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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
6章 混沌
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失態

そしてレンは再び考える。


どうすればこの窮地を脱する事が出来るのか。


するとヒシリーが攻撃をして来た。


雷だ。


高電圧の雷だがそれだけでは無く、他の精霊の力も使われた言うなれば様々な特性を持った攻撃と言えるだろう。


更にそこにライルが畳み掛け、逃げるのは不可能かと思われた。


だがそれは違う。


レンはこの雷を利用した。


妖術によって、否、妖術、冥術の二つを使い、この雷を操ったのだ。


実はレンはストロマを鍛え上げるあの期間。


あの期間の間で一部だけの変異の技術の習得に成功していた。


元々その技術は師匠からのあの記憶の中にあった。


だがそれほど頻繁に変異をしないという理由から後回しにしていたのだが、この前のあの期間でどうせなら新しい技術を手に入れたいと考え、この技術を習得した。


そしてその技術が今、役立った。


レンはそれにより、物質とエネルギーの二つを含むあの雷の起動をずらし、畳み掛けようとしていたライルに目掛けた。


雷の速さは音速を越えるレベルの物も多い。


だが今回のは自然現象では無く人力で起こされた物。


次元が違った。


つまりそのレベルの速さに追い付く程のスピードの思考の速さにレンはなったのだ。


とはいえいくら進化を繰り返し身体のスペックが上がったとはいえ簡単にはいかない。


妖術によって思考をするための器官を支えて漸くそのスピードになれた。


副作用として細かい妖術等の操作が出来なくなったが、その代償を払った価値はあった。


仙力の能力は身体強化。


だがライルは別に思考能力は強化していた訳では無い。


すなわちそんな速度の攻撃に反応出来る訳が無い。


しかし、恐らく本能的なものだろう。


人間の電気への耐性を途中から仙力によって強化したのだ。


だが、勿論無傷では済まない。


ドゴォォォォン


シューー


「ぐはっがっ」


「ライル!」


「大、丈夫だ」


「嘘!今回復するから!」


「うるせぇ、もうお前も今の攻撃で霊力使い切っただろ」


「っ!…………」


「はぁ、ここまでとはな」


「こうなったらもう勝てる見込みはねぇ、だが一つ、お願いがある」


その言葉にレンは反応せず、ただ止めを刺そうと近寄るのみだった。


「俺だけを殺せ、ヒシリーは逃がしてくれ」


「……っ!私は嫌よ!もう私を一人にしないで!」


「ヒシリー?」


彼女は子供のように喚いた。


「あんなに待ったのにただいまの一つも寄越さずに帰って来て!私はもう待ちたくないの!」


そう言って彼女はレンの方へと歩いて行った。


「ライルを殺すなら私も殺して」


そう言って彼女はレンとライルの前に立った。


「ヒシリー………分かった…………俺は結局…………ずっと空回りしてたのか」


そう言って彼は彼女を抱きしめ、レンは二人の心臓を刺した。

…………………………

………………

……


テッテレ~

『レンのレベルが7になった!』


戦闘終了。


徐々に思考がクリアになっていく。


それと同時にいくつもの疑問が湧いてくる。


何故俺は彼ら彼女らを殺そうとしたんだ?


いや、勿論()()の為だ………?


待て、あれは元々楽しむ為の手段の一つだった筈だ。


別にそれをする事が目的では無い。


というかそれが出来なくても俺は楽しめればそれで良かった。


なのに()()をする事がいつの間にか行動理由になっていた。


これはどういう事だ?


もしかして………………………

…………………………

………………

……


あー、そういう事か。


可能性としては高いな。


それにしても何の為かは分からないが()()()()()()をさせようとしている訳だ。


はぁ、師匠とえーっと、誰だ?この人達。


確かライルとヒシリーって言われてたよね。


その人達を殺した。


いや、正直殆どこの人達とは関わって無いから別に良いんだけど師匠を俺に殺させたのは許せないな。


だけど()()()()がそうさせたのなら反抗するのは無理だ。


師匠に挨拶をしたりとかしたかったんだけどなぁ。


まあまた教わろうとは思って無いけど。


でもあの場所で俺はかなり成長出来た。


それには感謝しか無い。


はあ、ため息が止まらないよ。


とはいえあれは師匠に使え無い。


仕方ないからこの人達に使おうか。


うーん、今度はしっかりとカッコいい名前を……………よし、決めた。


冥力で魂を確保。


そして、死後の冥福(ソウルハピネス)


