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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
5章 国造り
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イースサイド13

あの後「もう遅い」と言われ、ライ達とは解散してケイの家に泊まる事になった。


「布団は一つしか無いからイースが使いな」


「え?ケイは?」


「大丈夫、俺は床で寝るから」


何が大丈夫?


まあ良いか。


とはいえ、


「僕は大丈夫。自分で布団生み出せるから」


うん、魔力が使える事はもう鑑定されたからバレてるし隠す必要は無いよね。


「生み出せる?」


布団よ出ろ!


そう思った瞬間僕が現実で使っていたベッドが出て来た。


「ええ!?ベッド?ってこれ…………」


「僕はこれで寝るから大丈夫。ありがとね」


はぁ、これ生み出すのに結構魔力使ったな。


今日は色々あった。


スパイ1日目。


なんとか良い感じに進んでいるんじゃないかな。


だがスパイ生活のこの先の心配以上に一時的にリーダーという肩書きから解き放たれた安心感があった。


今日は久しぶりにゆっくり寝れそうだ。


たまには一人でいる時間を作るのも良いかもな。


あ、一応ナイトにチャットで報告しないと。



チャット


「潜入完了!」


よし、OK!


そうチャットに書いた瞬間僕は眠りに落ちた。

…………………………

……………

……


朝。


う、うーん、もう朝?


「ふぁぁぁあ、おはよう」


まだケイは寝ている。


えーっと時間は…………え、まだ5時?


うーん、早く起きすぎたかな。


とりあえずちょっと外に行ってお風呂入ろうかな。


昨日は色々あって入り忘れてた。


まあ魔力で身体をキレイにする事も出来るんだけどやっぱりお風呂は入りたいじゃん。


あれ?そういえばあそこでは大浴場作ったのは良いけどあのお湯作る担当僕だったよね?


…………まあなんとかなるだろ。


あ、ナイトから返信来てる。



チャット


「潜入完了!」


「そうか、無理しないで頑張れよ!」


了解!


さて、お風呂どこで入ろう。


とりあえずこの国から一回出て外で入るか。


だってお風呂シーンとか見られたら恥ずかしいし。


まあ念のため透明になるけど。


……………待って、そんなにして魔力足りるか?


うーん、まあ足りなくなってから考えれば良いか。


そう考えて外に出た。


門番は幸いにもあの時の門番と同じだったから顔パスで通れた。


いやー、昨日来たばかりだから足止めくらうだろうなーって思ったんだけどラッキーだったなー。


それから僕はお風呂を作れる開けた場所を探していた。


その時!


微かな声が聞こえたんだ。


そしてその声が聞こえる方向に行ったらなんと!


ライさんとこれは…………混合獣(キメラ)か?


が、会話していた。


混合獣っていうのはまあ言うなれば色んなものが合わさった獣だね。


核が真ん中にあって周りの身体を自由に組み換えれる獣。


僕も合った事はあるんだけどあんなにも人形に近い混合獣は初めて見たな。


…………あれ?


待って、人間のライと魔物の混合獣がなんで会話してるの?


え?なんで?


もっと近付いて会話の内容が聞いてみよう。


そう思い、近付こうとした瞬間ライがこちらを向いた。


幸いかなり速く物陰に隠れられたから僕だとバレてはいないと思う。


あー、まさかバレるとは思わなかったなぁ。


まだ会話をしているかと物陰から再び覗いたがもうライは居なかった。


その後二人…………一人と一匹を探す気にもならずそのままケイの家へと帰る事にした。


結局何を話していたのだろうか。


そう一つの疑問を残して。

…………………………

………………

……


家に付くとケイは外で木刀を使い、素振りをしていた。


「ただいまー、もう起きたの?」


「ん?ああ、それにしてもイースはどこに行ってたんだ?」


「僕はお風呂に入りに………」


あれ?結局僕お風呂に入れて無いじゃん!


「な、内緒」


ケイはかなり疑問に思ったようだがなんとか誤魔化せた。


うん、僕が目的を忘れて帰って来る馬鹿だと誤解されなくて良かった。


まあ嘘じゃ無いけど。


あれ?これって僕が純粋に馬鹿って……………考えない事にしよう。


「一先ずこれで朝練を終了とするか」


「さて、ちょっと待ってて」


そう言ってケイはどこかへ走って行った。


だがそう時間が経たずにケイは戻って来て、


「付いて来て」


と案内され、僕は連れられるまま移動した。

…………………………

………………

……


ここは…………川だね。


「昨日はそのまま寝ちゃったみたいだから案内出来なかったけどここが俺達のお風呂だよ」


「え、川が?」


「あ、ああ。一応許可は取ったから暫くの間は大丈夫だ」


「今度からは夜に時間になったら呼ぶからその時に入ってね」


ああ、そうなんだ。


いや、そうじゃなくて、


「冷たく無いの?」


季節は春、まだ川は冷たいと思うんだけど………。


「あー、そういう事か。いつもは俺達が仙術を使うから自動的に温まるんだが…………」


あ、そうなんだ。


いやでも一人じゃ温まらないじゃん。


仙術も使えないし。


うーん、だったら、


「ごめん、川でお風呂に入る事は止めさせて貰うよ」


「え、じゃあお風呂はどうするの?」


「お風呂を作る事にするよ」


お風呂出ろ!


