イースサイド10
この世界に来てから約5年。
「あ、あー、あー」
「成功した?うん、成功だ。やったやったやったーー!!」
ついに僕も人化が成功した。
因みに服は魔力で出したジャージだ。
元の世界でいつも着てたからね。
「お、イース、漸く成功したか」
そこには黒髪で少しおどらおどろしい雰囲気を纏った青年が立っていた。
「うん、漸く成功したよ、ナイト!」
ナイトだ。
「えーっとイースって本当に女の子じゃないのよね」
そしてもう一人、どこかミステリアスな雰囲気を纏った女性が立っていた。
「うん、そうだよ、ミル!」
ミルだ。
さて、この問答で分かっただろう。
僕はいわゆる男の娘と呼ばれる人種だ。
昔からそれの影響で友達と言える人がほとんどいなかった。
それ所か…………いや、今それを考える事じゃないな。
「どうかしたのか?」
「大丈夫?」
今こうして心配をしてくれる友達がいる。
それだけで過去を忘れられそうだ。
「うん、さあ、人間達に遅れをとらないように遅くなったけど国造りを始めよ!」
「そうだな」
「うん!」
今まではリーダーである僕が中々人化出来なかったから国造りを勝手に進められなかったらしい。
とりあえずまだ人化出来て無い魔物もいるけど人間側に遅れをこれ以外取らないように先に国造りをさせて貰おう。
『魔物プレイヤー達はワールドクエスト【国造り】を開始した』
「うわっ!」
「世界樹か!?」
「何!?」
…………ああ、これが人間プレイヤー達が言っていたクエストか。
そういえば「国造りするぞー!」って言ってから本格的に動いたりしてないな。
だから今きたのか。
皆も同じ結論に達したのか落ち着き始めている。
「とりあえず皆を集合させてそれぞれの役割でグループに分けて国造りをしようか」
「お、それは良さそうだな」
「そうね」
「おーーーい!皆ーー!集まれーーー!!」
「お、なんだなんだ?」「何かしら?」……………
「これから皆で国造りを開始するんだけど、住居、農業、後その他でグループに別れて何が必要か話し合ってくれ!」
「なるほど!」「了解だ!」…………………
「じゃあ開始だ!」
さて、その間に僕はあれをしようか。
『ほ、ほどほどによろしくな』
世界樹さんにもそう言われてるし頑張らないと。
創造魔法、切断を創造!
スパッ
ふぅ、とりあえずこれで一ヶ所の木は切れたな。
もう全ての魔力使っちゃったよ。
多分人化の影響で多少魔力への適性が少なくなってる影響もあるんだろうな。
この切断を創造っていうのは切るっていう結果を造ったんだ。
だから風を作って切ったとかの理由はあるだろうけど結果を確実に現実に出来る魔法だ。
だから生き物に使うとそこら辺にいる蛇とか兎とかでも同じ位消費するだろう。
その結果に至るまでの過程が難しいから。
正直普通に魔法使った方が効率良い。
え?何で使わなかったかって?
風系の魔法で切断系は使え無いんだよ!
使う時にはかなりの高気圧と低気圧を作るから周りを巻き込むらしいし!
というか風系の魔法は竜巻とか押す系統が多いんだ!
魔法大全でも切断を風でするにはかなりの魔力と魔力操作能力が必要って書いてあったし。
それだったら普通に切断しない方が楽なんだよ!
でも今回火とかで燃やすのはダメだし、木がもったいないからこの方法を使った。
とりあえずこれを全方向に向かってやって、住む所とか必要な設備を作れる用にしないと。
切った木は何かに使うだろ。
「よし、頑張るぞー!」
……………………………
…………………
……
「はあ、終わったー」
結構広くて時間が掛かったなぁ。
木を切るだけじゃなくて残った切り株の処理とかしてたら時間掛かっちゃったよ。
よし、じゃあ今度は皆が話し合っていた内容を聞いて作って行くか。
まずは農業から。
「農業グループ、必要なものは分かった?」
「ん?ああ、農業をしてたっていう人が居てな、直ぐにまとまったよ」
「何何?」
「まずはこの土地を耕す為の鍬と、後種があれば一先ず何とか出来るらしい」
「分かった、鍬はここに出しておくから種はどうする?」
大体20本位で良いかな。
鍬出ろー!
「うわっ!えーっと種は一先ずカブと大根で良いかな、この土地で初めてだし成功するか分からないから」
「了解!」
えーっとこれはそれぞれ10個ずつで種出ろー!
