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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
13章 地底の陰謀
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変貌

影からこっそりとその様子を伺う。


「それじゃあ後は頼んだぞ」


そう彼女に言って彼はその場を去ろうとする。


しかしそれを彼女は止めた。


「…お父さん、あそこに誰かが居る」


そう言ってこちらに視線を向ける。


気付かれた!?


一応俺は気配隠蔽スキルを持ってるし、ある程度の隠密スキルを持ってるんだが…彼女の特殊能力か?


「ケイ、多分この先が彼の目的地だよ」


そう小声で彼女は俺に話しかける。


「…分かった」


ここで隠れていても埒が開かない。


そう考えて俺はその場所を飛び出す。


それと同時に彼はこちらに視線を向ける。


「なるほど、お前か…なら大丈夫だな」


俺の姿を一目見て彼はそう判断した。


恐らく鑑定スキルだろう。


そのまま彼女へと視線を向け、彼は彼女に命令する。


「こいつらを殺せ」


と。


するととんでもないスピードで彼女はこちらへと走り込んで来た。


溜め込んで来たポイントか!


彼女にそのポイントで成長させたのだろう。


そこまで判断して、俺は彼女の拳を受け止める。


「重っ!」


彼女の拳を受け止め、思わずそう叫んでしまった。


だってあのポイントで買えるのはレベル1のスキルだけの筈だ。


…となると彼女の特殊能力が、強制的にスキルレベルを上げる能力か。


ちらりと後ろを見る。


正直シズクは戦力外だ。


精霊を使えない状態なのだからな。


シズクを守りながら彼女を倒す……キツいなぁ。


そう感じながら俺は刀を抜いた。


彼女を…殺すしかないのか?


そう自問自答する。


彼女は言わば被害者だ。


そんな彼女を殺してしまって良いのか?


殺す事は簡単だ。


あのスキルを使えば良い。


でも、無力化する事は難しい。


シズクを守りながらと考えると更に。


それに、時間をかけていたらいつ彼が目的を達成するか分かったものではない。


「…はぁ」


一息吐き、俺は決心する。


彼女を…殺す事を。


そして俺は彼女に刀を向ける。


その時!


「久しぶりだな」


後ろからそんな声が聞こえて来る。


その声を聞くのは久しぶりだったが、間違える筈が無かった。


「レイヤ!」


そう言うと、彼は少しこちらに視線を向ける。


…なるほど、情報を寄越せっと。


言わなくても彼が言いたい事は分かった。


「奴はこの奥に居る」


そう言うと、彼女を通り抜けて奥へと走り去った。


それを追いかけようとする彼女に攻撃を浴びせる。


「君の相手は俺だ」


そう言うと、彼女は再びこちらを向く。


そしてこちらへと攻撃を浴びせにかかって来た。


さて、無力化は時間がかかるがこっちのもんだ。


後は…レイヤがどうなるか、だな。


そう俺は考えながら、彼女を見た。

…………………

………


あの牢屋から脱出した後、俺はプレイヤー達を追いかけ、そして闇人達がたむろする中を通り抜け、のこまでやって来た。


その後、ケイから情報を聞き、俺はあの男の元へと走って行き、今に至るという訳だ。


因みに牢屋から脱出した方法は、このスキルのお陰だ。


スキル 対話


これは相手と対等に会話し、事を勧められるというスキルだ。


まずあのポイントで手に入るものは十中八九あの男が見ているだろうから、そこから手に入るもので脱出する事は不可能だと考えた。


だとすると何があるか。


後、考えられるのは外部からの影響、すなわち管理人を操る事。


そこで俺は根気強く話しかけ続けて……開けて貰う事に成功した。


え?対話でそうはならない?


まあこのスキルと組み合わせて、新しいスキルを買ったからね。


スキル 共感


自身の考えをより深くまで伝えられるスキル。


正直普通こんなスキルを買おうと思う奴は居ないと思うが、この局所的状況下ではとても役に立った。


このスキルと先程の対話でひたすらに話しかける事により、あの牢屋を開けて貰ったのだ。


うん…本当に時間がかかった。


そして今に至るという訳だ。


俺は走って彼の元へと行く。


そして彼の姿を捉えた。


その彼の目の前には、巨大な祭壇が置かれていた。


その祭壇からは真っ黒な何かが漏れ出している。


「ふふっ、やられたな…」


そう言葉を漏らす彼の腹からは大量の血液が溢れ出ていた。


…何があったんだ?


そう疑問に思っていると、その部分から真っ黒な女性が現れる。


「お前が…そんな状態にされているとは思わなかった……だが、」


その女性は彼から這い出て来ると、彼女はその祭壇へと近付く。


そして俺はその女性を…殺した。


いや、正確には消した…か?


もう既に死んで、何故か精霊みたいになっている彼女を、俺は冥力によって消した。


「なっ…!」


そう絶句した彼は、彼女の名前をうわ言のよたいに呟きながら…気を失った。


出血多量が原因だろう。


「…さて、準備は整った」


誰も居なくなった祭壇を見て、俺は唱える。


「俺を…闇人にしろ」


するとその祭壇は光り輝くと共に、どす黒い何かが身体を覆ってくる。


この祭壇からだけではなく、ありとあらゆる場所からその闇が身体を取り巻いてくる。


テッテレ~

『レンは闇人に進化した!』

『レンは全ての通常スキルを失った!』

『レンは全ての耐性スキルを失った!』

『レンはレベルを失った!』

『レンは名前を失った!』

『レンは……』


様々なものがステータス画面から消えていくのと同時に、新たなものが追加されていく。


『レンは闇増幅スキルを手に入れた!』

『レンは分身体創造スキルを手に入れた!』

『レンは浮遊スキルを手に入れた!』

『レンは砲台スキルを手に入れた!』

『レンは……』


そして、それと同時に彼はイベントを作成する。


そうだな…猶予は一週間。


イベント名は…終末戦争で良いかな?


そうしてイベントについて決めていると、外への扉が開いた。


…さすが運営、ベストタイミングだ。


そして俺は飛び出す。


それと同時にイベント開始アナウンスが鳴る。


『ワールドクエスト、『終末戦争』が開始しました』


それと同時に気が遠くなる。


全ての説明の為に。

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