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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
4章 下克上
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ケイサイド7

闘技大会が終わってから数日が経った。


それでもいまだにログアウトが出来てない事から優勝者であるレンはログアウトを望まなかったのだろう。


ログアウト出来るかもしれないという期待からの落胆は大きかったようで、活気が無くなっていた。


俺も同じだったが、ライさんが、


「今回失敗したなら次同じ失敗をしない用に努力しろ。項垂れているだけじゃあ事態は解決しない」


と、励まして?くれたお陰で今現在の問題を解決しようと動いている。


その問題とは食事だ。


いや、食糧が足りないとかではなく、味がない事への不満だ。


この世界には元々塩、胡椒等の調味料は希少だったがあったらしい。


だが、元々辺境の村という事でそういった調味料は持っていなかった。


そして天変地異が起こり、調味料を造っていた国は崩壊し、調味料の作り方も闇の中といった感じだ。


俺もマヨネーズ等の一般的な調味料の作り方とか知らない。


だが、それらの原材料すらこの村にない。


となると必然的に味が無くなり、素材をそのまま楽しむ事になる。


最初の方はそれ以外の事を気にしていた為気にしてはなかったが、最近になり、その不満が爆発した。


だから俺は僅かな希望に掛けて出発する事にした。


()()()()()


え?何で亜人の村の場所を知ってるかって?


そんなの勿論報酬で聞いたんだよ。


いい加減亜人達と合流したかったからね。


まあ、それがこんな事をきっかけに行く事になるとは思わなかったけど。


さて、それじゃあそろそろ出発するか。


「シズク、ライ、行くぞ!」


「ああ」「はい」


そして俺はシズクから武器を受け取った。


そう、シズクが報酬で貰ったのは俺達の武器だ。


なんでも俺達が成長すると、武器も強くなるらしい。


因みにシズクは杖でライは斧だ。


シズクの杖はどんな影響があるのか分からないし、何故ライが斧だったのかもよく分からない。


まあ、今気にする事ではないな。


「おいケイ、こっちで合っているのか?」


「ああ、亜人の集落はこっちだ」


聞いた時についでなのか周辺の情報も貰った。


あの大きな木には魔物の集落。


で、その反対側があの猪がいた所だ。


そして、その方角を北としたら東側に亜人の集落がある。


因みに北西にもう一つの集落があり、西には海があるらしい。


まあ、今は関係ないな。


その後襲って来る魔物を返り討ちにしながら夜営を数回し、漸く着いた。


「ここが、亜人の集落か」


そこには俺達の集落との差が殆ど無い集落があった。


「おい、人間がやって来たぞ」


「とりあえずプレイヤーか聞いてみろ!」


「分かった。お前達はプレイヤーか?」


これは…………馬?の亜人が聞いてきた。


「あ、ああそうだが」


「とりあえずリーダーを呼べ!」


「カールさんこっちこっち」


そう言って彼らは一人の青年を連れて来た。


「やあやあこんにちは、我の名はカール。君達の名前は?」


「俺はケイだ」


「ライ」


「シズクです」


「おお、君がライか、それならば我の事を知ってるな」


「ああ、そりゃあしょっちゅう話してるからな」


?ライと知り合い?どういう事だ?


「そうとも、まあ、立ち話はこれ位にしてとりあえず我の家に招待しよう」


「は、はい」


そう言ってひときわ大きな家に案内をしてくれた。


「ここが我の家だ」


造りとしてはこっちとあまり変わらないな。


「あら、あなたお帰りなさい」


あなた…………あなた!?既婚者!?


え、このゲーム抽選だよね、あれ?


「ああ、ただいま」


「あの、二人は夫婦なんですか?」


「ああ、そうだ」


「あれ?このゲーム抽選じゃなかったっけ?」


「どういう事だ?」


「まあ、それはちょっとしたコネがあってね」


コネ?待って、今めちゃくちゃ混乱してる。


「とりあえずお昼だしご飯を食べる?」


「い、いえ、迷惑でしょうし」


「じゃあちょっと味見をしてくれないかしら」


そんな誘い方あるか!?


「じゃあお言葉に甘えて」


こう言うしかないじゃないか!!


「じゃあちょっと作って来るから待っててね」


「分かりました」


「はーい」


「分かった」


はあ、上手い事言いくるめられたな。


「どうだい?我の奥さん、才色兼備、八方美人とはまさにこの事だろう?」


確かに綺麗だったけど、この世界のプレイヤー大体顔変えてて美男、美女しか居ないんだよなぁ。


そういう俺も大きくは変えて無いけどそうだし。


でもそう言うって事は現実とはそう変わらないって事か。


でも才色兼備って………。


「まだ何もされてないのでなんとも」


「ああ、そうだったな、料理を食べれば認めると思うぞ!」


そんなに凄いのか?


「完成ね」


そう言って料理を持って来た。


これは……………。


そこにあったのは現代の食事とそう変わらない姿だった。


「い、いただきます」


「どうぞ」


パクっ


「…旨っ!!」


この味は現代の一般的な料理を上回ったまさに高級レストランに出されるレベルの料理だった。


「そんなに美味しいの?私も!」


パクっ


「美味し!!」


パクっ


「これは旨いな」


それにしてもこんな味を出すなんて調味料が必要な筈だ。


「あの、どうやって調味料を?」


「ふふ、それはね、私の旦那さんが天才だからよ!」


……………天才?


