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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
終章 サービス終了
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戦争開始

『それでは最終イベント、『終末戦争』が開始します』


深夜12時の真夜中に、そのアナウンスが鳴り響いた。


そしてそれと同時に大量の何かが闇に紛れて動き始めた。


しかしそいつらは同時に行動を停止した。


「よっし!一体仕留めたぜ」


「こっちは三体だ。以外と弱いなこいつら」


「これってもしかして確定勝利イベントだったりするのかな」


口々に大量のプレイヤーがそう言葉をあげると共に、次々と闇人を仕留めていく。


……なるほど、このレベルならまだまだ仕留められるのか。


じゃあこれはどうだ?


そう考え、先程まで手加減していた闇人の分身の制限を緩める。


「なっ、こいついきなり強くなりやがった」


「以外とやるな、だが、まだまだだ!」


そう主張するプレイヤーの言葉を聞きながら、ひとまずこれで良いかと納得する。


そしてそれと同時進行で彼らを探す。


イース、ケイ…そいつらの所在を。


一番危険なのはそいつらだからな。


数多のプレイヤーを操る事が出来る彼らがどんな作戦を作って来たか。


それが大きな問題だ。


俺は始めに生み出した気体の闇人を生み出す。


そして各地にばら撒いた。


これでひとまずの情報を手に入れられれば、なんだがな。


そう思案していると、気が付くと一気に闇人が攻め落とされていた。


あれ?さっきまで苦戦してたよな?


ケイやイースが何かを手助けしたか?


そう考え、周りを見渡すが、そんな様子はない。


……!あれか!


