二件目 照明不具合
「ここが私の家です。」
そう言われてココネに案内された家は老朽化しているボロボロの家だった。
「大分老朽化しているな。」
「仕方ないんです、私は魔族とのハーフですからまともなお仕事貰えないので。」
そういえばここに来る途中も人の姿は有ったがココネの様な姿はほとんど見なかったな。
「まあ事情は人それぞれだからな、それで明かりがつかない所は何処だい?。」
「はい、キッチンの所です、お願いします。」
ココネに案内されて家ので中に入る、家の中は綺麗に片付けてあり外見の割には綺麗な家だ。
「それでいつから明かりが点かなくなったの?」
「半年位前からです、そこのスイッチに魔力を流しても点かなくなってしまいまして。」
「魔力?電気じゃなくて魔力で明かりが点くの?」
電気の修理ならなんとかなりそうだと思ったが魔力なんて物は専門外だ。
「電気?よくわかりませんが、そこの壁のスイッチに魔力を流すと明かりが点く仕組みのはずですが。」
「うーんとりあえず見た目は電球みたいのが付いてるからとりあえず器具を外してみるか、悪いんだけど台か何か借りてもいいかな?。」
見た目は普段から見ている電球を付ける器具の様だったのでとりあえず外してみる事にした。
「はい、この台を使って下さい。」
そう言って渡して来た小さな台を借りて天井に付いている器具を外した、器具を外すと電線の様な物で繋がっていて、器具との接続部分が黒く変色していた。
「見た目も大分古そうだし線の接触不良かな。」
器具に繋がっている線を外し、線の変色部分を切ってまた繋ぎ直してみる。
「これで試してみるか、もう一度スイッチを入れてくれる?」
そう言ってココネにスイッチに魔力を流して貰うようお願いした、何せ俺は魔力の扱い方などしらないし。
「はい、あ!点きました。」
やはり接触不良だった様だな何度かスイッチを反応させて問題無い事を確認してから器具を元に戻した。
「しかし半年も明かり無しだったなんて修理お願いしなかったの?」
「町の技師さんに何度かお願いしていたんですがなかなか来てもらえなくて。」
ココネはそう言って暗い顔になっていった
「先程も言いましたが私は魔族とのハーフなので後回しにされるか、なかなか相手にしてもらえませんので。」
どうも魔族というだけでこの町では住みにくいようだ。
「どうもありがとうございます、代金はこれくらいでは足りないでしょうか?申し訳ありませんが足りなければ少し待って頂けないでしょうか?必ず働いてお支払いしますので。」
申し訳無さそうにしながら手持ちのお金を出している、銀貨だろうか?数枚を手のひらに出してこちらの様子を伺っている。
「今回は料金はいいよ、そんなに大したことしてないし。」
「そんな!いけません、明かりを直して頂いたのにお金まで!」
そう言いながら持ってる銀貨を手渡そうとしてくるココネ、
話しを聞くかぎりギリギリの生活をしていると思う、それでも頑張っている素直でいい子の様だ。
「いいよいいよ、変わりに一つお願いがあるんだ。」
「お願いですか?」
「ああ、実はこの国に来たばかりでね、右も左もわからなくて、俺の国は島国だったから文化や技術もこことは違うみたいだから色々教えてもらえないかな?今回の料金は授業料でお願いできるかな?この国のお金も持ってないし。」
違う世界から来た事は伏せておくことにした、色々混乱するだろうし俺もどう説明したらいいか分からんし、とりあえず一般常識などを教えてもらわない事には動きようがない。
「そんなことで宜しければ、それじゃあこの町の案内もします、色々と見て回った方がわかりやすいと思います。」
「それは助かるけど時間は大丈夫なの?」
町を案内してくれるのはありがたいがそんな事をすれば1日がかりになってしまう、たかだか照明一つ直した位で流石にそこまでしてもらうのは気が引ける。
「はい、今日の仕事は無くて後は家の事だけなので、案内が終わってからで大丈夫ですから。」
凄いキラキラした目で迫ってくる、ここまで言われると断る事も出来ないし正直町を案内してくれるのは助かる。
「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えてるね。」
「はい!任せてください。」
そう言い嬉しそうな顔をしたココネの案内で町を見て回る事になった。