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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
3章 闘技大会
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ケイサイド6

闘技大会が開始してから数時間が経った。


やっぱり必然的に人間を殺す事になったが、やはり盗賊を相手にするよりかは気が楽だった。


盗賊を相手にすると倒したら相手はもう人生に幸が訪れないだろうと考えてしまうのだ。


だが、今回はイベントでいずれ復活すると分かっていても殺す事に罪悪感を覚え、死体を見ると吐き気が込み上げてしまう。


いずれ慣れるのだろうか。


だが、今はそんな事を言ってられない。


魔物プレイヤーと相手をしているんだが、めちゃくちゃ強いんだ。


今までの魔物プレイヤーも総じて強く、簡単には勝てなかったが格が違うと言えば良いのだろうか。


この鬼は力が強く、体力がある。


このままではいずれ体力が尽きて負ける事になるだろう。


だからこそ切り札を切る事にした。


タイミングを見極めて……………ここだ!


テッテレ~

『ケイの回避スキルのレベルが3になった!』

『ケイの予測スキルのレベルが3になった!』


そこで俺は仙術を使った。


仙術は自分の身体だけにしか機能しないが、自分の身体なら何でも出来ると言っても過言ではないだろう。


その中でも俺は身体強化を使った。


身体強化は単純明快、筋力を上げる技だ。


とはいえ侮れるものではない。


大事な場面で筋力を上げれば致命傷をおわせる事が出来る。


ただ、欠点としていきなり筋力が上がっても身体が対応出来ず、かなり技術が拙くなるのだ。


これは慣れれば対応出来るようになるだろうが、仙術を使い初めたばかりの俺にそんな事は無理だ。


これでも練習したんだけどなぁ。


それにしても重い剣を使う理由が分かった気がする。


仙術を使う時には技術が拙くなる。


すると必然的に避け易くなる。


それでも少しでも傷を付けられれば重さで一気に切る事が出来る。


まあ、皮膚や毛が固くない相手だと意味が無いんだけど。


つまり結局この術は使うタイミングが大事って事だ。


タイミングをミスすれば確実に負ける。


まさに諸刃の剣。


更に欠点はそれだけじゃなく、かなりの筋肉痛に襲われる事になる。


一回やった時もかなり辛かった。


そんな技をこんな序盤に使わされるとはね。


そう思わずにはいられない。


例え勝ててもイベント中はずっと筋肉痛に襲われるだろう。


だが、その鬼はそれで終わらなかった。


腕を一本犠牲にして致命傷を防いだのだ。


「なっ!」


その腕は見るのも躊躇われる程ズタズタになっていた。


だがそれを見た鬼は痛がる素振りを見せず逆に恍惚した表情で俺を見ている。


その目はあまりにおぞましく、残虐な目だった。


だが、その鬼は逃げて行った。


「何だったんだ?」


そう思うのもつかの間。


近付いて来た人間をいきなり襲ったのだ。


あまりに予想外の光景で呆然としていると、予想外な行動はそれだけで収まらなかった。


なんとその人を興奮した表情で食い始めた。


ぐちゃっぐちゅっ…………。


その様子を見ていたのか、熊が不意討ちを鬼にして来た。


だが、その熊を気にも止めずに一撃で仕留めた。


明らかに力が上がっている。


だが、現実味のない光景が目の前に広がっており、恐怖で俺は動けなかった。


そうして俺が呆然としている間にあっという間に人間を一人平らげて、話し掛けて来た。


「ふぅ、ああー美味しかった。やっぱり人間の肉はうまいわ」


「じゃあさっきの続き、しましょうか」


「何故いきなり話し掛けて来た」


だが、思ったより冷静だったのだろう。


そんな事を質問した。


「そんなの貴方が美味しそうだからに決まってるじゃない」


「美味しそう?」


「そう、貴方が美味しそうだからこそ関係を少しでも深めて食べたいの」


そう言う度にどんどんさっきまでの傷が癒えていく。


「貴方が強いのがいけないのよ」


「あんなに傷を付けられたのは初めて、だからこそ食べたいの」


「狂ってる」


「そうね、自覚しているわ」


「でもやっぱり愛しい人は食べたいと思ってしまうの」


「貴方は大人しく私に食べられるのよ」


「抵抗しないとでも思ってるのか?」


「いえ、勿論抵抗するでしょうね。けれど強化された私をさっきまでギリギリ上回っていた貴方が勝てる筈がない」


「くっ」


痛い所を突く。


確かに仙力はもう2/3しかないし、筋肉痛も凄い。


「だが、それでも俺は諦めない!」


「それでこそ私の愛した方だわ。さあ、死合いをしましょう」


そう言って殴りかかって来た。


「くっ」


これは仙術を使うしかない。


身体強化!


「ふふ、速くなったけど隙だらけよ」


あいつらが来るまでの辛抱だ。


そう思っている間にも傷は増え、もう満身創痍だ。


痛みはもう麻痺し、感じない。


「私はサディストじゃなくて食人鬼よ」


「さっさと殺してあげるわ!」


その時!


「大丈夫かケイ!」


「大丈夫?」


ライとシズクが現れた。


あの鬼と会話をしている間にこっそりチャットで助けを呼んだんだ。


「大丈夫って言いたいけど無理…………」


「貴方達私の食事の邪魔をするなんて……………貴方達も美味しそうね」


「ケイ君を傷付けるなんて許さない!」


「こっからは俺達が相手だ!」


「うーん、貴方達を食べたいのは山々なんだけどそんなに私も暇じゃないの」


「もっと色んな人を食べたいからまた合ったら食べる事にするわ」


「流石に残りの二人を相手にするのは時間が掛かりそうだからね」


そう言って逃げ出した。


幸い俺は残った仙力で自己治癒が出来、生き残れたのは良いがやはり怖かったのか立てなかった。


「あんなにおぞましい人には初めて会った…………」


「ケイ、過ぎた事を考えてもどうしようもない」


「そうよ、ケイ君に手を出した奴から今度は私が助ける」


今度は…………まだあの事を気にしているのか。


「ケイ、今度は俺達3人で行動しようぜ」


「分かった」


そうして俺達は3人で行動する事になった。

これが現在のケイのステータスです。



名前 ケイ

性別 男

種族 仙人

職業 見習い下級仙霊剣士LV3

状態 普通

生命力 43/43

仙力 43/43

スキル

剣術LV5 避けLV5 仙力感知LV5 仙力操作LV4

斧術LV2 仙術LV4 予測LV3 精霊術LV2 変質LV1

耐性スキル

気絶耐性LV1 痛み耐性LV3

称号

勝利の立役者 ジャイアントキリング

九死に一生を得た者




いやー、初の狂人が現れましたね。


これからもちょくちょく現れると思います。

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