イースサイド11
今日から本格的に2日に一回投稿を始めます。
集落から出発して数日経った。
うーん、こっちの方角で本当に合ってるのか?
ミルが見た事あるって言ってた方向に進んでるんだけどずっと歩いてるのに中々森を抜けない。
まあでもいつかは忘れたけど世界樹さんがここから村は遠いって感じの事を言ってたからこれ位が当然なのかもしれないな。
僕結構始めてのスパイって事でこの数日結構わくわくしてるんだよね。
前にこの姿で人間側と話したから若干髪の毛の色を変えたり、顔も若干変えたりしたし。
流石に大幅な変更は魔力の量的に無理だったけど。
はぁ、早く村に着かないかなぁ。
流石にそろそろ移動には飽きて来たよ。
ザッザッ
ん?何だ?
近くから何か物音が聞こえて来た。
とりあえず木陰に潜んで様子を伺う事にした。
「グオオオォォォォォ!!」
「くそっ何で薬草採取中に襲われるんだよ!」
目の前には一人の男性とそれに襲いかかる熊の姿があった。
いや、良く見ると角と尻尾がある。
亜人か。
うーん、こういう時って助けた方が良いのかな?
そう考えてると。
「ちっしょうがねぇ」
そう言って彼はカバンから薬瓶を取り出し、
「食らえ!」
その中身を熊に掛けた。
「グオオオォォォォォ!?!?」
するとその熊は苦しみ出し、動かなくなった。
えー、何あれ、毒?
「さて、隠れてるんだろ?出て来い」
そして彼はそう言って僕が隠れてる方向を向いた。
やばっ!気付かれてた!
とりあえず弁解しよう。
「え、えーっと僕は怪しい者じゃないよ?」
「いや隠れてる時点で十分怪しいだろ」
くっ弁解失敗だ。
とりあえずこの数日で考えた僕の設定を話そう。
「実は僕は亜人のソロプレイヤーなんだ!」
そう、この設定なら大丈夫、矛盾しない筈だ。
因みに僕がソロプレイヤーの存在を知ったのはこの間の事だ。
僕達の集落に一人の男性が現れた。
まあすぐに世界樹さんに怪しい者が居たって言って捕まえちゃったんだけどね。
そして僕達がその人を見に行ったら、
「あ?この俺様を捕まえるとはいい度胸ってこいつらまさか魔物プレイヤーか?」
そう言って来た。
正直情報を与えるつもりはなかったんだが、与えてしまったからにはこっちも何か情報をゲットしないとと思い、質問した。
「あなたは何者?」
「あ?俺様か、俺様はソロプレイヤーだ。カッケーだろ!」
するとソロプレイヤーという事を言って来た。
うん、単独で動くプレイヤーいるんだ。
けど、そうなるとこれ以上の情報は望めないな。
自分だけが知ってる情報何て殆ど無いだろうし。
そう考え、情報を洩らさない為にもこいつを殺す事にした。
「あ?まさか俺様を殺す気か?止めろ!」
命乞いをして来たが、僕は復活するのに何で?という疑問しか沸かなかった。
今までも魔物を何匹も殺して来た。
それと何ら変わらないと。
昔だったら命乞いされたら殺さずに逃がして居ただろうか。
分からない。
考え方が変わって来てる事も自覚しているが、そう考えてしまう。
だが、まさか将来この事によってあんな事になるなんて僕は思わなかっただろう。
………………………
……………
……
っていう事があったんだよね。
その時に僕は閃いた!
ソロプレイヤーってスパイになる時に使えないかってね。
ソロプレイヤーなら知ってて当然の情報も知らなくても怪しまれない。
まさにうってつけじゃん!
で、身体が完璧に人間なのに亜人だって言った理由は結構前に何か人間は仙力に魔力から変質出来るって知ったんだ。
たけど僕の力は魔力。
これだと人間として潜入した時に仙力を使え無いってなってバレる。
そこで亜人だ。
亜人は魔物と同じように力が多種多様だって掲示板にあった。
つまり亜人として潜入すれば魔力を使っても怪しまれない!
スパイになるって決定した時には亜人として潜入しようってすぐに決まったね。
これで矛盾点が無い筈!
どうだ!
「へー、ソロプレイヤーか。で、何で覗き見してたんだ?」
「あ、えーっとそのー」
あー!そこまで考えて無かったよ!
「じ、実は最近になってソロはキツイという事に気付いて村に行こうかなーって思ってて」
「だからとりあえずがむしゃらに進んで」
「それで君を見つけて、付いて行ったら村に行けるかもって思って覗き見してたんだ」
うん、咄嗟に考えたにしては良い言い訳だ。
「なるほど、まあ、それなら筋が通ってるな」
よし、成功だ!
「しょうがねぇ、とりあえず付いて来い、村まで案内してやる」
おお!これで村に行ける!
