頼手配はしておきますので後は技術師がそれを確認して行くといった流れですね。」
「その確認はいつされるんだ?」
「それは技術師の判断に任せていますので。」
「因みに料金はどうなってるんだ?」
「こちらで依頼手配料を支払っていただき、その後技術師に技術料金と派遣料金を支払う形となります、金額は担当技術師の判断になりますが」
あまりにも酷い有様で呆れてしまう、技術師は仕事を選んでいる、しかも料金も技術師判断に依頼手配料、これでは町の人達は頼みたくても頼めない、話しを聞くかぎりこの町の技術師の金額判断も信用ならないだろう、これではこの町の住民は不自由な生活を送っているだろうことは容易に想像できる。
「話にならないな。」
「何かご不満がお有りですか?」
「ああ、ここの技術師がそんなに大した仕事をしている様には思えなくてね。」
「お言葉ですがこの国の技術師、特にこの技術師団は最高の人材の集まりです、ここの技術師が派遣されるだけ感謝してもらわなくては。」
「その技術は住民の生活を豊かにする為にあるんじゃ無いのか?技術を独占して住民を蔑ろにしてるんだろ。」
「貴方がこの技術師団をどう思おうが勝手ですが、今の技術師団の在り方が全てです。」
またとんでもない自分勝手な言い草だな、これ以上話しても無駄だろう。
「ココネ案内ありがとう、もうここには要は無いよ、いこうか。」
「あ、あの、はい!」
ココネは圧倒され終始オロオロとしていたので声をかけて外に向かう。
「いいんですか?魔力技術師団からの援助やサポートは受けられなくなってしまいますよ?」
後ろから追いついてきたココネが不安そうな顔をしていた。
「こんな所のサポートを受けてたら自分の仕事が出来ないからね、自分で、なんとかするさ。」
そう言って俺は魔力技術師団を後にした。