すると目の前にお風呂が現れた。


「うわっ」


サイズはそれほど大きくないが、小柄なイースなら簡単に入れるだろう。


よし、そしてお湯出ろ!


バシャー


「よし、これで大丈夫!」


「ケイ、僕はこれに入るからってケイ?」


ケイを見ると何やらドヨーンとした雰囲気で立っていた。


「いやー、こんな立派な物を見せられると川をお風呂と言っていた自分がね…………」


「あー、うん、ごめんね?」


「いや、今度はしっかりとしたお風呂を作る事にするよ」


「じゃあ俺は見張りをしてるからゆっくりしな」


そうとぼとぼとした足取りでケイは離れて行った。


「さて、じゃあお風呂に入るか」


チャプン


「あー、癒されるけど、」


けどやっぱり何か落ち着かないな。


仕切りはあるんだけど結構粗末なものだし…………。


まあケイが見張ってるし大丈夫か。


そう思い、ゆっくりする事にした。

………………………

………………

……


「さて、そろそろ上がるか」


そう思い、着替えて外に出た。


すると、


「君がイース君ね」


と、一人のお姉さんが話し掛けて来た。


「あの、ケイは?」


「ああ、ケイはちょっと仕事が入ってね、私と見張りを交代したの」


「え?じゃああなたは………」


「私?私の名前はレイン。あなたの朝食を作るのを頼まれたのよ」


レインさんか。


「よろしくお願いします」


「ええ、じゃあ食堂に行きましょうか」


そう言われ、連れられるままに付いて行った。

……………………………

…………………

……


「ここが食堂よ」


うわー、大きな建物だなぁ


「食堂は地区によって食べられる時間が違って、本来イース君はもっと遅いんだけどまあ今回は特別ね」


「あ、ありがとうございます」


「良いわ、さて、入りましょ」


そう言われ、中に入った。


ガヤガヤ ガヤガヤ


中はめちゃくちゃ煩かった。


「ごめんね、いつもこんな調子なのよ」


「うーん、あ、あの席が空いてるからそこに座って待っててね」


言われるがままに待っているとお姉さんが食事を持って来てくれた。


「さて、これがあなたの朝食よ」


「おお、凄い美味しそう!」


一応食事も作り出す事も出来るんだけど食べても何か吸収したのと同じになっちゃうんだよね。


数ヶ月経ったらちゃんと食べ物になるらしいけど普通に腐っちゃうし。


だから今回は植物の情報を手入れる事も一つの目標なんだ。


「ふふ、ありがとう。どうぞお食べ」


「モグモグ…………うまっ!」


その後無我夢中で食べた。


僕達の国の食べ物はうん、普通なんだよね。


この料理の情報も手に入れないと!


「ご馳走さまでした」


「はい。それとそこでシズクが待ってるわよ」


あ、本当だ。


「片付けは私がするから行ってらっしゃい」


「はい、ありがとうございました」


そう言ってシズクの元へと走って行った。


「こんにちは」


「こんにちはー、じゃあ今度はお洋服屋さん行こっか」


……………え?


この好奇心旺盛な眼差し…………完全に僕を着せ替え人形にする気だ。


現実でされる事もあったけどあれはキツかった。


なんとかして阻止しないと。


「仕事はないの?」


「ちゃんとサボる許可は貰ったから大丈夫!」


それ大丈夫なの!?


「あ、その前にフェンリルさんに会う?」


「フェンリルさん?」


フェンリルって闘技大会で優勝したあの人?


「そう、ちょっと待っててね」


そう言われて数分後……………


純白の毛並みに包まれた狼がやって来た。


「これがフェンリルさん?」


「そうだよ」


うーん、あの人も白かったけど何か雰囲気が違うような…………


「フェンリルさん、こちらは亜人のイースちゃん」


え、ちゃん!?


僕は男だってばー!


そう心の中で抗議していると、


『のう、お主………』


どこからか声が聞こえて来た。


ん?あれ、これ念話!?


『な、何?』


『お主、亜人と呼ばれていたが妾はまた別のものに見えるのじゃが』


亜人と呼ばれてた…………この念話フェンリルさんからか。


って、バレ掛けてるじゃん。


誤魔化さないと。


『そ、そんな事ないよー』


『ふむ、そうか。まあどっちでも良いんじゃがな』


これは誤魔化せた…………のか?


『妾に何か教わりたくなったらいつでも来るが良い』


『は、はーい』


そう言うとフェンリルさんは念話を切って離れて行った。


結局何だったんだ?


「あ、フェンリルさん………まあ良いか」


「じゃあ早速お洋服屋さんに行きましょうか」


え…………


「嫌だ~!」


そう言ったのに抵抗は虚しくそのままお洋服屋さんに連れて行かれ、何時間も着せ替え人形にされ続けられた。

ライは混合獣と何を話していたのでしょうか。

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