今度は村でどんな事をしてるか調べないと。
……………………………
…………………
……
「さて、ここが村だ」
あれから数時間と歩き、漸く村に到着した。
外見は僕達の村と殆ど変わらず簡素な柵と家が見えた。
「おーい、その連れてる嬢ちゃんは何だ?」
え、嬢ちゃん?………あ、ずっと男って知って貰っていた生活してたからすっかり外見の事忘れてたよ。
「ああ、それが…………」
「……………って訳なんだよ」
「なるほど、じゃあとりあえずお前さんはこっちで鑑定させてくれ」
?鑑定ってスキルの事?
ずっとレベルが上がらなかったからどんなものか分からないんだよね。
普通に観察すればレベル上がると思ってたのに。
「あの、鑑定って何ですか?」
普通に聞こう。
「ん?ああ、確かにこのゲームの仕組み的に知らないのも無理無いか」
「鑑定ってのは…………ステータスは知ってるだろ?」
「はい」
「そのステータスを見る事が出来るスキルの事だ」
「え!?ステータスを見れる?」
ちょっとやってみよ。
ステータス
名前 ジン
性別 男
種族 仙人
職業 見習い下級仙闘狩猟師LV5
状態 普通
生命力 63/63
仙力 63/63
スキル
狩猟術LV1 回避LV1 仙力精密感知LV1
仙力精密操作LV1 仙気術LV1 見切りLV1
危機感知LV9 気配感知LV9 気配隠蔽LV9
予感LV1 解体LV9
耐性スキル
痛み耐性LV8 気絶耐性LV1
称号
ジャイアントキリング
ええ!本当に見れた!
……………弱くない?
え?何このステータス、全体的にめちゃくちゃ弱いんだけど。
「さて、そろじゃあ付いて来い、こっちに鑑定出来る人がいるからな」
「分かりました」
うーん、これが普通なのか?それとも………。
「じゃ、こいつをよろしく頼む」
「分かりました!」
そう赤髪の女性が言った。
「それじゃあ鑑定!」
ステータス
名前 イース
性別 男
種族 疑似人形生命体LV1
状態 普通
生命力 96/96
魔力 12491/12491
スキル
酸性生成LV3 粘体触手LV3 魔力精密感知LV3
精神統一LV3 魔力精密操作LV4 見切りLV2
回避LV2 創造魔法LV5 危機感知LV9
鑑定LV1
耐性スキル
倦怠感耐性LV4 激痛耐性LV1 気絶耐性LV3
種族固有スキル
万能吸収LV5
称号
賢者 魔王
あ、やべーー!!!
ステータスに完全に魔王って書いてるよ。
しかも賢者ってあの時に言ってた称号だしもう完全にバレちゃったよ!
っていうか何でさっき僕が鑑定した時は周りの人無反応だったの?
僕にこれが見えてるって事はあの時も見えてたんでしょ?
いや、こんな事を考えてる場合じゃない。
言い訳、言い訳を考えないと。
「……………おい、色々と突っ込みたい所はあるが、この魔王と賢者の称号はどういう事だ?」
ああああ、えーっとえーっとどうしようどうしよう。
「こ、この称号は魔力が1万越えた時に貰ったんだ」
よし、これなら………。
「へー、確かに魔力が1万越えた奴何ていねぇから真偽は分からねぇが、その魔力1万はどうしたんだ?」
大丈夫じゃ無かったー!
世界樹さんに回復して貰って何て言えないし。
「こ、これは実は僕のこの種族、疑似人形生命体はめちゃくちゃ燃費が悪くて特に何も無いのに魔力が枯渇したりしたんだ」
「で、枯渇する事を防ぐ為に魔力操作と魔力感知を鍛えて何とか最近になって枯渇問題が無くなった」
「でもその影響で枯渇する事が続いたから枯渇を繰り返すと魔力って増えるじゃ無いですか、それですよ」
「ふーん、なるほど」
「確かに始めて聞く種族だしそういう弱点がある可能性もある」
よし、このまま行け!
「だけどそれ以上にお前は怪しい」
くそ!失敗か?
「一先ずケイさんに連絡して許可が貰えたら入って良いぞ」
はぁ、良かった。
一先ずスパイは失敗にはならなかった。
かなりグレーだけど。
「とりあえずこの小屋でお前は待ってろ」
そう言ってボロい小屋に連れて行かれた。
結構沢山の小屋が続いてるな。
「ここは窃盗や殺しをした人を閉じ込めておく収容所みたいな所だな」
え!?そんな物騒な場所なの?
「因みに法律の機能によって出る事は出来ないからな」
いや、別に脱獄しようとは思って無いよ。
「とりあえずここには盗みをした奴がいる。気を付けろよ」
「え!?同棲するんですか?」
「しょうがねぇだろ、空きが無いんだから」
「はぁ、分かりました」
「とりあえずここに入れ」
ギィィィィイ
そう言ってドアを開けた。
中には窓の光が差し込み、中には一人の男性隅かに座っていたが居た。
「じゃ、またな」
ギイィィィィイバタン
そして彼はドアを閉めてこの空間には僕と彼だけになった。
えー、密室に二人きりってめちゃくちゃ不安なんだけど。
一応この先の話の伏線を書いたんですけど弱いかと思ったのでイースサイド2にも書きました。
………はい、かなり強引ですね。




