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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
4章 下克上
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ケイサイド10

シリアスパートです。

この世界に来てから約5年が経った。


農業は安定して来たし、鉄を使った道具なんかも新しく作れるようになった為、かなり便利になったと言えるだろう。


その鉄を取ってくる為にその鉱山への道を作ったし大分鉱夫さん達も「楽になった」って言ってた。


それに新しく作った教会のお陰で死んだら自動的にそこに飛ばされるようになり、かなり便利になった。


それに当たってか神父や僧侶といった職業が追加されたらしい。


詳しい事は知らないが、カールさんが知ってるだろう。


今度知ってる情報聞きに行こうかな。


後個人的に剣術スキルが進化して刀術になったのに驚いてる。


うん、これ刀だったんだ。


たしかに刀身が曲がってるけど実物とか見た事無いから普通に剣だと思ってた。


いや、刀も剣なんだけど。


ここ最近で一番驚いた事なんじゃないかな。


さて、今日は大分前に発覚したもう一つの村に行こうと思う。


道は分かるし、大分この村も安定して来たから交易をそろそろするのも良いかと思ったからだ。


因みにメンバーはいつも通りライ、シズクの二人とだ。


さて、もう一つの村はどれ位発達してるのかな?


そうドキドキしながら楽しみにしていたもう一つの村への訪問は、一瞬で崩れ去った。


村があると思われる場所は、阿鼻叫喚の声と多数で喧嘩し合っている姿が。


しかもそれら全ては一方的にでは無く互いに貶し合っている喧嘩。


更に近付いてみると死臭や尿の匂いが入り交じった、酷い匂いが。


ぼろぼろになった家と相まってそこはまさに世紀末。


「うっ」「何………これ」「………………」………………


そんな光景を見て俺達は言葉を無くし、俺は吐き気を催した。


とはいえあのシズクが殺された以上の衝撃では無かったが。


そんな中。


「いや、止めて」


助けを求める声が聞こえた。


そこで俺は深く考えず、すぐに悪漢の前に飛び出した。


「だ、大丈夫ですか?」


特に目立った外傷は無いが、酷い匂いがする。


何日も身体を洗って居ないのか?


俺はこの世界に来てからは最初、井戸で水を汲んで洗っていたが、今では男と女で時間制で川で洗っている。


因みに覗きは男はライルさん、女はヒシリーさんが見張っている。


「ええ、大丈夫です」


「ああん?お前、俺達に歯向かう気か?」


「ああ、俺は困ってる人を見ると助けないといられないお人好しなんだ」


ちょっと普段ではこんな事言わないから慣れて無いんだけど大丈夫かな?


「ったくケイ、こんな村でも人助けってとんだお人好しだな」


「そ、そんな風に言わなくても良いんじゃ無いんですか?」


「そうか?」


そう言って二人は遅れてやって来た。


「おいおい、お前達も俺達に歯向かうのか?」


「ちょいとお仕置きをしねぇといけねぇみてぇだな」


「無様に殺さないでくれって懇願するんだな」


そして3人は襲って来た。


けど、かなり遅かった。


本当にこれが本気なの?って位遅かった。


これって俺達が強くなったって事で良いんだよね。


とりあえず殺さないように腹パンをするか。


そうしたらその3人は気絶した。


「え!?なんで?」


「おいケイ、お前そんなに力入れてねぇよな」


「うん、なのにどうして」


「二人共、それはいいからこの人に事情を聞こうよ」


あ、忘れてた。


「ん?あ、ごめん、ほっといて」


「いえ、私は助けて貰っただけで嬉しいです」


「実は俺達他の村から来たんだ」


「それは何となく分かってました」


「そ、そう?で、俺達はどうしてこの村がこうなったのか知りたいんだけど」


「別に良いですよ」


どうしてこの村はこんな風になったんだろう。


「この村に来た当初は皆初めてのVRMMOという事で興奮して、毎日この村をより良くする為にはどうするかを話し合ってたんです」


「ですが、少しずつ悪さをする人が増えて行った」


……あの違和感の正体ってもしかして……


「それに対処する為にこの村のリーダーであるシムさんは国造りによる法律の実装をしようとしたんです」


「そして国造りは成功し、法律を作る為の城も小さな小屋ですがそれを城として法律を作ろうとした」


「だけど、法律は作れなかった」


「法律を作る為には大多数の人間による承認が必要だ。すなわち、手遅れだったって事だな」


そう、ライさんが言った。


そしてその時、俺はある事実に気が付いた。


「はい、それからシムさんはどうにかしようと悪さをする人を注意したりしたんですけど、少しずつ少なかった良い人は居なくなり、時には悪人になった」


「そして村人達はその悪人達の争いに巻き込まれてかなり減った」


「そして今、殆どの人が悪人で、騙し合い、殴り合い、時には新しく実装された性器による強姦(レイプ)


そう言って周りの人を指した。


裸なのに皆生気が無く、上の空だ。


そして俺は今、重い責任を感じている。


「すまない、この事件は俺の責任だ」


「え!?」「どういう事?」「説明しろ」


「俺は数年前から小さな違和感を感じていた」


「その正体は悪行をする人が少しずつだが少なくなっていた事だ」


「もしかして!」


「ああ、悪さをする人が増えた一つの要因は俺の住んでる村から悪さをする人が移動したからだろう」


「だけど村のプレイヤーこ人数がそれほど変わら無い事からそこに住んでいた良い人はこっちにいる」


「………………そう」


「この事件に確実に俺が違和感に気付けなかった事が関わってる」


「いや、それは俺達も一緒だ」


「そうね、私達も気付けなかった」


これは許されざる罪だ。


それにこれは逆に俺にも起こりうる可能性があった事で、今回は偶々こうなっただけだ。


そう考えると堪らなく怖い。


こんな大変な事が知らぬ間に起きてたなんて。


「いえ、もうそれはいいわ、私をあなた達の村に連れて行って」


「え!?シムっていう人は?」


「あの人は結構な人に慕われてたのよ、考えなら読めるわ」


「どうせあの人はここに残るって言ってどこまでも足掻くのよ」


「この村をこんな風にした責任を感じてね」


「だから私はそんなあの人が責任を感じている要因の一つである私が居なくなって楽にさせてあげるの」


「まあ、それは建前でただ私はこんな村からはおさらばしたいだけよ」


そう言っている彼女の顔はどこか寂しげな表情をしていた。


「分かった連れて行こう」


今ここで俺に出来る事は何一つ無い。


なら出来るようになってからこの村を助けに来よう。


ごめんなさい、シムさん。


もう少しだけ待っていて下さい。


そう、心の中で思いながら俺は村へ帰って行った。

これが現在のケイのステータスです。


ステータス


名前 ケイ

性別 男

種族 仙人

職業 見習い中級仙霊闘剣士LV5

状態 普通

生命力 73/73

仙力 73/73

スキル

刀術LV2 回避LV2 仙力精密感知LV2

仙力精密操作LV1 斧術LV2 仙気術LV2

見切りLV1 精霊術LV8 変質LV9 危機感知LV9

予感LV1 解剖LV2

耐性スキル

痛み耐性LV8 気絶耐性LV1

称号

勝利の立役者 ジャイアントキリング

九死に一生を得た者 勇者 聖者


この違和感の正体はあんまり話に入れて無かったので気付かなかった人も多かったと思います。

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