「あの、どういう事ですか?」


「そうだな、詳しく言うと我は現実では薬剤師をしていたのだ」


あれ?天才の意味は?


「我は薬作りの天才と呼ばれていた」


「既存のものより優れた薬を簡単に造り出せ、薬草の効能は少し確かめれば分かるといった感じだ」


え!?それってかなり凄くない?


……………ちょっと待って、その人物に心当たりがあるんだけど……


「も、もしかしてあなたって」


「闇薬師、古里(こざと) 洋平(ようへい)か」


古里洋平、その名前は日本人なら殆ど知っているだろう。


麻薬の原材料を大量に購入し、それらを麻薬として造り出し、世界中にばらまいた大犯罪者。


昔は数多の画期的な薬を造り出し、沢山の人々を救った偉い人だとニュースで報道されていた。


「もしかして…………この料理の中にも?」


「え!?」


カールはニヤリと笑ってこう言った


「はははっそんな訳ないだろう?」


おちゃらけた感じで言ってるが、俺は警戒を解けない。


テレビであれほど危険だと言われていた人が目の前にいるのだから。


「……………はぁ、ケイ、警戒を解け!」


「ら、ライさん?」


「このまま固まっていても一向に事態は解決しない」


「それどころか時間の無駄だ」


それは事実であり、俺達は問題を解決しに来た為、余計な時間を使うとその問題が更に悪化してしまう恐れがある。


とりあえずその事実を頭の隅に置いておく事にした。


「さて、落ち着いたかな?」


「はい」


「それで、君達は何をしに来た。偶々ここに来たという訳ではないだろ?」


「俺達はある問題の解決の為にここを目指して来ました」


「その問題とは?」


「味です」


「は?味?」


「はい、今いる村には調味料となるものがなく、味が一切無いのです」


「それ、本気で言ってるのか?」


「はい」


「調味料だろ、そこら辺にある草花で簡単に作れるだろ?」


「いえ、あなたみたいに簡単に草を見分けたり出来ませんので」


「…………はぁ、まあ良いだろ、それで?君達は対価に何を出す?」


「た、対価………」


カールさんの好きなものなんて知らないし………。


「そうだな、情報なんてどうだ?」


情報?この人かなり賢いのに?


「して、何を教えるんだ?」


乗り気だーー!!


でも、そんな情報あるのか?


「そうだな、魔力を別の力に変える方法なんてどうだ?」


「魔力を別のものに?ふむ、興味深いな。聞かせてくれ」


「ああ、魔力を…………………」

……………………………

…………………

……


「なるほど、これはかなり良い情報だな」


「それでは我等はお主等の集落に住む事にしよう」


「え!?いえ、調味料の作り方を教えて貰えるだけで良いんですが…………」


「いや、お主等の村の住人からも情報が得られそうだからな、我等亜人プレイヤーはお主等の拠点に住まう、決定だ」


「いや、そういうのは他のプレイヤーとも話し合って決めた方が」


「何、他のプレイヤーは我に恩があるからな、別に許可をとらずとも決定できる!」


「ふふふ、主人はこう言ったら聞かないのよ」


このレインというプレイヤーも謎だ。


確か里山洋平は結婚してなかった筈、なら彼女は一体……


「カールさん、何を話してたんすか?」


そうこう考えていると、これは…………猫だな………の亜人がカールさん話し掛けた。


「ああ、これから皆に発表するから聞け!」


「我等亜人プレイヤーは、今日訪ねて来た人間プレイヤーの集落に移住する事にした!」


「恐らく向こうも住居の準備が必要だろうから、一週間でここを更地に変え、必要な物の準備をしろ!」


「「「はい!」」」


そう彼らに一声を浴びせると、各々が素早くその準備をしていった。


「凄い…」


「ああ、どうやらこいつはこの世界では立派な長みたいだぞ」


「凄いわ…」


俺も恐らくこの流れで行くといずれ長、いや、王になる。


それについてはもう気にしては居ない。


だが、いずれそうなる場合に俺はきちんと皆を率いる事が出来るのだろうか。


そういう不安を抱えながら亜人の集落への旅は幕を終えた。

……………………………

………………

……


一週間後…………



かなり時間が無かったが、何とか住居の建築を終えた。


そして、今亜人の集落にいる。


あの時に言った通り、一週間で片付けを済ませたみたいだ。


しっかりと更地になっている。


その後の住居への案内も無事に終わり、特にこれといった問題は無かった。


だが、何か違和感があった。


この村の住人が少し減ったか?


いや、それだけじゃない気がする。


結局いくら考えても何も思い付かなかったので、その考えは暫くすると忘れてしまった。

これが現在のケイのステータスです。


名前 ケイ

性別 男

種族 仙人

職業 見習い下級仙霊剣士LV5

状態 普通

生命力 45/45

仙力 45/45

スキル

剣術LV6 避けLV6 仙力感知LV6 仙力操作LV5

斧術LV2 仙術LV6 予測LV6 精霊術LV2 変質LV1

耐性スキル

気絶耐性LV1 痛み耐性LV3

称号

勝利の立役者 ジャイアントキリング

九死に一生を得た者 勇者 聖者

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