師弟子
今までNPCの方はゆみとフォスとムシュに食料の確保を任せてた。
勿論周りの魔物を狩るだけじゃあの人数分の食料なんて用意出来ない。
なんとここにはデカイ熊のスポーンがあったんだ。
あ、スポーンっていうのは魔物の湧く場所の事ね。
それがあったから簡単に食料の確保が出来たらしい。
というかそれ以上にその熊の解体に時間が掛かったみたいだけど。
デカイと言えばこのゲームを始めたばかりの頃に倒したあの猪。
あれも猪のスポーンから出て来た魔物だったのかなぁ。
まあ別に良いか。
え?フォス達は食料確保。
なら俺は何してたかだって?
勿論しっかりと働いたよ。
プレイヤー達の監視をしたり、えーっとシム?達を操る方法を探したり。
まあ後者は完全に国造りと関係無いんだけどね。
さて、そんな事は良い。
今から俺は確かストロマ?だったか。
そのストロマと話し合いをするんだ。
フォスから聞いた話によるともっと大人の人も少数だけど居るらしい。
本当なんでストロマが代表なんだ?
ギィィィィイ
お、来た。
ここは俺の家。
丁度三つの派閥のど真ん中にあるんだ。
とはいえ特別に立派って訳じゃ無いけどね。
「失礼します」
「はい、どうぞ」
そう俺は椅子に座るように促した。
「さて、それじゃあ話し合いを始めようか」
「はい」
「それで、そちらはどうして欲しいんだ?」
「えーっと、ぼ、僕はどうなっても良いので皆を助けて!」
「その皆にプレイヤーは含まれる?」
「えーっと、含まれません」
なるほど、改めて確認すると、この国のNPCを全員助けて欲しい訳だ。
「さて、その願いを聞き入れる変わりにこちらが叶えて貰う願いは」
かなりドキドキしてるみたいだね。
心臓がかなり活発に動いてるよ。
でもそんなにヤバい願いじゃ…………いや、十分ヤバい願いか。
「君にはこの国を纏めて貰いたい」
一人の子供を国王に任命しようとしてるんだから。
「………………え、冗談ですか?」
「いや、本気だよ」
俺が居なくても発動出来るシステム。
そんな事まず無理だ。
管理者、リーダー等が居なければまたあの世紀末状態になる。
なら別の人をそれにすれば良い。
それに抜擢したのがストロマだった訳だ。
「いや、無理ですよ!僕にそんな力はありませんし」
「勿論今すぐにそうする訳では無い」
「え?」
「約一年程俺がお前を鍛え上げる」
「ええ!?」
俺の見立てじゃそれ位で普通にこの国のプレイヤー達に勝てる位の強さを手に入れられると考えてる。
まあまだ十年程度しか武術?を使って無いし大きく予想が外れてる可能性もあるけど。
「さて、じゃあフォス、ムシュ、ゆみ、この国の管理任せた」
「いきなり過ぎない?」
「「分かりました」」
「え、なんでそんなにあなた達すぐに返事出来るの?え?」
まあフォス達には前もって言ってたからね。
国民への命令の権利は一応フォスに渡したし大丈夫だろ。
さて、ストロマを担いで。
「え………ええ!?」
ギィィィィィイ
「じゃあな」
妖術で一部人化の解除。
バサッ
「「ええー!!何それ!?」」
あ、ストロマとゆみがハモった。
因みに人化の時の身体が元の身体より小さい場合、無理矢理皮膚の部分とかを圧縮している。
その為若干人よりも身体が硬くなってる。
で、今回は羽に必要な分を圧縮を解いて羽にした。
これが部分人化の方法だ。
いやー、羽が生えた人間ってカッコいいよね。
さて、
『『フォス、ムシュ、じゃあな』』
一時的とはいえ挨拶はしないと。
じゃあ出発だ!
バサッバサッ
「え、え…………何これ………」
ストロマは未だに呆然としている。
………………………
………………
……
あー、漸く着いたー!
かなり迷ったなぁ。
ここはムシュが住んでいた山の下。
あのヤバい森にいる。
探してる途中にもう一つの国を見つけたりして…………うん、戻って来るのに時間掛かった。
えーっとストロマは………気絶してる。
まああんな速度で動いたんだからしょうがないか。
えーっと毒草をこいつの肌に当てて………。
「…………痛っ!」
「起きた?」
「……………ここは………」
さて、うーん……………訓練、何からしよう。
ストロマのステータスは?