「とりあえずこれで大丈夫?」
「あ、ああ、上手く育てられたらもっと頼むからよろしく」
「分かった!よろしくね」
よし、次は住居とその他か。
じゃあ次は住居に行こっか。
「おーい、住居組!どんな感じ?」
住居組にはナイトとミルがいる。
「そうだな、住居はこの魔物プレイヤーに一つずつと計算した結果約5万必要だ」
「5万かぁ」
正直数が多すぎてよく分からない。
っていうかそんなにここにプレイヤーいたんだ。
「そうなるとかなりの資材が必要になるからそこはイースに頼んだわ」
「ええ!?一応周りの木を切ったのあるけど」
そう言って木材の山を指指した。
「ああ、あれか。恐らくあれだけじゃ全然足りない」
「それに沢山木を切ったら世界樹さんに迷惑掛けちゃうでしょ?」
「うう、分かったよ」
一応家を魔力で作るっていう事は出来る。
だけどなんかめちゃくちゃ多分魔力掛かるんだよね。
複雑な物を造る時は僕の思考を深く読む為に魔力を使ったりするみたいでね。
だからその事情を知ってるナイトとミルは「木材を生み出して建築する方が効率的だ」と思ってそう言ってくれたんだろうけど。
ずっと同じ木材を造るだと飽きちゃうよ!
その分新しい魔法とか使ったり出来る時間も減っちゃうし。
「はぁ、あ、そういえば建築はどうするの?」
「そういえばそうね」
「ああ、それについては大丈夫だ。世界樹さんが教えてくれる」
世界樹さんが!?
「え、でもどうして世界樹さんが建築知ってるの?」
『ほっほっほ、わしは樹を切る輩が何の為に切ってるかを観察したりしてたからの、それに関しては詳しいのじゃ』
なるほど、じゃあ住居は大丈夫そうだね。
かなり造り終わるのには時間が掛かりそうだけど。
さて、それじゃあその他グループに聞きに行こうか。
「おーい、その他グループは何かあった?」
「あ、イースさん」
「どう?」
「そうですね、まず私達はどうやってこの国をより良いものにするかを話し合いました」
「そして、人間の国へスパイとして潜入するのはどうかという話になりました」
「え、そういう事を話し合ってたんだ」
てっきり僕は住居の他に何の建物が必要かとかを話し合ってるのかと思ったけど。
「それで誰が潜入するかを決めようとしてたんですけど………」
……………そうだ!
「それ、僕がやって良い?」
「え、イースさんがですか?」
「うん!」
一回スパイ映画見た時から「やってみたいなー」って思ってたんだよね!
「そ、そうですか。リーダーが行くのはどうかと思いますがまあ、良いでしょう」
「やったー!」
「とはいえ一先ずこの国をある程度発展させてからですね」
「あ、そうか。じゃあ、楽しみにしてよっと!」
「とりあえず現在決まってる事を進めようか」
数年後………
住居は全員分完成した。
うん、どれも質素だけど十分なものだね。
建築と資材の創造は結構大変だったけど。
農作物は最初の作物がしっかりと順調に育ったから今じゃかなりの畑が広がってる。
柵でこの周りを囲って門番も付けてみた。
因みにその魔物は鹿の魔物で、解力っていう力で身体とか力を解析出来るらしい。
だから出て行った人の力を解析して記録を紙に書いてスパイが入らないようにしている。
因みにその紙とインクは僕が出した。
でもそんな力だったから結局人化出来なかった。
だから「そんな私達でも活躍出来る場を!」って言って来たから門番を任せた。
鹿の魔物も数匹いたし、交代制でね。
うん、紙に書かれた記録を一回見たんだけど字がめちゃくちゃだった。
いや、人化出来なかったんだから蹄で書くしか無いのは分かるよ。
だから字がめちゃくちゃなのはまだいい。
問題はその解析した時の力とかをなんか丸っぽいとかドゲトゲしてるって抽象的に書いてるんだ。
鹿さん達が分かる表現でも僕には分からなかったなぁ。
ま、まあ、僕は力を感じれるけど詳細は分からないからとやかく言えないよね。
とりあえず鹿さんについてはこんな感じだ。
因みに僕達は農業や訓練等を交代でやってる。
やっぱりここは公平に仕事をしないとね。
大分安定して来たという事で今日はついにあの時がやって来た。
スパイとしての潜入だーー!!
いやー、知らされた時から今日までめちゃくちゃドキドキして夜も寝れなかったよ。
「それじゃあ行って来まーす」
「「「行ってらっしゃーい」」」
沢山の魔物に挨拶をして僕はこの村を出た。
これがイースの現在のステータスです。
ステータス
名前 イース
性別 男
種族 中級賢魔吸闘粘体(幼体)LV9
状態 普通
生命力 86/86
魔力 5497/5497
スキル
酸性生成LV2 粘体触手LV1 魔力精密感知LV2
精神統一LV2 魔力精密操作LV2 見切りLV1
回避LV1 創造魔法LV4 危機感知LV8 鑑定LV1
耐性スキル
倦怠感耐性LV2 痛み耐性LV9 気絶耐性LV3
種族固有スキル
万能吸収LV5
称号
賢者 魔王
魔力がめちゃくちゃヤバい事になっています。




