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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
6章 混沌
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???サイド5

主様とまた別行動…………。


せっかくあの国で主様と一緒に行動出来るって思って頑張ってたのにまた…………。


いや、今回頑張ればまた一緒に行動出来る筈!


うー、そう考えるとムシュが恨めしくなる。


だって私の方が眷属の先輩なのよ!


なのになんでムシュだけ………


思えばムシュは色々と生意気なのよ!


いきなり変な事言って来たりしたら今度は謝って来て…………


はあ、あ、そろそろ主様の言っていた大きな木が見えて来た。


そろそろ下に降りて歩いて行きましょうか。

…………………………

…………………

……


数十分程歩いて目的の場所に着いた。


けど…………………あれ?


妖力で感知する限り殆どの人が人間なんだけど…………。


うーん、良く分からないけどとりあえず手筈通りに魔物の姿に…………


『そこで何をしておる』


そう考えているとどこからか声が聞こえて来た。


え!?これは念話よね。


一体誰が?


…………とりあえず聞いてみましょうか。


『あなたは誰?』


『ほっほっほ、警戒せんで良い。わしはただの木じゃ』


木?


『もしかしてこの大木?』


『そうじゃ、まあわしの事などどうだって良い』


『肝心なのはお主が何者か、じゃ』


『私?』


『わしはこの森の事なら全て分かる。だからわしはお主がこの森に飛んで来た事を知った。わしの方へ一直線にの』


えー!それじゃあ人化解除して魔物の姿で行ってもすぐに怪しまれちゃうじゃん!


どうしよう………


『まあわしは別にお主が何者でも良いんじゃがな』


『え?』


『異界者は死なん、じゃから別に殺しに来た所で何の支障も無いのじゃ』


……………え?主様死なないの!?


思い返したら…………たしかにあの国で沢山の人殺したのに全然人減って無かった。


『お主はこの国に入りたいのじゃろ?』


『うん』


『じゃあわしの友人として招こう。じゃが、わしの目の黒い内は勝手な事させんぞ』


『分かった………』


『まあわしは樹じゃから目なんてありはしないんじゃがな!』


あ、確かに!


『さて、じゃあちょっと皆を集めて紹介するか』

……………

………


『さて、今日はわしの友人を紹介しようと思ってな』


うわー、緊張する………。


思えば私こんなに沢山の人がいる場所で挨拶なんてした事無いよ。


確か主様の知識では人という字を書いて飲み込むと緊張が…………あれ?そもそも人という字って何!?


『それじゃあ挨拶を』


え!?えーっと、えーっと………


「よろしくお願いします」


『……………それだけかの?』


え?他に何を言えば良いの?


『まあ、かなり無口みたいじゃがこれからよろしく頼むぞ』


「分かりました」「了解です」……………


うー、うまく暮らせる気がしないよ。

………………

…………

……


あれからこの国の案内をされた。


この国は世界樹さん、あ、あの樹の事ね。


世界樹さんが管理をしていて、その中で異界者達が過ごしてるって感じらしい。


そして、役割が作物を育てる人、周りの魔物を狩る人、門番……………


って感じでかなりの量の役職があって、それぞれが仕事をこなす事によってこの国を動かしてるらしい。


そしてこの国のリーダーは今人間プレイヤーのスパイとして潜入しているらしい。


あー、それにしても今日は疲れた。


ここはこの国のリーダーの部屋。


イースって名前だったっけ。


その人は今居ないから使って良いよって言われてここにいる。


そして私は今布団に転がっている。


主様に会ってから完全な一人になるのは二回目。


あの大会を含めてね。


だけどあれは暫くすれば会えると分かってた。


だけど今回は…………


考えれば考える程気持ちが沈み、()()()()()を思い出す。


とはいえかなり疲れてたのだろう。


すぐに深い眠りにつこうとしたその時!


『緊急事態じゃ!』


世界樹さんによる緊急事態の報告があった。


私はその声で飛び起き、外に飛び出した。


「どうしたんですか?世界樹さん」


そう、一人の男性が世界樹さんに聞いた。


『大量の異界者がこちらに向かっている』


え!?


『そして、わしの大事な森に火を放とうとしているのじゃ!』


ええ!?