ステータス
名前 ストロマ
性別 男
種族 人間
職業 ビギナージョブLV1
状態 普通
生命力 15/15
魔力 8/8
スキル
避けLV4 予測LV3 危機感知LV3 直感LV2
耐性スキル
痛み耐性LV7 気絶耐性LV3 毒耐性LV4
飢え耐性LV4
固有スキル
万象の瞳
称号
突然変異 小さな勇者 ※※※※※※※
うーん、やっぱり魔力系のスキルの習得からかな。
「えっと…………ここはどこですか?」
となると力の感知をさせないとならない。
「あのー…………」
うーん、妖力は常に周りに出してるんだけどこれ、ちょっと集めてみようかな。
「おーい…………」
集まれ!
その瞬間、この森の魔物は皆戦慄した。
圧倒的威圧感。
それがこの森に突如放たれたのだ。
テッテレ~
『レンは威圧スキルを手に入れた!』
『レンの威圧スキルのレベルが7になった!』
おお、威圧スキル手に入れたか。
いや、まあそれは良い。
「魔力感知スキル、手に入れた?」
「あ…………あ…………」
あ、ダメだ。
威圧されて動けなくなってる。
妖力を戻して…………
「あ、はぁ、はぁ、はぁ」
よし、これなら大丈夫だろう。
「魔力感知スキル、手に入れた?」
「え?あ、はい」
よし、なら今度は魔力操作か。
「じゃあ今度は魔力を感知して、それを動かして?」
「え?あ、はい。分かりました」
さて、この間に俺は周りの魔物を狩ってパワーレベリングさせようか。
確か力が変質出来るレベルは……………えーっと……………確か5、6位だった筈。
「魔力操作レベルが5になったら教えてね」
「あ、分かりました」
じゃあ俺は魔物狩って来るか。
………………………
………………
……
あれから数時間が経ち、漸くスキルレベルが5になった。
「じゃあ今度は君の力を変質させようか」
「は…………はい」
ストロマは何時間も魔力を操作して、魔物を殺してとしていたから疲れたようだ。
あ、これが今のストロマのステータスね。
ステータス
名前 ストロマ
性別 男
種族 人間
職業 見習い下級魔術士LV6
状態 普通
生命力 39/39
魔力 26/26
スキル
避けLV4 予測LV3 危機感知LV3 直感LV2
魔力感知LV6 魔力操作LV5
耐性スキル
痛み耐性LV7 気絶耐性LV3 毒耐性LV4
飢え耐性LV4
固有スキル
万象の瞳
称号
突然変異 小さな勇者 ※※※※※※※
さて、お分かり頂けただろうか。
そう、職業を見て貰うと分かるけど職業が魔術師なんだ。
いやー、俺もかなり戸惑ったね。
「職業、どれにしたら良いですか?」
って聞かれたから職業候補見てたら見つけてね。
うん、掲示板をちょっと見返したけどそんな職業は無かった。
だから気になってこの職業にして貰ったんだけど今の所これと言って何かがある訳じゃ無い。
でも俺は期待してる。
何か特別な力になる事に!
「じゃあまずは目を瞑って魔力を感じて」
「…………はい」
「そしたら違和感を感じるまでそのまま」
「え!?…………分かりました」
………………………
………………
……
あれから約一日経過し、俺は今めちゃくちゃ混乱している。
嘘でしょ?もう一日経つよ?
え、あれ?そんなに俺時間掛かったっけ?
あれー?
うーん、そういえば俺は変質スキル持ってたからそれのせいか?
うーん。
「あ、変質出来ました」
「おお!」
漸く手に入れたか!
いやー、正直時間はどうでも良いから早く変質した力が知りたかったんだよね。
カッコいいのが良い名前の力が良いな。
それで手に入れた力は何だ?
ステータス
名前 ストロマ
性別 男
種族 人間
職業 見習い下級魔術士LV1
状態 普通
生命力 39/39
魔素 26/26
スキル
避けLV4 予測LV3 危機感知LV3 直感LV2
魔力感知LV6 魔力操作LV5
耐性スキル
痛み耐性LV7 気絶耐性LV3 毒耐性LV4
飢え耐性LV4
固有スキル
万象の瞳
称号
突然変異 小さな勇者 ※※※※※※※
魔……素?
え、力じゃ無いの?
うーん、まあまだまだ時間はあるしこれから検証して行けば良いか。
…………………………
…………………
……
この森に来て一年経った。
あー、意外と楽しかったな。
さて、それじゃあ戻るか。
あの国に。
次回でこの編最後です。