目を凝らすと、それぞれの武器に魔回路が設置されているのが見える。


闇人になったお陰か、こんなものも見えるようになったんだな。


魔回路となると…ストロマか。


一応プレイヤーを統べる王様だからNPCなのに協力してる…といった感じか。


そう納得しつつ、俺は生み出す闇人を強化する。


最大限まで強化した闇人を放り込むと、次々にプレイヤーがやられていく。


これで少しは時間稼ぎが出来るか。


そう考えるが、すぐにそれを覆された。


ナイトとミルの姿が見える。


……なるほど、ここまで予想済み、か。


自力で劣り、倒されていくプレイヤーに対応する為にナイトとミルを使って対応させる。


とはいえこれではプレイヤーが死ぬのは仕方ないものと言っているようなものだ。


作戦を考えたのは……イースかレインさん、かな。


それにしても…探索用の分身体が何かを見つける気配もないしな。


こっちから先に…仕掛けるか。


そして俺は、俺に協力すると言ってきた彼女の寄生を解除する。


「あら?動けるようになったわね。……出番って訳かしら」


ああ、頼んだぞ。


そう心の中で返答しながら、彼女を地上に下ろしていく。


そして次々と闇人に紛れてプレイヤーを狩っていく。


さて、どうする?プレイヤーの諸君。


鬼が現れたぞ。




その光景を見ていたイースは、非常に焦っていた。


この戦争ではケイの働きが非常に重要になっていく。


そしてそのケイが役割を果たす為には注意を引かなければいけない。


その為の地盤を作っていたというのにこれは…


顔を顰めて、考える。


どうするべきかを。


「俺が出る」


「私が行くわ」


すると、後ろから二人の声が聞こえた。


ライとサキだ。


ライは彼女を確保する為。


サキは姉妹であるゆみを救う為、か。


確かにこの作戦では彼らはもしもの為の戦闘要員。


中心として活躍してもらう作戦には入ってはいない。


しかし、もしもの事を考えると…ここで失って良い二人ではない。


……でも、このままではいけないな。


「ライ、サキ、二人で彼女を殺して来てくれ」


「だけど、それだけで終わらせないでね」


そう言うと、ライはしっかりと返事をし、そしてサキは理解が出来ない様子で彼を見る。


「それじゃあ、ゆみの対応は任せたよ」


そう言うと、二人は走り去って行った。


それについて行くようにあの執事さんが走り出す。


「ねぇ、あの言葉って…俺の情報、だよね」


「うん、しっかりと活用しないとね」


そうサイルに話しかけられ、答える。


闇には当然今までの魔物の能力と同じく特性が存在する。


変幻自在な物質であり、生物が取り込むとその生物の性質を大きく変える。


しかし、それだけではなかった。


闇の弱点、それは…




「あら、久しぶりね」


「ああ、そうだな」


血塗れの彼女は、ライに向き合って話した。


数多のプレイヤーを殺した事をものともせずに。


明らかに彼女の性格は破綻していた。


「それで、私を逮捕するのかしら」


「逮捕っていうよりかは確保、だな」


「ふふ、あなたに出来るかしらね」


そこまで言うと、何かに気付いた様子で彼女は彼に視線を向ける。


「あなた、私と同類?」


「いえ、私はもう足は洗いました」


彼女にそう答える執事は、少し俺たちから離れていく。


「そして最後に…サキ」


視線を向けられた彼女は小刻みに震えながらも、彼女へとしっかり視線を向ける。


「お姉ちゃん、絶対に戻してみせるから」


「………」


そう主張する彼女を見て、ゆみはため息をつく。


「はぁ、そんな事まだ言ってるの?」


「あなたと違って()()()()()私を変える事なんて不可能よ」


「………絶対に諦めない」


「そう、好きにすれば良いわ」


彼女はそう言うと、すぐさま短剣を携えて襲いかかって来る。


避けつつ斧を振りかぶるが、俊敏な動きでかわされる。


その隙を見計らって攻撃をするが、それを見越したかのごとく、彼の執事がその攻撃を防ぐ。


その最中、サキは転がってる死体を食い漁り、身体強化をしていた。


「うーん、流石にこの人数差はキツいか」


「それなら…」


彼女の肌色が段々と黒に変色していく。


『予想通り、レンはまだスキルを隠し持っているようだ』


そう念話でイースに連絡しつつ、その変化が終わる前に決着をつけようと攻撃をする。


しかし、それが当たる前に彼女の攻撃をされる。


「ごふっ」


吐血をしつつ、俺は自身の痛みのもとを見る。


短剣がしっかりとそこには刺さっていた。


「ふふ、中々の速さね」


そして満足気に彼女は短剣を抜き、自身の身体の調子を確かめるように動き出す。


「ライ…さん?」


そんな様子を見てサキは呆然とする。


「大丈夫だ、仙力でまだ生きれる」


そう力弱く言う彼の姿には、それほど力強さは感じられない。


「あら、まだ動けるのね」


離れようと歩く彼の下へ彼女は走る。


そして突き刺さる。


短剣が、彼の執事に。


「ぐふっ」


「なっ!?」


そしてサキはその様子に目を向ける。


「雷蔵様…あなたが死ぬのは、自身の役目を全うしてからです」


「……ああ、その為に来たんだからな」


そしてその執事は身体を変化させ、ライの傷に身体を入れる。


傷付いた血管や内臓が修復され、そしてその執事は…死んだ。


サキは注意を逸らす為にゆみの元へと走るり、殴る。


「サキ、あなた何をしてるの?」


しかしその行動も虚しく、あっさりといなされる。


「私は、お姉ちゃんを戻す」


「無理って言ってるでしょ」


「だって、あなた…今、役立たずよ」


そう堂々と言う彼女に向かって、怯まずに殴り掛かる。


しかしその拳に向かって短剣を向けられ、殴ると同時に短剣が刺さる。


「痛いでしょ?でもそれはあなたが弱いからよ」


「狂い切れない半端者のあなたが偶々戻れたからと言って、別にそれはあなたの実力じゃない」


「偶然でしかないわ」


そう言われ、彼女の魔紋が光る。


「確かに、そうかもしれない」


「でも、私は受け入れたお姉ちゃんが今、幸せには見えないの」


そう主張する彼女を見て、ゆみは顔を曇らせる。


しかしそれで何かが変わる事もない。


「……大丈夫だ、もう終わらせられる」


突然、ライがそう言った。


「何を…」


そう言われて周りを見ると、真っ白な光で包まれている。


「魔力と魔術の夢の共演だ」


「確定死、逃げられないぞ」


しかし、そう宣言する彼とサキもまた、その中に居た。


「……何のための時間稼ぎだったのかしら」


「まあ、こっちにも発動条件っていうものがあるんだよ」


「そう」


力が抜けたように倒れ込むゆみを見ながら、ライは後悔する。


……結局、()()()()事は出来なかったか。


まあ、仕方がない


「……ゆみ」


「何?」


「地獄ではしっかりと捕まえてやるからな」


「ふふ、楽しみにしてるわ」


「私だってしっかりと活躍するわ」


「サキは…無理じゃないかしら」


そう言って、彼女は笑う。


……後は、任せたぞ。


そう言うと、俺の意識が消えた。


後に残ったものは何もない。


光の中に包まれた彼らは、肉片も残さずに消えたのだ。

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