いきなりの事に私は混乱していたが、戦いになる事だけは理解した………。


『一先ずお主らは人化を解除し、戦いに備えよ』


そう言われ、沢山の人は人化を解除し、魔物の姿になった。


「世界樹さんは?」


一人の女性がそれを聞いた。


『わしは森を救う、例えこの身が朽ち果てようとも』


その言葉にここにいる異界者達は皆驚いた。


そして同時に早く対処しないと世界樹さんが死ぬという事を悟った。


事はそんなにも深刻なものだったのだ。

………………………

……………

……


この国の人達は一先ず戦闘の出来ない人達は家に避難させ、他の者は魔物になり、私は颯爽と戦いに向かった。




ナイトサイド


まさかイースが居ない時にこんな事になるとはな。


さっきから連絡をしているんだが一向にチャットを見ない。


もう寝てるのか?


まあこんな時間帯だからな。


寝ていても不思議は無い。


となるとイースの助けに来ないと仮定して行動するのが良さそうだ。



チャット


「ミル」


「何?」


「イースから返事が無い、恐らくこの事態が収まるまで来れないと思う」


「分かったわ」


「さて、そろそろ進軍するか」


「そうね」



さて、それじゃあ向かい討ちに行きますか。


俺達はある程度緊急事態の時の行動について考えていた。


今回のは流石に想定外だったが、世界樹さんからの情報である程度把握した。


ミルと俺では役割が違うからしっかりと連絡を取らないとだな。


子と親、親愛の糸で繋がる二人には時の差によりすれ違い、そしてその思いは虚しく散った。


我は支配者、その糸を支配し、利用する者。


念話!


これは鳥の親子が襲われ、親は子に逃げて欲しかった。


だが、幼さで子供の鳥冷静な判断が出来ず、結局二人共殺された。


そして俺はその時の親鳥の残留思念を利用した。


残留思念には死ぬ直後の記憶も僅かだがあり、見る事が出来る。


まあこれは最近になって出来るようになった事なんだけどな。


やっぱりこの呪術は趣味が悪い。


その人の残留思念を、願いを利用して自分の為に使う。


それには誰もが嫌悪感を抱くだろう。


それでも俺は使う。


それがイースの為になるなら………



『これより襲って来たプレイヤーを殺しに行く』


そう俺は言い、その言葉に皆一様に戦々恐々とした。


まあ身近な人、いや、身近な樹が死ぬか生きるかは俺達に掛かっている。


今までこんな事は無かったからな、緊張するのは当たり前だ。


こちらの戦力は約四千。


あちらは七千程いるらしい。


この森を囲むようにしており、襲って来るのは五千程、他は火を放つ事に専念している。


すなわちかなり厳しい戦いになる。


どこからそんな戦力を入手したのか。


襲ってくる奴らは一体何者なのか。


疑問が溢れて来るが、そんな事を考える余裕は無い。


『それじゃあ行くぞ!』


そう言って俺は死地に飛び込んだ。

………………………………

……………………

……


乱戦だ。


大量の敵がいるが、それほど強い訳では無い。


言うならばこいつらは皆、時間稼ぎを主体としていると言えるだろう。


一人一人殺すのに結構時間が掛かる。


それとこいつら皆目が赤いんだよな。


赤眼って奴だ。


全く、本当に何なんだって思うよな。


そんな中俺は一人厨二病っぽい事を永遠と言ってる。


これ皆に聞こえて無いとはいえかなり恥ずかしいからね?


ミルだって初めて使った時顔真っ赤にして羞恥心と残留意思の利用による申し訳なさに耐えてた。


俺だって大分慣れたけどかなり恥ずかしいんだよ!


だけど乱戦は俺の本領の発揮出来る場所だ。


残留思念という俺の術の根源が山のように生み出されるからな。


頑張らないとだ。


死の飛び交う中、皆は一様に事を為す。


敵を殺し、殺され合うそれはまさに死の踊り。


死の舞踏(デスワルツ)


そう唱えた瞬間、周りの奴等は死んだ。


この技を使うとかなり呪力を使うんだよね。


だからセットでこの技も使う。


殺しは己の糧になり、殺される事で輪廻は巡る。


だが足りん、この程度の供物では。


だからこそ我は死すら糧にしよう。


死の吸収(デスドレイン)


こうしてエネルギーを吸収してその詠唱の間に剣術を使い、相手を殺す。


これがかなり効率が良いんだよね。


とはいえこの量だ。


世界樹さんを生かせるかどうかは分からない。


まあやるしか無いんだけどな。

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