これはあの森で使えるようになった技だ。


敵の魂を操って何か出来ないかなぁってしていた時に出来るようになった。


死んだ魂は天に向かう。


その過程で周りのあの色々と意思で防ごうとするあれが消えるんだ。


で、その状態の魂を暫く確保してたら幽霊になる。


まあ大分歪で暫くしたら普通に消えちゃうんだよね。


あれは確か鹿でやった。


うん、めちゃくちゃ活発に動いてたから意識はあった筈。


だから多分出来るね。


とはいえ今回は人間だからどれ位待たないといけないか分からない。


だから魔回路を使う。


あ、因みに魔回路っていうのは身体と魂に刻み込まれた模様の事だ。


これが複雑な模様を描いていて、それがレベルアップや進化をさせる仕組みなんだ。


で、この魔回路は万象の瞳、ストロマのあの固有スキルでどういう効果かだけが分かるらしい。


鑑定なんかもその機能の一部になってる。


だからあの時ストロマは鑑定感知のスキルが無いのに鑑定された事が分かったんだね。


鑑定というシステムが発動したという事が分かったから。


まあそんな事はどうだって良い。


そのストロマに魂を固定する魔回路を作って貰ったんだ。


あの時はただ魂関係の事をする用に作って貰ったんだけどこんな事に役立つとはね。


魔回路は魂の周りにあるあれ。


うん、あれで分かるでしょ。


あのエネルギーが主成分だから剥がれたあれを使って魔回路を構築する。


さて、これで大丈夫。


あー、ヤバいな。


あれから頭痛や身体の全身が痛かったりヤバかったのにもう意識も朧気だ。


まあでも仕方ない。


俺は敵に毎回こんな事をするほどお人好しじゃ無い。


だけど今回は完全に俺の失態だからね。


こいつらがどうなろうが俺は知ったこっちゃ無いけど多少の施しはしないと。


あー、ダメだ。


意思………が………

………………………………

……………………

……


あー、そういえば久しぶりのリスポーンだ。


あれ?そういえばいつの間にか森林火災終わってたな。


あれは何だったんだろう。


まあ良いか。


さて、とりあえず服とかお面とかあの場所に回収しに行こう。

…………………………

………………

……


おっしゃー!着いたぞー!


あー、迷った。


マジで迷った。


幸い今は朝の4時。


誰も起きて無かったからまだ良かったけどお面とか見つかってたらどうしようかってめちゃくちゃ焦ってたからね。


まあ別に()()をするのに邪魔になる人が増えるのが嫌って事じゃ無くて多分居たらまた操られるでしょ。


それが嫌なんだよ。


人化っと。


あー、人化にも大分慣れたな。


お面と服は無事。


良かった良かった。


うーん、まだライルとヒシリーさんはなってないみたいだね。


まあ遺体が発見された時になっていれば最期の言葉位は残せるでしょ。


さて、じゃあ戻ろうか。


ケイの家に。

……………………………

…………………

………


家に着いたがムシュはまだ寝ている。


うん、置いて来て正解だったな。


居たら絶対殺されてた。


さて、じゃあちょっと寝ようかな。


おやすみー。

……………………………

…………………

……


「おーい、起きて」


ん、んん?


うーん!おはよう!


「何かちょっと大変な事になってるみたいなんだ」


大変な事?ああ、見付かったのか。


「俺も早く向かいたかったけど皆パニックになっているみたいで何かがあるかもしれないなら一緒に行こ」


了解!


そして俺達は俺の殺したライルとヒシリーさんの所に行った。


「あ、シズク」


「あ、ケイ君だ」


「シズクはどうしてこんな所に?」


「実はこの中で何かあったみたいなんだけど人混みが凄くて…………」


「じゃあ一緒に行こう」


「え?良いの?」


「うん」


そう言ってケイは人混みの中に俺達とシズクの手を握って入って行った。


「あ、ライさん」


「お、ケイか。そいつらは?」


「ああ、この人達は昨日来た人達で」


「そうか…………それはまずい事になったかもしれねぇ」


「まずい事?」


「こっちに来てくれ」


そして言われるがままに移動した。


「これは…………ライルさんとヒシリーさん?」


「そして少し奥にも」


「師匠!」


「全員死んでる…………」


「ああ…………昨夜、殺された」


「え?嘘…………でしょ?」


「嘘よ…………」


えーっと幽霊になって…………あ、丁度なった。


ねぇ、ちょっとタイミング良すぎない?


まあ良い。


ここで念話を!


え?念話は脳にするんじゃないかって?


ちっちっち。


そこは頑張ってね。


うん、頑張って頑張った。


詳しい原理は長くなるから言わないけど。


『あれ?俺は………』


『私、死んだんじゃ』


『聞こえる?』


『え、お前誰だ?』


『誰?』


『あの狼』


『え?何でお前が人間に』


あ、そういえば姿変えてたな。


『それは別に良いだろう。最期の挨拶をする時間をやった』


『………何の目的?』


『別に…………とりあえず殺したのが俺だって言わなければ良い』


言ったらまた操られて面倒臭い事になるからね。


『言ったらどうなる?』


えー、聞くのそれ。


『さあ?とりあえず話しな、最期の言葉を』


『分かった』『分かったわ』


とりあえずケイとライとシズク、全員に聞こえるようにして。


『じゃあ、どうぞ』

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