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廃れた世界のプレイヤー  作者: 春夏 冬
13章 地底の陰謀
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フォスサイド3

「ここが新しく出来た構造物だよね」


「うん」


私達はあの森を抜け、新しく出来たと構造物に着いた。


そこはエリアの内側ギリギリにあり、余程の調査をしない限り見つからないであろう場所にあった。


しかし、それと同時に驚きもある。


どうしてここに誰も来なかったの?


目の前にそびえ立つのは超巨大な塔。


何をすればこれが見つからないなんて事になるの?


確かに端にあったけど、見つからないなんて事はあるのだろうか。


………分からない。


「とりあえず入りましょう」


そうムシュに言われるが、


「どこから?」


私はその疑問をぶつける。


そう、この塔には入り口が無いのだ。


まあもしかしたら隠し入り口があるかもしれないけど。


そんなものを探す暇は無い。


そそくさとムシュは離れていく。


入り口を作れっていう事ね。


「はぁ」


そうため息をついて私は妖術をを使用する。


そうして一部分に穴を開ける。


「置いてくよ」


そう言うと走ってムシュが近付いてくる。


それにしても……未だに竜力をコントロール出来ないなんて。


近くに居ても邪魔しかしないから、チームでの連携とか出来ないんだよね。


そう思いながら私達は中へと入って来た。


後ろから付いてくる何者かにも気付かずに……

…………………

…………


中は空洞になっており、上へ続く螺旋階段?が続いていた。


しかもそれだけでなく、あたりに血痕がこびりついている。


…………怖いなぁ。


どこからともなくただならぬ不安が遅いかかってくる。


「上がるないか」


「そうですね」


そう口を交わし、足を進める。


コツコツと人間に見習って履いた靴が鳴り響く。


暫くして一番上まで着いた。


そこには何の変哲も無い扉がある。


しかしそこが逆に恐ろしさ、不気味さが感じられる。


とってに手をかけて扉を開く。


そこには恐ろしい光景が広がっていた。


血痕だけでなくまだ乾き切っていない血溜まりが散乱している。


それだけでなく色々な道具まで散らばっている。


「これは……何?」


「なんだろ…ぐっ!」


そう何かの気配が現れると同時にムシュのうめき声が聞こえる。


それと同時に振り返ると、そこには…彼女が居た。


「久しぶりね」


彼女はムシュにナイフを向けて私にそう言った。


彼女の名前はゆみ。


私が闘技大会で逃げた…あの女性だ。


「それにしても…よくこんな場所を見つけたわね。プレイヤーでも滅多に来ないわよ」


「……鍵を手に入れる為に」


そう言うと、彼女ほポケットに手を突っ込んでそれを取り出す。


「あー、なるほど。この鍵があったから最近色々な人が来ていたのね」


「まあ私としては嬉しかったのだけど」


その言葉を聞き、嫌な想像が膨らむ。


実際、そういう事をする人なのだからそれは現実なのだろう。


「それにしても……あなた達の主さんには散々困らされて来たからね」


「ここであなた達を殺す…というのも悪くはないかもしれないわ」


そう呟くと、彼女はムシュの首筋を掻っ切った。


赤い鮮血が飛び散る。


そしてムシュは…呆気なく死んだ。


抵抗する事すらままならずに。


私はジリジリと部屋の中へと下がっていく。


……こわい、殺される。


「大丈夫、あなたもすぐに逝くことになるわ」


そう言ってナイフを持ち、こちらへと走ってくる。


私は素早く元の姿へと戻り、その攻撃を避ける。


……大丈夫、ムシュはきっと大丈夫だ。


そう唱えて頑張って平常心を保つ。


「あら、あなたってあの時の狐ちゃんだったのね」


「じゃあこれはリベンジって事になるのかしら」


「………」


私は答えない。


ただ目の前の彼女から鍵を奪う事だけを考える。


「はぁ…じゃ、行くよ」


そう言うと彼女はこちらへと走って来る。


私はそれを交わし、壁を利用して無防備な背中へと爪を向ける。


しかしそれに合わせて彼女は後ろに下がって肘を入れてくる。


肺が押され、呻き声が溢れる。


苦しいのを我慢して妖術を使用して彼女の肉体を削ろうとする。


しかしそれを彼女も能力を使い、止める。


聖魂力。


願う力の大きさによって力が変動すると呼ばれるそれだ。


それを使って妖術を止め、更に速さを上げて攻撃をする。


私は吹っ飛ばされ、溜まっていた血溜まりに身体を打ち付ける。


「……これで終わり?なら後はじっくりと遊ばせて貰うわ」


そう言って彼女は私に近寄って来る。


しかし、私は立ち上がる。


あのタイミングで私は何故妖術を使ったと思う?


あんな事するならもっと虚のついたタイミングの方が確実に良いだろう。


じゃあ何故か。


それは……


チャリンッという音がなる。


その音に気がつき、彼女は後ろを向く。


そこには…鍵が浮いていた。


私が狙っているのは鍵。


彼女を倒すのは別に目的ではない。


っていうか生き返る彼女を倒す意味が無いし。


その鍵はふわふわと私の方へと飛んで来る。


私は人型へと変化し、鍵を取って塔の下へと飛び降りる。


それを彼女は追いかけるが、もう遅い。


私は迎えに来た()()()に乗り込み、飛び去る。


…ムシュはこの世界ではプレイヤーと同じく生き返る存在。


あの場所で十中八九生き返っているとは思った。


でも……それが前までのムシュとは限らない。


……あの時に私が助け出せれば……いや、こんな想像は無駄か。


そして私達はイースの居るであろう場所へと飛んで行った。

……………………

……………


その日、平原に七つの鍵が浮かび、そこに巨大な穴が空いた。


それと同時にこの世のものとは思えない漆黒のモンスターが現れた。


そいつはその日のうちにどこかへと消えていった。


それと同時にワールドクエストが流れる。


『ワールドクエスト、『終末戦争』が開始しました』

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